ネットメディアやフリーランスが初めて国会記者会館屋上へ「歴史的重要性を伝える意義がある」~集団的自衛権の閣議決定に反対する4万人の波 2014.6.30

記事公開日:2014.6.30取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 集団的自衛権の閣議決定に反対する大規模抗議行動が、官邸前周辺で行われた6月30日、IWJは初めて、国会記者会館屋上からの撮影に成功した。抗議する市民の数が膨れ上がるにつれ、警察が増員されて攻防が激しくなる様子や、警察の張った規制線が群衆の波で一部決壊する瞬間を捉えた。

 ちょうど2年前の2012年7月、非営利のインターネットメディア「OurPlanetTV(以下、アワプラ)」の白石草代表は、首相官邸と国会から道路を挟んで隣接する国会記者会館屋上の使用を求め、国及び国会記者会館に対して仮処分の申し立てを行なった。まさに大飯原発の再稼働に反対する官邸前抗議がピークを迎えていた頃である。関東を中心に、全国から集まった20万人が政府に向かって声をあげる姿は、独立系メディアのみならず、大手メディアも一斉に報道した。

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 同年6月29日には、IWJとアワプラは共にヘリコプターをチャーターし、デモを空撮。歴史的瞬間を俯瞰して捉えた。しかし、ヘリを何度も飛ばすことは経済的に負担が大きく、ネットメディアやフリーのジャーナリストらは、国会記者会館の屋上の使用許可を求めた。会館屋上からであれば、まさにデモの中心部全体を見下ろすことができるからだ。現に、同年6月から7月にかけて、使用が許されている大手メディアはこの場所から捉えた映像や写真を発信してきた。

 アワプラの白石氏は申し立てを行なった日の記者会見で、記者クラブに所属していないとの理由から拒否するのは納得できないとし、「市民が個々人で集まった抗議行動の全体像を撮影することには報道上の意義がある。全体像を撮影するために、国会記者会館の屋上を是非とも開放してほしい」と述べた。

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■全編動画

なぜ「屋上」にこだわるのか

 閣議決定が迫る6月30日、ネットメディアやフリーランス一同は19時過ぎ、一斉に国会記者会館の屋上に登った。官邸前で抗議が始まって1時間が経とうとしていた頃だ。屋上から官邸前交差点を見下ろすと、「安倍はやめろ」、「戦争反対」の怒号がとどろき、官邸前を先頭に団結していた市民の群れは、波打つように財務省上の交差点まで長い列を作っていた。まさに、「歴史的瞬間」が目の前に広がっていた。カメラは、国会記者会館の屋上という場所が持つ物理的な意義をも映し出した。

 地上を見下ろした白石氏は、「これを独占しているのはやはり許せない」と、一部のメディアだけが独占的に使用できる不公平さを肌で感じ、こう話した。

 取材を開始してから10分が経った頃、我々が屋上へ上がったことを問題視した会館受付の男性が、「許可がないと困る」と屋上からの退去を求めた。続けて、事務局の男性フクエ氏も我々に対し、「裁判の結果が出てないうちは使用は認められない」と主張。これに対し、その場にいたフリーランスやネットメディア一同は、「歴史的に重要なことを伝える意義がある。裁判の判決も出ていない中で、締め出すことは不当である」と反論した。

国と国会記者会でも主張の食い違い

 国会記者会館は衆議院が所有する国有の財産である。40年以上前、国は民間団体である「国会記者会」に管理を委託。以来、一民間団体が、国民の税金で運営しているこの建物を、独占的に専有してきたのである。

 所有者である国は、屋上での取材は、記者クラブ含めたどのメディアにも許しておらず、屋上での取材行為は無断で行なわれているとしている。屋上の管理は誰が行なっているのか、その事実さえ未だ迷走したまま、なぜ、屋上がネットメディアやフリーランスに解放されないのか、国会記者会はこれまでの裁判で根拠を明確に示せていない。

既得権を侵害されたくないという、わがまま

 アワプラが2012年7月、国会記者会館屋上の解放を求めた仮処分は、地裁、高裁により却下された。その後、アワプラは同年9月に、「報道機関を差別し、取材・報道の自由を侵害するのは違法」とし、記者クラブに加盟していないという理由で使用を拒否してきたことについて、国と国会記者会館を相手どり、損害賠償請求訴訟を起こした。その判決は今年10月14日に出る予定だが、国会記者会側もアワプラに対し、6月30日に屋上で取材を敢行した我々の行動について、刑事告訴に踏み込む姿勢を見せているという。7月1日、白石氏はツィートでこのようにつぶやいている。

 「今日、国会記者会館の屋上から中継をしたことについて、国会記者会が刑事告訴を検討しているようです。記者会館の管理人は、『あそこからの映像は特別だから、既得権を侵害されたくない』と繰り返していました。そんなことで、国会記者会が告訴するなら、受けて立ちます」

 白石氏によれば、国家記者会の代理人をしている弁護士からアワプラ側に、刑事告訴を検討していると連絡が入ったというが、実際に告訴に踏み切るかどうかはまだ定かではない。今後、屋上の使用をめぐり新たな動きがあれば、続報としてお伝えしていく。

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「ネットメディアやフリーランスが初めて国会記者会館屋上へ「歴史的重要性を伝える意義がある」~集団的自衛権の閣議決定に反対する4万人の波」への2件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    国民には「知る権利」があり、記者クラブには知られて困る「利権」がある。

  2. @manbo_ponさん(ツイッターのご意見より) より:

    国会議員は国民が嫌いだからな。

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