第20回縮小社会研究会 ~分科会報告では10超の代表者が進捗状況を説明 2013.12.14

記事公開日:2013.12.14取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2013年12月14日、京都市左京区の京都大学農学部総合館で「第20回縮小社会研究会」が開かれ、青野豊一氏による「『遅れ』の意識、『成熟』の意識 ─『縮小社会』への道、その諸方策について─」と題した講演や、各分科会の活動報告があった。

 青野氏のスピーチは「農民問題」に関するもので、「農民には概して『自分たちは遅れている』という意識がある」と指摘。「よって農村は、経済成長重視の政策を掲げる政党にとっては、恰好の票田になりやすいと」と続け、農村では今、前民主党政権より「成長」を標榜する安倍政権を評価する声が聞かれるとした。

■ハイライト

  • 青野豊一氏「『遅れ』の意識、『成熟』の意識 ─『縮小社会』への道、その諸方策について─」
  • 討論会「縮小社会について思うこと」

 松久寛氏(京大名誉教授)が代表理事を務める、一般社団法人「縮小社会研究会」が設立されたのは、2013年1月のこと。その設立趣意書には「従来の成長路線はすでに行き詰まっている。この先の破局を回避するには、現代社会の物質的規模を縮小する必要がある」と記されており、今後、必ず本格化する「人口減社会」に、日本および日本人がどう即応していけばいいかを、主に同会主催の研究会で多面的に議論している模様。

「縮小」していく農村

 この日は、その研究会の20回目。まずは青野氏による、農民問題に関する講演が行われた。「衰退の色合いが濃い農村で、村外から人に来てもらって住民を増やすという活性化策には限界がある。短期的には良くなるかもしれないが、永続性が見込まれないと思えるためだ。やはり、昔から住んでいる人たちの意識改革が必要だ」と訴え、そのための具体的方策を、この研究会が取りまとめる努力をすべきだ、と力を込めた。

 また青野氏は、この研究会のテーマである「縮小社会」について、「この研究会のメンバー間でも、人口減を背景にした『縮小』が避けられないという点では、共通認識があるが、縮小後の日本社会のあり方に関するイメージはかなり開きがある」と語り、「会員全員が、持っているイメージを、もっと積極的に表明して、大いにぶつかり合ってほしい」と強調した。

老人医療における価値観の転換

 その後、短い休憩を挟んで再開された集会は、この研究会の分科会の進捗状況の発表が行われた。「縮小社会と道徳・倫理・哲学」「縮小社会と政治」といった名前の分科会が10超あり、会員は興味が持てる分科会に入り、主にメールで議論を交わしてきたという。個々の代表者のスピーチを聞く限り、どれもアカデミックな視点で研究が進められていることはわかるが、話は概して観念的であり、この分科会および研究会が、最終的にどのような成果を上げるかに関しては、現時点では未知数だ。

 大半の発表は、「まだ議論の最中」との旨の言葉で締めくくられ、早めに切り上げられたが、「縮小社会と医学」の分科会の代表者の熱弁は、長い時間をかけた印象的なものだった。老人医療というテーマで、財政の医療費負担増を問題視した上で、「最近の高齢者の間には、老化を受け入れ、死ぬのは当然のことという価値観が広がっているようだ」などと述べ、がんになっても、あえて手術を選ばない高齢者が増える可能性などについて言及した。

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です