政府が築地市場の移転を予定している、豊洲新市場の土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会が、2月24日都庁で開かれた。協議会は、東京都の中央卸売市場担当者の東京都委員、築地市場関係者の業界委員と3人の学者によって行われた。2月20日に開かれた技術会議でも報告があった、工事のさらなる進捗状況が説明された。
(取材・文:石川優、記事構成:佐々木隼也)
特集 築地市場移転問題
政府が築地市場の移転を予定している、豊洲新市場の土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会が、2月24日都庁で開かれた。協議会は、東京都の中央卸売市場担当者の東京都委員、築地市場関係者の業界委員と3人の学者によって行われた。2月20日に開かれた技術会議でも報告があった、工事のさらなる進捗状況が説明された。
■冒頭頭撮り
意見交換では、業界委員のひとりである、東京魚市場卸協同組合常務理事・大橋文雄氏が、東京都が主張している「不透水層(水を通しにくい層)下の汚染は確認できない」との説明について、「確たる証拠はあるのか?」と追及。さらに豊洲新市場用地を十文字に3分割する、補助315号線と環状2号線(※)について、「この道路下の土壌汚染対策はしていないですよね?」などと、東京都の汚染対策の不備を指摘した。
(※)豊洲新市場用地は補助315号線と環状2号線によって分断されていることによって、物流動線が全くなく、物流が全く機能しない(物流効率性の悪い)という問題も指摘されている。
これに対し、都の担当者は「(地下水モニタリングについて)どのような仕組みでやるかについて、関係部局と協議・調整中」「工事中に不透水層の中の汚染状況の調査をしている。すべての箇所で不透水層の中で留まっている。よって、その下に汚染物質があるということはない」と結論づけた。
この協議会をはじめ、これまで東京都は、土壌汚染対策工事後に行っていく予定の地下水モニタリングの具体的手段について、明確な方法を示せずにいる。この日の協議会でも都は「協議・調整中」と繰り返すなど、対策工事が始まって以来の重要課題を、いまだ棚上げ状態にしている。
2月21日に行われた新市場建設協議会で、中央卸売市場長の対応や豊洲新市場の施設設計に不満をぶつけた東京都水産物卸売業者協会会長・伊藤裕康氏は、「(土壌汚染対策工事の)都としての安全宣言は出さないのか?」と問い詰めた。
都の担当者は、「残った6街区が終わって、全体を確認。それがある意味仰っているような安全確認なのかもしれない。しかし継続的な地下水管理がありますので、その時点をとって安全宣言と言えるのかどうか。また別の言い方も含めて安全宣言の仕方があるのかどうか検討させて頂いて、東京都なりのしっかりとしたお示しの仕方を考えていきたい」と曖昧な回答に終始。この場で都から安全宣言がなされることはなかった。