イスラエルとガザは、エジプトの仲介で、8月11日から72時間の停戦に入った。ハマスは、ガザ地区の経済封鎖の解除や、ガザの港・空港の開放などを停戦の条件と打ち出している。一方イスラエルは、ハマスの地下トンネル再建につながる建築資材については規制されるべきだ、との立場を示し、ガザの非武装化などを求めている。
期限は14日の午前0時(現地時間)だが、交渉に進展はなく、恒久停戦に至る打開案は見いだせていない。停戦中でありながら、イスラエルによる攻撃は、散発的に続いているという。
東京新宿では、ガザ攻撃に抗議する市民らが8月12日、「『GAZAに平和を!』サイレントデモ」と題した街頭アピールを小田急百貨店前で行った。約40人の市民が「FREE GAZA」「GAZAに平和を」などと書かれたプラカードを持って立ち、チラシを配布するなどして通行人にガザの悲惨な現状を訴えた。
「一生海を見れず、一生イスラムの聖地へ参拝に行けない」
昨年、パレスチナの占領の実態を知ろうと、ヨルダン川西岸地区を訪れたという男性は、「攻撃はいま止まっていますが、占領と封鎖が終わらない限りは、ガザの人たちはまともに暮らせません。一刻も早く占領と封鎖をやめてほしい」と訴える。
パレスチナの様子について男性は、「西岸地区の人々は、不自由な生活を強いられています。いたるところに検問所があり、パレスチナ人は、数%しかイスラエルに入国できない状態。ほとんどの方は一生閉じ込められたままで、海も見れずに過ごし、一生、イスラムの聖地へ参拝に行けない生活をさせられています」と説明する。
また、地元のパレスチナ人と触れ合った感想を、「貧しい生活をしていますが、子どもの目はキラキラしています。日本人が忘れた優しさ、たくましさ、強さを感じました」と話す。その反面、「彼らは疲れてもいます。負傷を負った人や車いす生活の人もいます」と紹介した。
「イスラエル軍に拘禁されると、釈放されるときに薬を飲まされるんですが、そのせいで、ろれつが回らなくなった人たちがいました。余計なことを話さないようにです。爆弾にしても、体の中を貫通せずに回るような残虐兵器を使うんですね。イスラエルの一方的な殺戮は、とても許されないことだと思います」
ハマスがテロリストとして扱われることで「どっちもどっち」に
別の男性参加者は、ガザ市民が「WE LOVE JAPAN」などと書かれたTシャツを着て、凧揚げしている写真などを通行人に向けて紹介していた。東日本大震災に見舞われた日本に向け、毎年3月11日に、数百人の市民がこうして日本に対し、激励のメッセージを送っているのだという。
男性は、「安倍総理はイスラエルと組み、武器を提供しようという協定を結ぶという。この人たちの愛情に対して、恩を仇で返すようなものだと思います。本当に悔しい。日本人として恥ずかしい」と胸中を語る。
街を行く外国人はサイレントデモに目を向け、中には飛び入り参加するなどして関心を示す人が少なくない。一方、日本人のリアクションは比較的、薄い。男性は、「ハマスがテロリストとして扱われているので、我々には近づきがたい存在になっているのではないかと思います。『どっちもどっち』という印象を持たれてしまう」と指摘する。
その上で、「ガザで起きていることが、戦争、紛争というレベルではありません。分離壁で四方八方固めて出さないようにして、空爆する。虐殺という表現以外ない。空爆をやめることも大事だが、分離壁を一刻も早く取り払うように、世界が動かなければいけないのではないかと思います」と語った。