第2回 地域経済再生講座 「アベノミクスと私たちの暮らし」 青木秀和氏講演 2013.3.30

記事公開日:2013.3.30取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・松田/奥松)

 2013年3月30日(水)13時30分から、名古屋市中区の名古屋市女性会館で、「第2回地域経済再生講座『アベノミクスと私たちの暮らし』青木秀和氏講演」が開かれた。

 『「お金」崩壊』(集英社文庫)、『公共政策の倫理学』(丸善・共著)等の著書がある青木秀和氏が、アベノミクスと呼ばれる安倍政権の経済政策の実態や問題点について解説した。

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  • 講師 青木秀和氏(財政問題研究家)
  • 日時 2013年3月30日(水)13:30~
  • 場所 名古屋市女性会館(愛知県名古屋市)
  • 主催 緑の党・東海告知

 アベノミクスとは、安倍政権の経済政策に付けられた呼称。2%のインフレ目標の実現や、円高の是正、大胆な量的緩和策、大規模公共事業の実施などが特徴。これら、「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」の3方面の政策展開を「3本の矢」と呼び、デフレからの脱却や名目経済成長率3%の実現を目指している。

 同政策で掲げられている2%の物価上昇目標について、「日用品などの非耐久消費財の物価上昇が避けられない」と、青木氏は指摘する。「安い中国製品の影響などで、家具や家電などの耐久財の価格は下落している。そんな中で2%の物価上昇目標を達成しようとすれば、生活必需品の価格を上げるしかない」と家計への打撃を懸念した。

 また、円安への誘導については、「1ドル95円と仮定した場合、1ドル80円だった2012年と同じ輸出入量であっても、貿易赤字は拡大する。一方、現地生産などが進んでいることから、輸出の大幅な拡大も期待できない」とし、「円安によって、海外への所得移転を進めることになる」と指摘した。

 20兆円にも上る財政出動についても、「基本的に、かつての小渕内閣などで見られた動きと同じ」とし、当時とは大きく異なる要因として、「現状では、これまでの公共事業の縮減の影響による建設業の縮小、原油高による資材や燃料費の高騰が見られ、かつてのような景気浮揚効果は望めない」と指摘した。

 その上で「新たな建設や補修に、また借金を重ねることになる。建設業の縮小で技術継承もおぼつかず、土木利権の復活はあっても、まともな事業は期待できない。劣化した道路や橋が広がる哀れな土建国家の末路をたどることになりかねない」と断じた。

 そして、今後、具体的に起こることとして、生活必需品の高騰、円安基調の中での為替の乱高下、政策による低賃金と雇用の流動化、格差拡大や保険料未払いの増加による国民皆保険制度の動揺、資源・食料・エネルギー価格の上昇などを挙げた。

 青木氏は「庶民がまともな生活を営めることが、持続可能な社会。それをどう実現するか、難しい問題で簡単には答えが出ない。簡単な答えを求めた時に出てくるのがアベノミクスだが、われわれは、そこに安易にすがりつかず、一人ひとりがきちんと考えるしかない」と述べた。その上で、「物々交換といった、身近な人たちとの関係の中で、お金を使わず流通させる、独自の通貨のようなものをつくる。そういった『もうひとつの経済をつくる』というぐらいの気持ちが必要だ」と語った。

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