川内原発の避難計画の問題をめぐる政府交渉が8月21日、反原発・かごしまネット、原子力規制を監視する会、FoE Japan等の主催により、参議院議員会館で行われた。
今回の政府交渉では、主催の市民側から政府に対して事前に提出された「川内原発に関する原子力防災計画・避難計画等についての質問事項」に基いて、政府側の代表者と主催側との間で質疑応答形式で行われた。
政府側からは、内閣府原子力災害対策担当室から喜多充氏と関口澄夫氏、経済産業省の和田啓之氏、原子力規制庁原子力防災対策課の高野明氏の4名が参加。市民側からは前述の市民団体の他、石川県・鹿児島県・関西・佐賀県・静岡県・新潟県から、原発避難の問題に取り組む人々が参加した。
- 原発再稼働の判断および責任について
- 原子力防災計画・避難計画に関する国の責任について
- 避難計画の実効性(風向き、スクリーニング、複合災害など)について
- 要援護者の避難について
- 川内原発ワーキングチーム(国・自治体から構成)での議論について
- 地元同意の範囲について
- 日時 2014年8月21日(木)
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
「鹿児島県では調整委員会はコンピュータ」
今回の政府交渉で市民側は、川内原発から5km圏外の要援護者の避難計画が作成されていないことを「最重要」と認識していた。
この件に関する質問に、喜多氏は、「原子力災害対策指針では、要援護者に配慮しなければならないと記載があるものの、避難計画作成までは求めていない」と回答。これに対し、回答の趣旨の根拠を示す文書を示すよう市民側が要求すると、政府側は即答できず、後日の回答となった。
5km圏外の要援護者の避難先が確定していないことに関しては、原子力規制委員会が、「調整委員会があれば避難先が確定していなくても良い」としている。調整委員会とはどういうものか、との市民側の質問に対し、喜多氏は、「鹿児島県では、コンピュータ・システムによる避難先のマッチングを検討していると聞いている」と述べた。
この喜多氏の回答に対し、「コンピュータ・システムによる調整が、果たしてうまく機能するのか」と、参加者からは大きな懸念の声があがった。
喜多氏によれば、川内原発における5キロ~30キロ圏内の避難元は230あり、避難先の施設候補数は470とリストアップされているという。要援護者の状況は日々刻々変化するため、施設を1対1で確定するのではなく、リストからコンピュータ・システムによるマッチングを行うと述べた。
参加者からは、30km圏内の一般人については、1対1で避難先を確定できるとされていることに比べて、なぜ、要援護者ではそれが不可能なのか。「命の値段が違うのか」との厳しい声が上がった。
通院・通所者は自宅に置き去りか