2022年3月23日午後2時より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、NPO法人ぱっぷす、認定NPO法人ヒューマンライツナウ(HRN)の主催により、「緊急院内集会『4月1日からの高校生AV出演解禁を止めてください』18~19歳の取消権 維持存続立法化のお願い」が開催された。
「4月1日からの高校生AV出演解禁」とはいったい何を意味しているのだろうか? HRNは、3月14日に各政党に提出した「AV出演強要等の取消権に関する要請書」の中で、問題のポイントを次のように説明している。
「成人年齢の引き下げに伴い、18~19歳に対するAV出演等の出演同意契約が『未成年者取消』の対象から外れることで、深刻な被害の救済が著しく後退し、法の隙間に乗じた性的撮影被害が深刻化する」。
- 【要請書】AV出演強要等の取消権に関する要請書(HRN、2022年3月15日)
現行の民法第5条では、「未成年者の法律行為」として、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならず、これに反する法律行為は取り消すことができる」と定められている。
だが、4月1日の改正民法の施行により、成年年齢が18歳に引き下げられることで、18歳、19歳は、この「未成年者取消権」を行使することができなくなるため、AV出演強要を含む悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されている。
HRN事務局長の伊藤和子弁護士は、次のように述べた。
「(AV(出演強要による被害)に関しては、多くの議員の先生方にご協力を頂き、2017年の3月に政府方針が出され、啓発活動も積極的にやって頂いており、ありがたいというふうに思います。
ですが、まだ監督官庁が決まっておらず、法律というのもほとんどないわけです。労働者としても消費者としても保護されないというのが現状だと思います」。
伊藤弁護士はまた、上記の政府方針の発出からすでに5年が経過している点について、「何とか『未成年取消』の問題が、成人年齢が引き下げられるまでの間に、実効的な法律ができるのではないかと期待していたのですが、まだそこまではなかなかいかない」と政府の対応の遅れを指摘した。
その上で伊藤弁護士は、集会に参加した国会議員らに次のように訴えた。
「今、こういう状況で、実効的な法律もないまま、18歳、19歳が『未成年取消』の対象から外れてしまうと、一体どうなってしまうのだろうか? 本当に心配をしております。
何とか、いい法律、包括的な法律を作っていただきたいと思うのですが、その前にもう4月から、まさに被害が発生して、1人でも2人でも、もしかしたら死んでしまう人がいるかもしれない。これを救う必要があると思います。
ぜひ、今日はたくさんの国会議員の先生方に来ていただいているので、与野党で知恵を出して、特別立法のような形でしっかり、この被害をなくすという立法的な解決をしていただきたい」。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。