新型コロナウイルスワクチンの接種後に健康被害を受けた人を公的に救済する「予防接種健康被害救済制度」を巡り、大阪府堺市が「副反応疑い報告」のデータをもとに未申請の市民へ個別にアプローチし、申請をうながす能動的な支援を行っていたことが分かった。
行政手続きの基本とされる「申請主義」の壁により救済から取り残される被害者が全国で課題となる中、自治体が保有データを活用して自ら手を差し伸べた異例の先進事例として注目される。
「申請主義」の壁に風穴 161人に個別連絡、4人が新規申請へ
国の予防接種健康被害救済制度は、ワクチン接種後に健康被害を受けた本人や遺族が市町村の窓口に申請して初めて審査が始まる仕組みだ。
一方、医師が接種後の症状を国へ知らせる「副反応疑い報告制度」も存在するが、両制度はシステム上連動しておらず、医師が報告を上げていても、当事者が救済制度の存在を知らずに未申請のまま放置されるケースが全国で散見されている。
こうした制度の隙間を埋めるため、堺市は独自のアプローチに踏み切った。市内に報告された約170件の副反応疑い事例を対象に精査を開始。個人情報保護や医療現場への配慮から、市はまず報告を行った医療機関へ「患者に連絡を入れてよいか」と事前確認を行うプロセスを経た上で、161件の対象者・家族へ連絡を試みた。救済制度の周知と申請意向の確認を行った結果、新たな救済制度の申請へとつながった。
さらに今回の調査では、接種後の全身倦怠感により学業が困難となった22歳の女性が、3年経過した現在も自宅療養を余儀なくされている状況が判明するなど、長期にわたり放置されてきた健康被害の深刻な実態も浮き彫りとなった。
発端は一市民の地道な情報公開請求と陳情
行政を動かす起点となったのは、堺市の一市民である鹿釜さんによる徹底した調査活動だった。
鹿釜さんは情報公開請求などを駆使して、市内の接種後死亡事例や副反応疑い報告の実態を独自に集計。重篤な症状や死亡例が複数出ているにもかかわらず、救済申請を行っている人が極めて少ない実態を突き止め、市議会へ陳情を重ねて実態調査を要望してきた。
鹿釜さんは、当時の行政とのやり取りについて、次のように振り返る。
鹿釜氏「市内の副反応疑い報告の中には、死亡や未回復の事例がこれだけある。これから病院にチラシを配るような一般的な周知ではなく、すでに被害に遭って苦しんでいる当事者へ直接、救済制度の案内を届けるべきだと市に伝えました」。
市民が声を上げても「前例がない」「国からの指示がない」とゼロ回答で門前払いされることが多い中、鹿釜さんは自ら調査し、具体的な数字を提示し続けた。
「住民自治の本質」貫く長谷川議員の後押し
この市民の粘り強い訴えを受け止め、行政とのパイプ役を果たしたのが、堺市議会の長谷川俊英議員だ。
長谷川議員は、議会での質疑などを通じて市の感染症対策担当部署に働きかけ、市が異例の取り組みを行う大きな後押しとなった。
長谷川議員自身は、ワクチンの是非について特別な先入観を持っていたわけではないとしつつも、議員としての基本姿勢を次のように語った。
長谷川氏「市民がそこまで声を上げていることを、できるだけ市がきっちり受け止めるようにするのは、議員の仕事だと思っています」。
さらに、地方自治法や憲法が定める地方自治の精神に触れながら、市民活動の重要性をこう強調する。
長谷川氏「憲法92条の地方自治の本旨っていうのは、住民自治と団体自治っていう規定があった。やっぱりその住民自治の部分で、いかに市民が活動するか、あるいは市民の手によって自治を動かすかっていうのは、最も大事なことだとずっと私は思ってきましたから。そういう意味では手本みたいな市民ですよ、鹿釜さんは」
浮き彫りになる医師報告の限界と今後の課題
今回の堺市の対応は、大きな前進である一方、新たな構造的課題も浮かび上がっている。
鹿釜さんの調査によると、市内でワクチン接種後当日や数日以内に死亡した事例が、数多く確認されているにもかかわらず、医師による「副反応疑い報告」自体が提出されていないケースが大半を占めているという。
そもそも医師が「関連なし」と判断すれば報告義務が生じない現行ルールの下で、どれほどの事例が把握されないまま埋もれているのか。
鹿釜さんは、死亡届や死因統計との照合といったさらなる実態調査を望むが、そこには個人情報や管轄の壁が立ちふさがる。
しかし、「待つ行政」を脱却し、すでに存在する公的報告から困窮する市民を能動的に掘り起こした堺市のモデルは極めて示唆に富む。
長谷川議員が語るように、市民が丹念に事実を積み上げ、議会がそれを正当に後押しすれば、行政は動く。救済の手を待つ全国の被害者とその家族にとって、堺市の先例は地方自治が果たすべき本来の役割を鮮明に示している。
※寄稿者・プロフィール
藤江成光(ふじえまさみつ)
早稲田大学社会科学部卒。国会議員秘書を14年務めた後、2021年に独立。
新型コロナワクチンや日本人の謎の大量死問題の発信をし、大きな反響を得る。
4年以上、1日も休まずYouTube配信を継続中。総再生回数は5,000万回超。https://www.youtube.com/@FUJIE1
2023年からは厚生労働大臣の会見に記者として参加し、大臣に鋭い質問を投げかけている。
著書に「世界を欺いたコロナワクチン」(宝島社新書 共著)、
「おかしくないですか!?日本人・謎の大量死-知ってください、衝撃の事実」(方丈社)がある。



































