東京都知事選への立候補を予定する蓮舫氏の記者会見が、日本外国特派員協会(FCCJ)の主催により、2024年6月14日、東京都千代田区の同協会で開かれた。なお、同選挙の立候補届け出が行われる告示日は6月20日、投票日は7月7日である。
蓮舫氏は、「夏の戦いに向けて、私が問いたいのは、再開発のあり方です」と切り出した。具体的には、神宮外苑の再開発に関して、地球環境問題等の観点から、小池都知事の姿勢を批判し、「一度、立ち止まるべきだ」と、都知事選の争点にすることを明言した。
また、蓮舫氏は、東京都には、特別会計を含め、17兆円にも上る年間予算があり、補助金だけで1.7兆円もあると指摘した。
その上で、この補助金が「どの事業者や自治体に流れているのか」、「第三者、都民、ジャーナリストが、客観的に調査できない」点を問題視し、「このブラックボックスを開けたい」と訴えた。
さらに、「政治とカネの問題」については、都知事選勝利のあかつきには、「大規模な権力を持つ立場」として、「私自身が疑われることのないよう、政治資金パーティーは行わない」と、約束した。
その後、外国メディアの記者多数による質疑が行われた。
蓮舫氏は「具体的な選挙公約」は「来週早々に発表する」と述べ、この日は明らかにしなかった。
しかし、記者からは、台湾人の父を持つ蓮舫氏の外国人政策や、神宮外苑再開発の具体的対応、外国人住民の投票権実現の可能性、自民党打倒の意図の有無、大河原化工機冤罪事件の都による控訴取り下げの可能性、ジェンダー問題、貧困問題など、様々な質問が重ねられた。
こうした一連の質問への蓮舫氏の短い回答から、氏の政治的スタンスが垣間見られた。
立憲民主党最大の支援組織である連合が、共産党が支援する蓮舫氏は支援しないとして、小池都知事支援を決めたことについて、蓮舫氏は、「私は支援者を排除しない」「私への支援を表明する労組もいる」と述べ、「政党や組織でなく、都民のための政治をやりたい」と答えた。
蓮舫氏は、無所属として出馬するとはいえ、野党の最大のスポンサーの顔をしておきながら、いざという時には野党支持者を裏切り、与党サイドにつく、「連合」という名の「政界最大の癌」に対して、媚びない姿勢を貫く構えのようだ。
この点は、今後の立憲民主党のあり方、ひいては野党と労組の関係のあり方についても、重要な問題提起となる。
また、各労組が、ナショナルセンターにまとめられ、政治方針を一元的に決められることが労組の望ましいあり方なのかについての議論も必要だ。
さらには、連合幹部の、「労働貴族」ぶりや、一皮剥けば、その中身は、癒着する自民党と財界と何ら変わらない、「隠れ右派」ともいうべき、改憲支持、対米従属支持、対中戦争支持、原発推進、大企業優先、消費税容認、格差容認の「本音」を暴いていく必要がある。
そもそも、連合などというナショナルセンターは、必要なのか、廃絶して、各労組が、政治的に自立、独立すべきなのではないか。
あるいは存続を認めるとしても、政治方針の一元的な押し付けをやめさせて、本来の労働者擁護の任務に徹底させ、腐敗しやすい「専従」中心の運営を改めて、報道や言論による批判の対象として、きちんと取り上げ直す必要があると思われる。
都知事候補選びの議論とともに、この連合問題を論じなければ、日本の野党がなぜ、ここぞという時には、与党政府財界官界の補完勢力として振る舞うのかの「謎」も、いつまで経っても解明されず、解決もされない。
また、蓮舫氏は、貧困問題については、観光促進のために行われている、都庁舎外壁のプロジェクションマッピングの予算45億円を見直せば、都庁舎の足元で行われているボランティアによる食糧支援の取り組みを支援することもできるだろう、と答えた。
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。