クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件で起訴され無罪となった八田隆氏と、八田氏の弁護を担当した小松正和氏をゲストに迎え、2月26日(水)に「日本の司法を正す会」が行われた。八田氏は2011年12月に、所得税約1億3千万円を脱税したとして所得税法違反の罪で起訴されたが、今年2月に無罪が確定している。
(取材・記事:IWJ・松井信篤、記事構成:IWJ・ゆさこうこ)
クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件で起訴され無罪となった八田隆氏と、八田氏の弁護を担当した小松正和氏をゲストに迎え、2月26日(水)に「日本の司法を正す会」が行われた。八田氏は2011年12月に、所得税約1億3千万円を脱税したとして所得税法違反の罪で起訴されたが、今年2月に無罪が確定している。
■ハイライト
八田氏が起訴された事件は、以下のような経緯である。クレディ・スイス証券は、社員に給与の一部を株式として与える「現物給与」支給を行っていた。八田氏は、この現物給与に関しては会社が源泉徴収を行っていないということに気づかずに、この分に関して所得税を申告していなかった。この申告漏れが明らかになったのは、2008年11月にクレディ・スイス証券の職員と元職員に税務調査が入ったときのことである。当時すでに同社を退職していた八田氏も調査対象となり、株式報酬の申告漏れが発覚したのだ。調査対象となった約300人が、自社株で受けとった給与を正しく申告していなかったことから、多くの社員が八田氏と同じように「現物給与」が源泉徴収されると思い込んでいたのである。八田氏は過失そのものを認め、すぐに修正申告の手続きを進めた。ところが、八田氏のみが、故意の脱税をしていたとして起訴されてしまったのである。
八田氏は故意の脱税であることを否定し続け、一審、二審ともに無罪判決が出された。今年2月14日に東京高検が上告を断念し、八田氏の無罪は確定した。
「勝つことを望んで戦ったわけではなく、黙っていたら何も変わらないという気持ちが強く戦った結果、無罪判決だった」と八田氏は述べた。無罪を勝ち取ることができたのは、自身が「諦めの悪い被告人」であったこと、優秀な弁護士がついたこと、そして、「まともな裁判官」が当たったことが理由だという。
今後、八田氏は国家賠償請求訴訟をする予定だ。請求額を5億円程度とするつもりであり、それを刑事司法改革の基金にしたいと語った。
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