「今年9月の北京APEC会議が、日中首脳会談を開く絶好のタイミング」
防衛省の政策研究機関「防衛研究所」が作成した、「中国安全保障レポート2013」の刊行に合わせ、1月31日に主任研究官の増田雅之氏による記者会見が、日本外国特派員協会で行われた。
(取材:IWJ 松井信篤、記事:IWJ 野村佳男)
特集 集団的自衛権
「今年9月の北京APEC会議が、日中首脳会談を開く絶好のタイミング」
防衛省の政策研究機関「防衛研究所」が作成した、「中国安全保障レポート2013」の刊行に合わせ、1月31日に主任研究官の増田雅之氏による記者会見が、日本外国特派員協会で行われた。
記事目次
■ハイライト
尖閣問題については、国境や主権といった具体論を議論する前に、日中政府は沿岸部の「安全基準」を共有するなど、より全体的な討議を行うべきだと主張。尖閣だけに焦点をあてて議論すべきではないと論じた。討議のタイミングに関して、増田氏は、「今年は、9月に北京でAPEC会議が行われる。日中両国が首脳会談を開くのに良いタイミングだ」と語り、両国の関係改善への期待を述べた。
増田氏は、日中両国の危機管理について、「各国で危機の定義や認識が異なることが問題」だとし、危機管理に対する共通認識を築くことが肝要だと主張した。そのうえで、「両政府間レベルのホットラインはすでに設置されており、日本は人民解放軍との連絡網も存在する。それをいかに機能させるかが問題だ」と、取り組むべき課題を指摘した。
中国における危機管理の特徴として、中国は常に「受動的な被害者」という役割を演じ、「他国を悪者にすることで、自国を正当化することにある」と増田氏は指摘する。また、中国の危機への対応手段について、中国は軍事的な力だけではなく、政治的、経済的、外交的にあらゆる手段を駆使することに特徴があると分析した。
増田氏は、日本にとって、中国との軍事的衝突を避けるための危機管理は可能だとしながらも、「中国の政治的な権益を抑えるための危機管理は難しい」と述べ、軍事面だけではなく、政治面における危機管理のメカニズムが必要だと訴えた。
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