宇都宮健児氏「米国では貧困家庭から兵士をリクルート」─格差拡大の日本も対米追従の戦争法を着々準備 2013.12.20

記事公開日:2013.12.20取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 特定秘密保護法を成立させた安倍政権が狙っているものは何か。東京都渋谷区で開かれた「第57回 草の実アカデミー 秘密保護法廃止要求集会」で、日弁連前会長の宇都宮健児氏が語った。

 宇都宮氏は、秘密保護法の強行採決の裏で成立した、改正生活保護法や国家戦略特区法などのあらゆる法律が「貧困や格差、働いている人の命を犠牲にする」法律であると指摘し、安倍政権を「とんでもない政権」と批判。秘密保護法は、米国とともに戦争するための法整備の一環であると提起する。

 その戦争をするための法整備の要が、「国家安全保障基本法案」だ。宇都宮氏は、集団的自衛権の行使を解釈改憲で認めるこの法案を、安倍政権は次期通常国会に上程する可能性があるとの味方を示す。「日本が外部生力によって攻撃された場合にのみ反撃できるが、米国が攻撃されても日本は反撃できない。これが、これまで首の皮一枚守られてきた政府解釈だった」。この歴代解釈を変更するために、法案の審査をする「内閣法制局」の長官を、集団的自衛権行使容認論者の小松一郎氏元駐仏大使にしたのだという。

 そんな安倍政権が追従する米国の兵士たちの現実は悲惨だ。宇都宮氏が語る。

 米兵はイラク・アフガン戦争で7千人死んだが、その戦争から帰還した兵士の自殺者は2万7千人。戦争に参加したことで、兵士は正常な感覚が失われる。そんな兵士たちが、再び日常生活に戻れるかどうか、一概にはいえない。

 これまで、自衛隊は東日本大震災や大島の大雨被害の支援など、被災者支援、防災、災害支援組織としては国民から高く評価されてきた。しかし、自衛隊がアフガンなどの戦闘に参加することになれば、帰国後は真っ当な生活に戻れるか、保障はない。そんな自衛隊になれば、これまでと違い、隊員の募集は困難になるだろう。

 「米国では、貧困家庭にリクルート部隊を回す」と宇都宮氏は述べ、自身が08年、米ロサンゼルスでイラク帰還兵から聞いたという話を紹介した。

 米国の学費は高く、その帰還兵は大学を出るまでに約1000万円の借金を抱えることとなった。結婚した妻も、同様だったという。「そうした借金を肩代わりしてもらうために軍隊に入る。そんな中、イラク戦争とかが起こってしまうと、そういう若者がまっさきに戦闘地域に送られる」。

 このような米国の実態を紹介した宇都宮氏は、日本の現状を次のように分析した。

 「安倍政権がやっていることは貧困、格差の拡大政策だ。国防軍になれば、軍に入る人がいなくなる。貧困家庭を多くしておけば、背に腹は変えられないと考える人が増える。このように、安倍政権は『軍に入る予備軍を作ろうとしているのではないか』と指摘した大学教授いたが、あながち間違いではないかもしれない」。

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「宇都宮健児氏「米国では貧困家庭から兵士をリクルート」─格差拡大の日本も対米追従の戦争法を着々準備」への1件のフィードバック

  1. 高津 公男 より:

    12月26日早朝、NHKラジオ深夜便にて、枡野 俊明といったお坊さんが法話をしておりました。著書も調べました。この様な坊さんも登場して頂いて、宇都宮氏の講演を聴いて頂きたい。その上で、再度法話を述べえ頂きたいものです。仏教と法律は当然違います。が、真宗の電話での法話、説法はヨリ現実味があります。これは決して意地悪ではないのです。実に興味深い提案です。韓国では、お坊さんも、政治運動をしている事実を過去、知り合いの坊主から聞いております。韓国に行って一年間修行してますから確かです。実名は伏せます。又、ニコ生では、田中康夫氏が、宇都宮氏を、原理主義者とか表現しておりました。この真意が解せないでおります。以上です。

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