「戦争と原発、どちらもよく儲かる」西谷文和氏講演「戦争と原発はつながっている ~シリア最新情報」 2014.3.1

記事公開日:2014.3.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

特集 中東

 「シリアでは、高校生や大学生が銃を撃っている。昔も今も、戦争は年寄りが命令して、若者が死ぬ。儲かるのは、銃やロケット弾を作るメーカーだけ」──。

 2014年3月1日、大阪市北区の大阪YWCAにおいて、「フリージャーナリスト 西谷文和講演会 戦争と原発はつながっている ~シリア最新情報~」が行われた。イラク、アフガニスタンなどで戦争取材を続けてきた西谷文和氏が、劣化ウラン弾の使用など、核と戦争被害とのつながりや、最新のシリア情勢を報告した。さらに、会場となった大阪の橋下徹市長について、「失脚しないのは、彼が、金持ちのための政策を進めているからだ」と指摘した。

■全編動画

  • 講演 西谷文和氏(フリージャーナリスト)

原子炉は戦争のために開発された

 西谷文和氏は、原子炉と核兵器のつながりについて、「アメリカが、原爆を作るために極秘に進めたマンハッタン計画で、1943年に初めてウラン濃縮工場ができた。原子炉も同じ年にできたが、これは電気を作るためではなく、自然界には存在しないプルトニウムを、ウランに中性子を当てて作るためである」と述べ、次のように続けた。

 「1945年の7月16日、世界初の核実験が行われ、成功した。それから約1ヶ月後の8月6日に、ウラン型の原爆が広島に落とされ、3日後の8月9日、プルトニウム型の原爆が長崎に落とされた」。

 原子力のその後について、西谷氏は「米ソ冷戦時代、アメリカは原子力潜水艦を動かすために、原子炉を開発していく。1954年に、初めて潜水艦に原子炉を乗せたノーチラス号ができて、北極海を潜航したまま横断する。その4年後の1958年に、原子炉を潜水艦から陸に上げて、初めて電気を作りだした。これが、原発の始まり」と説明した。

 「原子炉は、まず、潜水艦のために開発され、その後、発電のために使われた。原発は、核の平和利用と言っているが、もともと戦争のために開発され、たまたまウランの分裂に熱が出るので、湯を沸かし、タービンを回して電気を作るのに使われただけ。だから、戦争と原発は、非常に近いもので、よく似ている。そして、どちらもよく儲かる」。

大国の思惑が蠢くシリア内戦。1日50人は死ぬ

 西谷氏は、シリア内戦について、「2011年3月に起きたアラブの春が、この国に飛び火した。アサド政権打倒のために、各都市で若者たちが立ち上がった。最初に立ち上がった人は、武器を持たずに丸腰でデモをしたが、アサド政権に片っ端から殺されていった」と話す。

 「空爆もされた。そのため、人々は銃を持ち始め、これが内戦に転じた。今も、1日に50人から100人は死ぬ状況が続いている。2013年3月には、内戦が3年目に突入。死者は13万人を超えている。それも、統計のある人だけの数。実際は、もっと殺されているはずだ」。

年寄りが命令して、若者が死ぬ。それが戦争

 そして、シリア北部のアレッポを訪れた時のことを、「毎日、爆弾が飛んで来る状況の中で、市民は生活している。もう、3年も続いているので、『また、ミサイルが飛んで来た』という感じで、普通に買い物をしている。人々は、この状況をあきらめてしまって逃げないのである。真夜中にスカッドミサイルが飛んできて、団地に当たる。団地は全壊して、瓦礫の中に150人もの遺体が埋まる、ということが起きている」と語った。

 また、「銃撃戦では、高校生や大学生の若者が銃を撃っている。アサド軍でも、若者が撃っている。戦争の特徴は、昔も今も、年寄りが命令して、若者が死ぬこと。何もいいことはない。アサド軍も、自由シリアも、若者が亡くなる。儲かるのは、銃やロケット弾を作るメーカーだけである。こうしたことを、すぐに止めなければならないが、アメリカやロシアの思惑が絡み、なかなか止まらないのが現状だ」と深刻化する状況を報告した。

橋下大阪市長の「市営地下鉄売り逃げ」構想

 次に西谷氏は、橋下徹大阪市長について、「あれだけ失言しても失脚しないのは、彼のスポンサーである年収50億円~100億円の人たちのための政策を、進めているからである」と指摘。

 「今、彼の狙いは、大阪市営地下鉄を売り払うこと。大阪の地下鉄は優良財産だから、大阪市が財政破綻しそうなら、絶対に地下鉄を売ってはいけないのだ。今まで地下鉄が赤字だったのは、建設費用がかかっていたからで、2003年にその借金返済を終え、今後は黒字になるところ。それを、大手私鉄が狙っている。橋下市長は、大手私鉄5社に、これから儲かる地下鉄を差し出して、大阪市民を踏みつけにして、自分は国政に行こうとしている」と批判した。

「大富豪のための政治」が展開する日本

 「年収何10億という人たちは、橋下さんや安倍さんを使って、戦争、原発、地下鉄民営化で、さらに儲けたいと考えている。そして、テレビ局も同じスポンサーだから、ニュースでも決してこれらを深く追求しない。なんとなく公務員が悪い、生活保護受給者が悪い、在日朝鮮人はけしからん、と伝えて、一般市民を分断させている。私たちは、それを見破らなければいけない」。

 西谷氏は「集団的自衛権も、そうである。おそらく、『中国や韓国はけしからん』と言いながら、たとえば、漁船を沈めるなどの軽い戦争を起こして、『自衛隊を増強しろ』と進めていくかもしれない。これで、ものすごく儲かる人がいるからである」と懸念を表明。「私たちは冷静に判断し、団結して戦っていかなければいけない」と訴えた。

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