敷地境界線量の確実な削減はALPSによる汚染水処理 ~原子力規制庁定例ブリーフィング 2014.1.14

記事公開日:2014.1.14取材地: テキスト動画
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 2014年1月14日(火)14時から、森本英香原子力規制庁次長の定例ブリーフィングが行われた。福島第一原発の敷地境界線量が制動X線により大きくなっているが、現時点で確実な対策はALPSによる水処理だけだという。

■全編動画

  • 日時 2014年1月14日(火) 14:00〜
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

確実な敷地境界線量の削減策はALPS水処理だ

 東京電力福島第一原子力発電所の敷地境界線量が、汚染水貯蔵タンクから出る制動X線により大きくなっていることに対して、一番可能な方策はALPSによる水処理を行い、ベータ核種を除去することだという見解が示された。

 福島第一原発の敷地境界線は、当初年間1mSvが上限目標値だったが、汚染水をタンクに貯蔵したことにより、最大年間8.04mSvに増大している。その対策について、先週金曜日1月10日に開催された”第16回特定原子力施設監視・評価検討会”でも議論された。

 タンク内の汚染水には、ストロンチウム(Sr)やイットリウム(Y)といったベータ核種が含まれており、ベータ線を発する。それが鋼鉄製のタンクに当たった時などに制動X線と呼ばれるX線を発する。

 今後、増設予定のタンクでも同様に制動X線を発すると予想されるが、明確に抑制できる対策はないという。金城慎司福島第一事故対策室長によると、一番可能な方策は中の汚染水をきれいにすること、Sr、Yを除去するというのが確実ということだ。先ずはその対策を急ぐというのが規制側から東電への要求になる。

一方、ALPSはいまだ試験運転中

 多各種除去設備ALPSはいまだにホット試験運転中であり、本格稼働に入っていない。試験がいつ終了するかということについて、東電は明確な計画を立てていない。しかし規制庁は、東電との面談等の中でも計画を確認しておらず、終了時期は未定。また、性能目標は62核種全てを検出限界値以下まで除去することだが、ヨウ素129など、まだ目標まで達していない核種が残っている。試験的に追加的な対策を設けて試験していると規制庁は把握しているという。

汚染水対策WGはいまだ再開せず

 福島第一原発に関する汚染水対策検討ワーキンググループは、2013年10月24日に第9回が開催されて以降、いまだ再開されていない。この件について、記者会見でも複数の記者が何度も質問している。改めて記者団が「開かれていない理由は、ボールは東電にあるのか?」と質問すると、森本次長は「部分的には東電にあると思う。排水溝のデータを出してもらうというのがひとつの課題となっている。それを踏まえて、今後日程は決めていきたい」と回答した。

 1月10日に開催された”特定原子力施設監視・評価検討会”は、汚染水対策検討ワーキンググループの上位に位置づけられている。このことから森本次長は、「先週も行った会議で、汚染水のことも論点になったので、その部分も含めて東京電力に検討してもらう必要があると思う」と述べた。

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