【東京都知事選】「人間はみな平等だ」宇都宮氏、レイシズムを強烈に非難 渋谷の野外イベントに多くの著名人やアーティストが集結 2014.2.2

記事公開日:2014.2.2取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 2月2日、渋谷・ハチ公前で「TOKYO, CHOOSE U.K !! VOTE DEMOCRACY !! & NO-NUKES !!」と題するイベントが開かれ、多くの著名人やアーティストが、都知事選に立候補した宇都宮健児氏の応援演説を行った。

 同イベントには、HIPHOPアーティストのK-DUB SHINE氏、やDJのKampow氏、ランドスケイプデザイナーの廣瀬俊介氏なども参加。

 まだ誰に投票するか決めかねているというK-DUB SHINE氏は、「細川さんにしようか宇都宮さんにしようか迷っている人もいると思う。そこでお互いを中傷しあって、足を引っ張り合う状況はあくまでも避けて欲しい」と訴えた。「東京の投票率は少ない。特に、20~30代の若い世代。その世代がまとまれば世の中は変えられるということを実感して欲しい」と、投票を呼びかけ、ライブパフォーマンスで通行人の足を止めた。

■ハイライト

  • 出演 宇都宮健児候補/吉良よし子参院議員/K-DUB SHINE氏 (MC)/Kampow氏 (DJ)/廣瀬俊介氏(ランドスケイプデザイナー)/松本春野氏(絵本作家)/小林秀一氏(プロボクシング・元日本ウエルター級チャンピオン)/VOTE Tシャツ crewほか

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「平和と核廃絶を発信する『No Nukes』の東京五輪」を

 応援演説した、プロボクシングの元日本ウェルター級チャンピオンの小林秀一氏は、東京オリンピック・パラリンピックについて私見を述べる。

 「スポーツ選手は、自分の身体への影響にすごく敏感。2008年の北京オリンピックだが、当時、中国では大型開発が進み、大気汚染が問題になっていた。マラソンの世界記録保持者だったハイレ・ゲブレセラシェ選手は、大気汚染を理由に出場しなかった。世界中のスポーツ選手が、放射能汚染を心配して、『東京でオリンピックをして大丈夫か?』と思っていると思う」

 続けて、「東京オリンピックが決まる前に、IOCが調査にきた際、東京のホームレスのテントを撤去して、排除したことに憤りを感じた。オリンピックの時も、ホームレスの方々が排除されるんじゃないかと心配している。そういうことを絶対にしない人が知事にならなければいけない。それにはやはり、年越し派遣村で名誉村長を務めた宇都宮さんしかいない」と主張した。

 最後に小林氏は、2020年は、世界の平和運動家たちが核兵器廃絶を目指している年であると述べ、「そんな年に、被爆国である日本でオリンピックをやるのだから、開催都市の知事には、核兵器廃絶を宣言してもらいたい」と提案。「宇都宮さんは政策の中で、『平和と核廃絶を発信する東京』を基本政策に掲げていた。原発も核兵器もいらない、まさに『No Nukes』のオリンピック、これが東京でやる意義だと思う」と語った。

私の生まれ育った東京は、今や「レイシズムのメッカ」

 「宇都宮健児さんが都知事にならなければ、私たちの明日はない」――。

 こう訴えたのは、在日三世の辛淑玉氏。ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク、通称「のりこえねっと」で、宇都宮氏とともに共同代表を務めている。

 渋谷で生まれ育ったという辛氏は、「朝鮮人でも商業高校を出たら就職できると言われたから、都立第一商業高校に入った」と、当時を振り返る。

 「高校一年の時に、一生懸命勉強し、簿記も、そろばんもやった。だけど、在日で就職している人は誰もいなかった。貧乏は苦しい。900円の学費を払うのは大変で、夜は焼肉屋で働き、昼間は学校に行って、朝は新聞配達をした。空き缶やビール瓶を集めれば、一個5円になったから、それをお金に変えて生きてきた」

 このような生き方を、今の若者も強いられようとしている、と辛氏は言う。「明日がない、仕事がない。こんな社会にしたのは、今の政権であり、これまでの政権であり、そして、それを見て見ぬふりし、対立を煽っていたのは、これまでの都知事だ」。

 2000年4月、当時、都知事だった石原慎太郎氏は、陸上自衛隊の「創隊記念式典」に出席し、次のような差別発言をした。

 「東京では、不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな騒擾(そうじょう)事件すら想定される。警察の力には限りがあるので、自衛隊も、治安の維持も目的として遂行してもらいたい」

 いわゆる、「三国人発言」である。

 辛氏は、「『震災が起きたら、朝鮮人たちが事件を起こすから、自衛隊よ、出てきてくれ』ということだ。つまり、私たちが悪いことをするから殺してくれ、と言ったわけだ」。と憤る。

 「私はこの土地で生きている。日本国籍を持った人たちと、一緒に生きている。さまざまな人たちがこの土地で生きている。東京は、私をここまで育ててくれた、懐の深い街。だけど、どんどん壊れていく。あなたと私が喧嘩するように、東京はずっとやってきた。

 そうではない。あなたもわたしも、貧乏は嫌です。あなたも私もご飯を食べ、高校を出たら、就職がしたい。一生懸命働いたら、普通に生活できるだけのお金がほしい」

 そして今、東京は「レイシズムのメッカ」になった。「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ」という言葉が毎週、街を覆っている。私は殺される対象になった――と、辛氏は続ける。

 「だけど、ここが私の故郷。『出て行け』と言われても、ここが私の家であり、ここで私は生きていき、ここで私は飯を食べ、ここで私は恋をして、ここで私は、今、生きている。

 私はレイシズムに対して、『のりこえネット』を立ち上げた。『宇都宮さん、一緒にやってくれないか』と声をかけたら、二つ返事でオーケーしてくれた。ウソばかりの政治の中で、あんたも私も一緒に生きていくと行動したのは、宇都宮さんだ。私に一票はないけど、応援する。みんな、よろしく。一緒に生きていこう」

宇都宮氏「人間はみんな平等。韓国、朝鮮、日本、中国もみんな同じ」

 辛氏からマイクを受け継いだ宇都宮氏は、「『良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ』、『朝鮮人、首吊れ、毒飲め、飛び降りろ』、『ゴキブリ』。こういう日本人が出てきている、大変恥ずかしいことだ」と、レイシズムを強く非難。

 「人間は平等だ。韓国、日本、朝鮮、中国、みんな、同じ人間だ。同じ人間が、なぜ仲良くできないのか。私は、在特会の煽動に煽られて排外主義的なデモをやっている若者と、もう少し一緒に話したい。彼らをああいうふうに駆り立てるのは、一体、何なのか。大きな分かれ目にきている」

 宇都宮氏は、「国が分裂して喜ぶのは支配層だ」と指摘し、「排外主義的な運動が起きるのは、国の指導者に大きな問題がある」との見解を示す。

 「従軍慰安婦問題、朝鮮学校の無償化に対する差別、指導者がレイシズムを煽っている。だから、指導者を変えなければいけない。日本は人種差別撤廃に批准しているのだから、指導者には責任がある。なぜ在日朝鮮人が日本で生活しているのか、強制連行の正しい事実を教える責任が、政治家にはある」

 歴史を隠蔽し、対立を煽るのは「戦争への道に直結する」と宇都宮氏は述べ、「ヒトラーはユダヤ人排撃運動をやり、とうとう国家権力を握ってしまった。ユダヤ人の排撃は、ドイツ市民への排撃につながった。共産主義者、社会主義者、最後はキリスト教徒まで排撃した。ナチスに反対する、あらゆる人たちを排除していった、そして戦争が広がった」と紹介。「同じ過ちを繰り返してはならない」とし、「安倍政権の暴走へストップ」を訴えた。

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「【東京都知事選】「人間はみな平等だ」宇都宮氏、レイシズムを強烈に非難 渋谷の野外イベントに多くの著名人やアーティストが集結」への4件のフィードバック

  1. 中務公平 より:

     「私はこの土地で生きている。日本国籍を持った人たちと、一緒に生きている。さまざまな人たちがこの土地で生きている。東京は、私をここまで育ててくれた、懐の深い街。だけど、どんどん壊れていく。あなたと私が喧嘩するように、東京はずっとやってきた。」
    在特会のような活動には、反吐が出る。
    私には在日の友人もおり、”在日”というポジションにいる方々を一纏めにして批判する事は許せない。
    しかし、辛淑玉氏は、まだ多くの日本人が、さほど”嫌韓”の感情を有していない時代から一貫して日本という国柄を批判し続けてきたのではないだろうか?
    私は、あなたがこれまでして来た、日本に対する発言に哀しく思い、嫌悪感も抱いてきた。
    あなたが、日本人に対しレイシズムを行って来たと感じている。
    極身近な周囲の方々とどのように接して来られたかはわからないが、日本で育ちながら、一貫してその日本人が育んできた文化を否定し蔑むような発言を続けていれば、嫌悪されても仕様がないであろう。
    あなたが、在日であるから嫌われてきたのではなく、あなた自身に問題があるとは一度も振り返ってみた事はないのだろうか?
    「あなたと私が喧嘩するように」してきたような行動をあなた自身はとっていなかったのか?
    このようなメールも誹謗中傷メールにあたりますか?

  2. hanawa より:

    まず、レイシスト養成学校からどうにかするべきではないだろうか?
    ★野村進『コリアン世界の旅』(講談社α文庫)
    (P.133、辛淑玉へのインタビューより)
    ……私、一九七○年頃に阿佐ヶ谷の朝鮮学校(東京都杉並区の朝鮮第九初級学校)に入るまでは、日本の小学校でいじめっ子だったんですよ。日本人の子と「朝鮮人ごっこ」っていうのをして、「あんたは朴」「あんたは李」と、私が決める。気に入らないと名前を付けてやらないわけ。そうすると、みんな朝鮮人になりたくて、私に媚びてくるんですよ。でも、ならしてあーげないって(笑)。ところが、朝鮮学校に入ったら、私より強いやつが山のようにいる(以下略)

  3. ATM より:

    「私達は集団的自衛権も軍隊も持ってるけれど、日本人は恐ろしいから軍隊も持ったら駄目だし、集団的自衛権なんてとんでもない」という差別を平然としてきたのが、あたな方のような朝鮮人の皆様です。
    他人をレイシストと呼ぶ前に、まず自分たちが日本人を差別するレイシストだと気づくことです。

  4. 中務公平 より:

    ヘイトスピーチは、大変嘆かわしい事であり、日本人として恥ずべき振舞いでしかありません。
    一方、歴史は繰り返すものであり、過去にはノイズイマイノリティとも呼ばれていた一部の方が、意に沿わない企業や団体に押しかけて同様の振る舞いを行なっていた事を忘れません。
    さらに時代を遡ると警察署への襲撃などの騒乱事件も起こしていらっしゃいます。
    少なくとも辛淑玉氏の認識からは、そのような事実がスッポリと除かれてしまっているように感じられます。

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