ワクチン接種で娘に襲いかかった甚大な被害
娘に子宮頸がんワクチンの副反応が起こったのは、2011年10月19日。二回目のサーバリックスの予防接種直後のことだった。杉並区が「中学入学お祝いワクチン」とし、将来子どもをがんにさせないためにと、いち早く無料化したワクチンだった。娘は当時12歳。中学1年生の時だった。
接種した医師は、まず針を刺した後「大丈夫?」と娘に聞き、「はい」と娘が答えたのを聞いて、医師は薬液を入れた。
針を抜いて、待合室にと言われた時には、もう娘の腕にしびれが来ていた。
すぐさま体がおかしいと医師に伝えたのだが、二度目ということもあり「様子を見てください」と言われ帰宅。すでに腕は上がらず、自転車のハンドルに手がかけられない状態だった。
夜には体のあちこちが痺れて痛みが出てきた。
接種した腕は赤くなり、腹痛や熱も出てきていた。
翌日には接種した腕全体が腫れて赤黒くなり、接種した病院に行くと、「ウチでは対応できません」と近くの総合病院に行くように言われ、そのまま総合病院に入院となったのだ。
体の痛みがあちこちに出ては消え、頭痛はずっと続き、足のしびれはあったが、まだその頃は院内ではゆっくりと歩くことができた。10日ほど入院し、その後、痛みの治療のため、大学病院を紹介され退院したあとで、大学病院を受診。サーバリックスがなにかも知らない医師に、痛みのための星状ブロック注射の治療をするよう勧められた。
まだ子どもで、しかもこのワクチンを打ってから突如として尖ったものに恐怖を抱くようになった娘に施す治療だろうかと疑問を抱きながら検査だけをし、翌日には痛みで少しも歩けなくなった。立ち上がることすらできない。大学病院にその旨を伝えると、そんなに痛みが急速に広がるはずはない。それだと治療はできないので、元の総合病院に戻ったほうがいいと突き放された。
ここからいくつもの病院を、車椅子に乗って回ることになった。
「学校に行きたくなかったでしょう。注射がきっかけだ。心の病だね」
「いい精神科、紹介するよ」
「こんな痛み、神経では考えられないんだよ」
検査すらせず、痛みのある娘の赤黒い腕を掴んで動かし、歯を食いしばって痛みを我慢する娘に、医師はそう言った。五分程度の診療だった。
娘はどれだけ傷ついただろう。痛みが全身におよび、ぐったりと倒れ込む娘に、医師の言葉は刺だらけだった。
接種して一ヶ月ちょっと経っていた頃には、計算障害、不随意運動、睡眠障害、記憶障害が起こり、自分の名前も言えなくなった。数字も数えられない。そしてレム睡眠行動障害のようなものが起こり、睡眠中に突然起き上がり、隣にいる私に殴りかかったり、布団を蹴り上げて布団が天井に飛ばされる。
寝ているのに、娘は大声もあげた。ありったけの大声だった。毎晩続いた。朝まで娘の行動を監視して、怪我をしないように押さえ、そして殴られて、蹴られた。朝方ようやく収まって私も泥の中で寝ているような、そんな日々が続いた。通っていた医師の検査も異常はなく、医師と喧嘩をするようになり、結局、その医療機関を切られてしまい、途方に暮れた。症状はどんどんひどくなる。
あまりにも、この睡眠障害がひどく、ある時ちょっと目を離した朝方、突然睡眠中であるにもかかわらず、娘が立ち上がって倒れたのをきっかけに、ちゃんと大きな医療機関で見てもらわなければいけないと思った。
この頃には少し痛みが減り、ヨロヨロしながら歩けるようになっていた。腕の腫れもなくなってきて、腕は動かせるようになってきていた。ただ睡眠障害がひどい。知り合いにアドバイスをもらって今の医療機関を訪ね、翌日には入院。この睡眠障害は、レム睡眠行動障害とも違い、レム睡眠時に起こっていなかった。不可解で分からないと言われた。入院中は動き回らないようにするために、拘束服のようなものをして睡眠。酷い動き方で拘束服が破れた。
睡眠中に娘が怪我をしないよう、私は一緒に病院で寝泊まりした。
その後退院し、一ヶ月半ほどで、この睡眠障害は終息。ほっとしたのも束の間、今度は突然倒れたり、再び痛みが強く出て歩けなくなった。記憶障害や計算障害も治らない。そのうち、不安発作のようなものが頻発して暴れたり、家にいるのに「おうちに帰りたい」と子どものように大声で泣いた。
何もかも、この子宮頸がんワクチン・サーバリックスを打ってからだった。
光が眩しい、体中が痛い、歩行困難、激しい頭痛、記憶障害、計算障害、長文が読めない、暴れる、睡眠障害、燕下障害、痙攣や不随意運動、不安発作、突然泣き叫ぶ、脱毛、眼振、手足の皮がベロベロ剥ける、体中の発疹と色素沈着、四六時中いくつもできる口内炎、解離、突然倒れる、尿が出ない。とにかく、次から次へと症状が出続けた。
明るみになった杉並区保健所の虚偽報告
一年二ヶ月後、ようやく娘の症状も少し落ち着き、中学に通い始めた。娘は、もう中学二年生になっていて、三学期の一月に初めて二年生として初登校したのだった。嬉しかった。
安堵し、私は杉並区の保健所を訪れ、今までの交通費や車椅子のレンタルの代金を請求する手続きについて聞こうとした。今まで交通費など、かかったお金は補償しますと保健所の担当から直接聞いていたからだ。しかし、話は違っていた。
「松藤さん、困りました。お金は出ないんですよ。調べてみたら、死亡か障害者1級、もしくは2級でないとお金が出ないらしいんですよ」
まるで当事者ではないような、聞いてきた噂話のような言い方だった。
「実際に申請するのは家族や本人ですし」
「話が違いますよね?」
「そうなんですが、調べたら出ないんです。区の財政からは出せませんから」
狐に騙されているようだった。
落胆して帰ってきた私はその夜、杉並区で子宮頸がんワクチンが、どのように導入されたのかを知るために、朝方近くまで区議会の議事録をネットで読みあさった。
色々なやり取りの中に、一つの答弁を見つけた。
そこには、杉並区の曽根文子議員が、「無料化されてから重篤な副反応が出ているか?」との質問に、「重篤な副反応は、区内で出ていない」と答弁している杉並区保健所長の言葉が載っていた。
この保健所長は、娘が自宅療養になってから、部下を連れて我が家に菓子折りを持って訪れ見舞いに来た人物である。
この答弁を読んだ時、私は悔しくて怒りが収まらず、体が震えた。
翌日、私は曽根議員の事務所に電話をし、子宮頸がんワクチンの副反応に娘が苦しんでいると伝えると、事務所の方は非常に驚き、すぐに折り返し曽根議員から電話がかかってきた。話をすると「杉並では保健所長の答弁で、区内に副反応被害者はいない事になっています。一年以上も前に被害に遭われていた方がいらっしゃったなんて・・・」と絶句された。保健所長が答弁をしたのは、娘が副反応を起こした8ヶ月後の事だった。
「三月の予算議会で、この被害について必ず質問します。保健所長が議会で嘘の答弁をしていたのであれば、とても問題です」
そう言っていただき、議会の質問後、この子宮頸がんワクチンの被害が世の中に大きく報じられるに至ったのである。
被害者連絡会の結成とワクチン接種勧奨再開の動き
娘はその後、再び症状が増悪し、二ヶ月ほど登校しただけで再び歩けなくなった。今まで以上にひどい状況で、暴れて泣き叫び、トイレに連れて行くのも一苦労だった。認知症のような症状になり、物忘れもひどく、痛みでぐったりとしていた。
一ヶ月後の2013年3月25日、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が発足した。事務局長は日野市議会議員の池田利恵議員。私のブログを読み、コンタクトをとってくれた方で、以前から面識のある方だった。すでに私のブログを通して、このワクチンの被害にあっている親御さん数人と、私はコンタクトをとっており、このメンバーを含めて会は結成された。
副反応は、それぞれ多岐にわたっていた。痛みに限らず、倦怠感、陸揚げされた魚が飛び跳ねるような、ひどい不随意運動、人形のようにかたまって動かない。歩けない。言葉も話せない。娘の症状とは違う方もおり、これはどう考えても普通ではなかった。
その後、多くの被害者が現れ、厚労省では昨年六月に勧奨接種中止という決断をし、原因究明に乗り出すと宣言した。すでに副反応被害者は2320人に上る。この数字は、医師が副反応を認められた方が大半である。医師から副反応被害であるとまだ認めてもらっていないが、その疑いが濃い方々を含めると、数はもっと増える。
しかし、副反応がこれほどまで出ていても、厚労省および副反応検討部会では、原因究明に真摯な姿勢で臨んでいるとは言い難い。
彼らは、接種した際の痛みやストレスが引き起こした「心因性」の反応であると主張し、この症状は本人が神経質なために引き起こされたのだという説明で片付けようとしている。そのあげく、再び勧奨接種再開に舵を切ろうとしているのだ。
自民党・公明党が支援している舛添要一氏は、厚労大臣の時に、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議などの強い要望で、子宮頸がんワクチンを「他のものより優先させて承認していきたい」と発言。実際にその後、子宮頸がんワクチンは臨床実験、治験もそこそこに承認された。接種対象となる年齢治験は、100人だけだった。しかも、それより上の年代の治験と比べ、この年代層には、三倍もの副反応が出ていたにもかかわらず、あっさりと承認されたのだ。
都知事というのは、日本で一番多い人口都市の責任者であり、牽引して重要な事柄を決めていく方。子どもたちの苦しむ様を見ようとしない知事であってはならない。
このワクチンについて勉強すれば、たいていの事はわかるはずだ。子どもたちが、どれだけ副反応に苦しみ、もがいているのかということを。
ただ、私は今もって、どなたに投票しようか、その決定打がないまま、悩みに悩んでいる。
都知事に誰がふさわしいか、一票を投じるのは、子宮頸がんワクチンに関する姿勢だけでは決められない。原発に関する姿勢も、防災や今後の都民の暮らし向きも都知事が変わることで方向性も全く違ったものになる。自分の生活に直結することなので、その見極めはとても大切だ。総合的な判断が求められるのは間違いない。
しかし、都民の皆さんには、この子宮頸がんワクチンの問題が、一部のマイノリティーだけが騒いでいるマイナーな問題だとして片づけないで、ぜひとも真剣な関心をお寄せいただきたいと思う。
私としては、最終的に予防接種法を再改正し、11番目に書かれているヒトパピローマウィルス感染症の文字を削除し、このワクチンを人に打たないという選択までしなければならないと考えている。ここを変えないと、厚労省職員が紙切れ一枚、言葉一つで、勧奨接種もできれば、もっと低い年齢層、高い年齢層にも義務化しようと、鶴の一声で、どうとでもなってしまうことを危惧している。
(了)
松藤氏が手記を寄稿してくださった際、IWJは松藤氏に、今回の都知事選において各候補者へどのような印象を持たれているのか、とりわけ、主要4候補について、尋ねてみた。以下、IWJが各候補へ取材した内容とともに紹介する。
――舛添要一候補について
松藤氏「舛添さんは女性蔑視発言も含めて、全く論外ですね」
舛添氏は子宮頸がんワクチンの問題について、自身の責任が明らかになってからも、沈黙を貫いているようだ。政策でももちろん、言及していない。
この件に関して、「子宮頸がんワクチンに反対する親父の会」は1月27日、各候補に子宮頸がんワクチンに関する公開質問状を送付。2月2日を期限として回答を求めた。
しかし、2月7日現在、回答が同会のHPに公開されているのは、宇都宮健児候補、細川護熙候補(公開順)の2人である。この点について、IWJは舛添氏の選挙事務所に確認をとったところ、「質問状は受け取っているが、まだ回答できていない」と答えた。その理由は、「たくさんの質問がきていて、対応しきれない」のだという。
舛添氏側の子宮頸がんワクチンに対する見解は、今のところつかめないままだが、過去、舛添氏が同ワクチンを推進した背景には、どんなことがあったのかを振り返ってみたい。
舛添氏を推す自民党・公明党は、両党で構成されるワクチン予防議連が、2009年3月に当時の舛添厚労大臣と面談し、子宮頸がんワクチンの自己負担軽減措置を含む提言書を提出していた。さらに公明党は、このワクチンが承認される前から、ワクチンの必要性を主張し、全国各地で署名活動を行うなど、政府にワクチンの導入を強く働きかけてきた経緯がある。今、この都知事選で、この自民・公明両党に支えられているのが、舛添氏だというわけだ。
――田母神俊雄候補について
松藤氏「田母神さんは、このワクチンに関しての意見を全く聞きません。あまりに未知数すぎます。どう転ぶのか分からず、とても危うい気がします。このワクチン被害が我が家にとって一番の問題点ですから」
松藤氏が指摘する通り、田母神氏は子宮頸がんワクチンに関し、政策で言及がないばかりか、同ワクチンに関する発言も見当たらない。前述した公開質問状についても、IWJが田母神氏の選挙事務所に確認したところ、「人手不足で、まだ対応できていない」という舛添氏の事務所と同様の回答だった。
――細川護熙候補について
松藤氏「細川さんが、ということではないんですけど、細川さんの奥様が、ワクチンを推進していたのではないかという噂を聞きました。その点が不安です」
細川護熙氏の妻、佳代子氏についてIWJが調べてみたところ、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」の理事長を務めていることがわかった。同会は、直接的に子宮頸がんワクチンに関わるプロジェクトへ参画してはいないものの、ワクチンを推奨している団体の一つであることがうかがわれる。
細川氏自身はというと、政策においては、子宮頸がんワクチンの問題に触れていないが、公開質問状には、細川事務所の中島氏が「就任後、ご意見を尊重し前向きに取り組んで参ります」と回答している。
――宇都宮健児候補について
松藤氏「宇都宮さんは、このワクチンの危険を知り、中止すべきと発言していますが、その言葉が強靭ではないのと、どこか法律に則ってという感覚がありますね。弁護士なので、そのような発言になるのかもしれませんが、彼をバックアップする政党の一つが日本共産党で、子宮頸がんワクチンの接種無償化を強く推進してきた党の一つだということが引っかかっています」
宇都宮氏は主要4候補のうち、唯一政策で子宮頸がんワクチンの副反応の現状を踏まえて、「実態調査」とともに「予防原則に基づいて対策を講ずる」と発表。公開質問状には、宇都宮氏自身と「希望のまち東京をつくる会」の連名で、「子宮頸ガンワクチンの接種事業は一時中止すべきである」と回答している。
宇都宮氏が子宮頸がんワクチンの副反応被害を知ったのは、1月9日のイベント「ロックの会」で、IWJが同ワクチンの問題を取り上げ、その場に宇都宮氏がゲストとして参加していたことによる。宇都宮氏らはイベント終了後も、ワクチン被害者の家族として会に参加していた山田真美子氏と交流の時間を持ち、情報交換する一場面が見られた。
松藤氏が懸念する、日本共産党の子宮頸がんワクチンに対する姿勢について、同党の女性委員会は1月21日、IWJの取材に次のようにコメントした。
「日本共産党の基本的なスタンスは、①ワクチンで予防できる病気はワクチンで予防する、②副作用の少ない安全なワクチンを供給する、③ワクチンはだれもが平等に少ない負担で接種できるようにするということです。
子宮頸がんワクチン接種についても、WHOの安全性についての見解、諸外国の例なども検討し、日本で公費による接種、定期化の促進と副作用の少ないワクチンの開発をもとめてきたところです。
接種による副反応の検証などを進めながら、保護者の負担軽減・無料化など、制度の改善・充実をめざします。子宮頸がんについては、検診の拡充などをふくめた総合的な対策をすすめていきます」
子宮頸がんワクチンを「推進」とも「反対」ともとりにくい、不明瞭な回答ではあるが、同ワクチンの接種無償化を求めてきた時期とは異なり、副反応被害が相次いでいる今、積極的に子宮頸がんワクチンを推奨するスタンスは取らないようだ。
子宮頸がんワクチンは、副反応被害が相次いだことにより、厚労省が6月14日にワクチンの積極的な勧奨を一時中止する措置を取っていた。ところが今月にも、ワクチンのお勧めを再開しようという動きが進みつつある。
1月20日に行われた厚労省ワクチン副反応検討部会の審議では、子宮頸がんワクチンの副反応として報告されている広範な疼痛または運動障害が起こった原因について、「心因性」に起因するものだとして結論をまとめようとしている。
福島第一原発事故のあとに報告された健康被害はすべて、「ストレス」のせいであるとされ、放射能の危険性について語ること自体、ストレスを増大させるとした原発推進派の言い分を思い出す方も多いだろう。政府と業界と御用学者が一体となって推進する構図と似ているし、片や再稼働目前、もう片方も勧奨接種再開目前という点も、実によく似ている。
被害にあった方の救済とともに、新たな被害者を生まないということも、松藤氏たち被害者の願いだ。1323万人もの人口を抱える、東京都の都政を担う者として、弱者、マイノリティーに寄り添える人物として、誰がふさわしいのかが問われている。
まじっすか?舛添を功労大臣にして子宮頸がんワクチンの利権で金儲けした自民党は本当に国賊朝鮮政党ですね!許せません!!!