2022年8月23日(火)午後3時より、衆議院本館で、立憲民主党国対ヒアリングが野党合同参加で開催された。
テーマは、「旧統一教会と政府与党との関係」および「国葬問題」に関する前回ヒアリングの宿題への省庁の回答である。
前回ヒアリングは8月18日に行われた。
今回の省庁出席者は、旧統一教会問題が、文部科学省の柳澤好治大臣官房総務調整官と、石崎宏明文化庁宗務課長、法務省の唐澤英城人権擁護局参事官、消費者庁の尾原知明消費政策課長。国葬問題が、内閣府の富永健嗣大臣官房安倍晋三国葬儀事務局参事官と、内閣法制局の乗越徹哉第一部参事官、河田康尚第一部参事官補。
旧統一教会問題に関する宿題は「(名称変更の際の)2回の大臣説明の応接録を含め、2015年夏の方針変更前後の諸々の資料を、出せるだけ」だった。今回、文化庁が提出したのは、教団からの名称変更申請を受理した際の決裁文書、教団が名称変更を法務局に登記した証明書の2点。他は「確認中」という。申請受理決済文書の「規則変更理由」欄は墨塗りされていた。
立憲民主党の階(しな)猛衆議院議員は、朝日新聞が報じた、文化庁が旧統一教会に1998年から11年間で9回事情聴取し、「適正な管理運営」を求めていたとの記事を提示。記事の根拠とされる、国が提出した裁判資料や、旧統一教会とのやり取りの資料の有無を質問した。しかし、石崎宗務課長の回答は、あくまで「確認中」だった。なお裁判とは、元信者が2009年教団側に献金返還を求めて提訴、教団の活動を放置したとして国にも賠償を求めたものである。
- 文化庁、旧統一教会を9回聴取 元信者の提訴で2009年に取りやめ(朝日新聞デジタル、2022年8月22日)
日本共産党の宮本徹衆議院議員は、同記事で、2009年に聴取をやめた理由が「訴訟が提起されて以降は、無用の誤解をさけるため」とあるのは「まったく不可解」「訴訟をやっていても、事情聴取はやらなきゃ」と指摘した。
これに対して石崎課長は、「提訴の内容が教団と国で異なるので、一定の距離を求めたいと思ったのでは」「同じ被告の立場で聴取を続けると、まともに聴取してないと思われると懸念したのでは」と回答した。宮本議員は「事情聴取をやめれば、逆に『なあなあ』と見られる。反対に教団を厳しく聴取すべき」と追及した。
国葬問題の宿題は、まず、「岸田総理発言の『国葬儀は閣議決定を根拠に、行政が国を代表して行いうる』の『国』に、国民や国会が含まれるのか? 含まれるのなら、なぜ内閣の判断だけで行えるのか?」だった。
これに内閣府の富永参事官は、「『国の儀式』は、天皇の即位の礼や大喪の礼、また、吉田元総理や安倍元総理の国葬儀を総称する用語であり、『国』という言葉の一部分だけを切り取ってその部分の意味をお答えすることは困難」と回答した。
小西議員は、これを「はぐらかし」と指摘。他の宿題である、「法制局文書記載の『国の意思』は、国葬儀決定要件に入っているか?」や、「内閣府設置法4条の『国の儀式』『内閣の行う儀式』とは何か?」への回答も踏まえながら、改めて「国葬の主催者は誰か」を問うた。
その他、国葬の期日(9月27日)の理由、37億円とされる費用の根拠、運営業務の発注先、黙祷等弔意の要請可能性等が質問された。
また、立憲民主党の井坂信彦衆議院議員が、「世論の半分以上が国葬に反対しているが、仮に全国民が国葬に反対しても、閣議決定さえされれば、税金を使って国葬は可能か?」と聞くと、富永参事官は「内閣が意思決定すれば、行政はその通りに動く」と回答した。
- 安倍氏国葬に「賛成」30%、「反対」53% 毎日新聞世論調査(毎日新聞、2022年8月22日)
なおヒアリング全体を通して、立憲民主党の山井和則衆議院議員や原口一博衆議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員、日本共産党の田村智子参議院議員はじめ、様々な野党議員が質問を行った。
ヒアリングについて、詳しくは全編動画を御覧いただきたい。