IWJ代表の岩上安身です。
■ウクライナ紛争で核戦争の緊張が高まる欧州! フィンランドとリトアニアは、NATO型核共有は「NPT違反ではない」として国内法の改正を進める! しかし、「核軍縮」を義務付けるNPT違反だとする解釈も!
これまで『IWJジャーナル』で報じてきたように、小泉進次郎大臣は、核をめぐる議論をすべきと繰り返し述べていますが、その背景には「核をめぐるヨーロッパの動き」もあると考えられます。
小泉大臣は、7月17日、「核をめぐるヨーロッパの動き。(中略)フランスは核の増強を明確にマクロン大統領が(中略) 今の安全保障状況を鑑みたら、フランスがしっかりと核の抑止力を高めないといけない、こういったことに舵を切ったわけですね」と欧州情勢を根拠として、「日本も核の議論を進めなければならない」と主張したのです。
小泉大臣は、「フィンランドは、今までだったら『核持ち込みを認めない』という国を、法律を変えて持ち込みを認めるというふうに変えたんですよね」とも述べています。
小泉大臣は7月22日、ベルギーで、マルク・ルッテNAT0事務総長と会談しています。会談後の記者会見で、小泉大臣は「あらゆるタブーなく議論」しなければならないと強調しました。
「フランスは核政策を変更し、新たな展開を見せようとしている。ヨーロッパや世界で起きていることを、あらゆるタブーなく議論しなければ、もはやどの国も1国で安全保障を確立することができないのは当然のことだ」。
小泉大臣の「核議論」は、ウクライナ紛争で核戦争危機に直面している欧州の動きと連動しているといって過言ではないでしょう。
【第3弾! 小泉進次郎防衛大臣が核兵器や原子力潜水艦保有に関する議論を排除すべきではないと重ねて発言!】米トランプ政権との急接近を見せつけた中国は、訪中した岩屋元外相に対し、高市総理の「台湾有事」発言の是正を要求!「反中ポーズ」の高市政権に対して米国からの「援護射撃」はなし!(IWJジャーナル2026.10.2号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20261002#idx-6
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- 【小泉進次郎防衛大臣が核兵器や原子力潜水艦保有に関する議論を排除すべきではないと重ねて発言!】米トランプ政権との急接近を見せつけた中国は、訪中した岩屋元外相に対し、高市総理の「台湾有事」発言の是正を要求!「反中ポーズ」の高市政権に対して米国からの「援護射撃」はなし!(IWJジャーナル2026.10.2号)
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- 小泉防衛相の核めぐる発言 長崎の被爆者「許されない発言だ」(NHK、2026年7月23日)
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-5030027965
『IWJジャーナル』10月9日号でお伝えした通り、日本の現役防衛大臣が、核兵器保有や原子力潜水艦保有の議論をすべきと公に発言したことに対し、中国外交部は「核兵器不拡散条約(NPT)違反」だと批判しました。
NPTは、加盟する非核兵器国の義務は、核兵器を「受け入れない」「製造しない」「保有しない」ことであると明記しています。
つまり、日本が国是とする「非核3原則」「持たず、作らず、持ち込ませず」は、NPTの非核兵器国の義務と裏表一体になっているのです。
日本の「再軍備」化を警戒する中国外交部が「NPT違反だ」と反発する理由はそこにあります。
日本国内でも、長崎県内の被爆者ら32団体が抗議し、核兵器廃絶への切実な願いを訴えるなど、反発の声が上がっています。
- 「タブーなく」核兵器・原潜保有も議論すべきという小泉防衛大臣の発言に、中国外交部が「核兵器不拡散条約(NPT)に違反している」と、反論! 中国は日本の「再軍備」の脅威を世界に警戒するよう呼びかける! 今や、米国よりも中国に、世界のリーダーとしての好感と信頼を寄せる国々が増加! 非欧米諸国から見れば、日本はNPTに違反する「悪の枢軸国」扱いに?(IWJジャーナル2026.10.9号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20261009#idx-3
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では、フィンランドやリトアニアで進む自国領内への核兵器の配備を可能にする憲法改正の動きは、NPT違反にならないのでしょうか?フィンランドやリトアニアは、NPT加盟国であり、日本と同じく非核兵器国です。
フィンランドは、核兵器の輸入・国内輸送・引き渡し・保有を一律に禁じていた国内法を改正(2026年6月成立、7月1日施行)し、核兵器の持ち込み禁止を法改正で解除しました。
非核兵器国の義務を定めたNPT第2条の原文は以下の通りです。
「条約の非核兵器国はそれぞれ、いかなる移転者からも核兵器その他の核爆発装置の移転、またはこれらの兵器もしくは爆発装置に対する管理権の直接的もしくは間接的な移転を受けないこと、核兵器その他の核爆発装置を製造もしくはその他の方法で取得しないこと、および核兵器その他の核爆発装置の製造に関するいかなる援助も求めず、または受けないことを約束する」。
第2条を分解してみると、以下のようになります。
(1)「核兵器またはその他の核爆発装置」と「その管理権」を、直接・間接に受け取らない。
(2)「核兵器またはその他の核爆発装置」を、製造・取得しない。
(3)「核兵器またはその他の核爆発装置」の製造について援助を求めたり、受けたりしない。
(1)と(2)は、非核3原則でいえば「持たない」「持ち込ませない」に関わっており、(2)と(3)は「作らない」に関わっています。
NPTによれば、非核兵器国は「核兵器またはその他の核爆発装置」を「作らない」のですから、すでに核兵器を持っている国から受け取る以外に核兵器を保有する方法はありません。そして、「移転」「取得」は禁止されているのですから、保有できません。「持たない」「持ち込ませない」となるのです。
ただし、NPTは各国の国内法を縛るものではありません。ここに「抜け道」があります。
フィンランドやリトアニアが国内法や憲法を改正して、米国などの核兵器の持ち込みや配備を法的に可能にすること自体は、NPTで禁止されているわけではなく、NPT違反ではないという、ある種の詭弁が成り立つわけです。
- 2015 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT) 27 April to 22 May 2015(United Nations, 2015.5.22)
https://www.un.org/en/conf/npt/2015/text.shtml
しかし、米国や英国、フランスなど、核保有国からの核兵器の持ち込みや配備を法的に可能にする法改正をする以上、フィンランドは米国や英国、フランスなどの核兵器の持ち込みや配備の実施を想定しているわけです。
上記の法改正で、フィンランドは刑法に「フィンランドの軍事防衛、NATOの集団防衛、または適切な意思決定または条約の枠組みにもとづく防衛協力を目的とする場合、フィンランドにおける核爆発物の輸入、輸送、引渡し、または所持が認められる」例外規定を追加しました。
フィンランド政府は、この法改正によって、NATOの防衛協力の枠組みの中で、同盟国の核兵器がフィンランド領内を通過する、あるいは駐留することが可能になる、と説明しています。
そして、フィンランド政府は、それは「NPT違反ではない」と主張しています。
「フィンランドは独自の核兵器を取得または製造することはなく、フィンランド国内で核兵器を爆発させることもできない。したがって、この法改正は、核不拡散条約(NPT)など、フィンランドに拘束力を持つ国際軍備管理条約には影響を与えない」。
フィンランドは独自の核兵器を「取得」するわけではないから、米国・英国・フランスなどNATOに加盟する核保有国の核が、フィンランド領内を通過・駐留しても、NPT違反ではない、という主張です。
フィンランド政府は、NPT第2条の「移転(transfer)」の意味を「取得」に結びつけており、フィンランド国内を米国などの核兵器が移動したり、駐留することは「移転」にはあたらないと解釈しているのです。
このような解釈には、もちろん無理があり、異論が存在します。
オークランド大学のアンナ・フッド氏は、NPT第1条および第2条には深い曖昧さがあるため、NATOなどによる核共有の合法性を問うことはできないが、NPT第6条に規定された「核軍縮義務」は、核共有という慣行の合法性を問うために利用できる、と主張しています。
フッド氏の主張を、以下、ざっくりと見ていきます。
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