ギャンブル依存症など無視できない社会的コスト検証の必要性〜カジノ解禁推進法に反対する緊急院内学習会 2014.5.15

記事公開日:2014.5.19取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 今国会での審議入りを待つ、「特定複合慣行施設区域の整備の推進に関する法律案」、通称カジノ法案に反対する院内学習会が、5月15日、日弁連主催で開催された。

 カジノ解禁を推進する自民党、維新の会、生活の党共同で、2013年12月、同法案は提出されたが、公明党が同法案に慎重な姿勢を示していることや、提出法案の数が多く、後回しになっていることなどを理由に、いまだ審議入りされていない。学習会では、「カジノ」が与える社会的悪影響を懸念する国会議員や専門家が集まり、法案の廃案を求め声を上げた。

■ハイライト

  • 基調報告 「カジノ推進法案の問題点について」、「経済学から見たカジノ設置問題〜コストとパフォーマンスをどう考えるのか〜」
  • 国会議員からの挨拶

カジノの公益性

 カジノとはいわゆる賭博であり、本来、刑法では罰せられる行為だが、競輪や競馬などは、その「公益性」が認められ、刑法第35条で個別に合法性が確保されている。社民党の福島みずほ議員がこれに言及し、「カジノは、民間、民営、金儲けだけが目的であり、公益性が認められず法律的に設置は無理だ」と指摘。従来の公営ギャンブルと、カジノは性格が異なると主張した。

カジノの経済効果

 雇用創出、地域経済の振興、海外からの観光客の誘致など、カジノの経済波及効果は約4兆円から7兆円との試算もあり、アベノミクス「第5の矢」とも言われている。

 しかし、聖学院大学政治経済学部教授の柴田武男氏はカジノ誘致に対し、「5年〜10年後、地域にどういった影響をおよぼすかという視点が必要だ」と、その社会的影響の検証が欠かせないと訴える。

ギャンブル先進国のアメリカ、2年かけて調査

 柴田教授は、1996年、米国連邦議会が国内における賭博の影響を調査するため、研究委員会を設置したことを紹介。250万ドルを費やし、2年間かけて行った調査報告によれば、カジノが社会に影響を与えるのは、開設から3年以後であるという。また、市場がある一定の成長をみせた後は伸び悩み、ギャンブル依存症や犯罪は増加し、「失業者保険や精神治療などの社会的サービス費用を含めたコストは、カジノによる利益の4〜6倍以上に上る」という事例がギャンブル先進国のアメリカから報告されているのだ。

 「少なくとも政府は、米国のこうした研究結果を踏まえるべきだ」と、柴田教授は訴えた。

韓国の事例

 学習会では、カジノをめぐる諸外国の事例が紹介された資料が参加者に配布されたが、その中に朝日新聞が2011年に報じた記事がある。カジノを含んだ統合型リゾート施設を導入しているお隣り韓国では、2009年にギャンブル産業の売上高が16.5兆ウォンになった。しかし、ギャンブルによる家庭崩壊や労働意識の低下により、60兆ウォンの損失が生まれたという試算を発表。国をあげて、依存症治療の施設を開設した。

沖縄のカジノ誘致

 「カジノの問題は、沖縄では今に始まった問題ではありません」

(…会員ページにつづく)

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