2022年1月6日(木)午後2時より参議院にて、日本共産党 志位和夫委員長 記者会見が行われた。
冒頭、志位委員長より2件の発言がなされた。一つは新型コロナ感染症と政府の対応について、もう一件は核保有5ヵ国が発した声明についてのものであった。
志位委員長は「現在、沖縄県、山口県、広島県が新型コロナ感染症まん延防止等重点措置の対象となっているのには米軍基地の影響が大きい。昨年12月23日に玉城デニー沖縄県知事が岸田総理大臣に、感染が収束するまで、米本国等から沖縄県への軍人、軍属の異動を停止することや、軍人・軍属の基地外への外出を禁止することを要請したが、これが果たされていない。これはたいへんな問題である」と語った。
また、志位委員長は、この日1月6日午前に行なわれた林芳正外務大臣とアントニー・ブリンケン米国務長官の電話協議の内容として報じられている、日本側からの米軍関係者への外出制限の導入を要求と、それに対するブリンケン国務長官の「できる限りのことをしたい」という回答に対しても、「これはまったく不十分な対応で、根本的な問題として日米地位協定の見直しが必要である。これでは日本政府が独立国の政府だとは言えない」とも発言した。
一方、3日に米国、英国、フランス、中国、ロシアの五つの核保有国が「核兵器国間の戦争回避と戦略的リスクの軽減が最も重要な責務」「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならないことを確認する」などと表明する共同声明を出したことに関し、志位委員長は、「核保有5ヵ国の核兵器固執の態度は変わっていないと見る。ただし今回は核兵器禁止条約への非難の言葉がなかったことに注目したい。これまでは核保有5ヵ国が共同声明を出すと必ず禁止条約への非難が述べられていた。そこが禁止条約の批准国が全世界128ヵ国となり、保有5ヵ国もそれを認めざるを得なくなったのだと考える」と述べた。
- 核保有5カ国の共同声明全文 「核戦争を決して戦ってはならない」(朝日新聞デジタル)
その後質疑応答が行われ、IWJ記者は、以下のように質問した。
「最近レールガン兵器開発について報道があります。リニア技術を応用するレールガン兵器は膨大な電力を必要とするとのことで、またも原発依存が深まりそうです。また発電所が軍備と連結されてしまうということも考えられます。
原発の防衛は現状、何も行っていません。ミサイルだけではなく、ドローン兵器等によって、電源喪失を引き起こされれば、レールガンも動かせず、全国各地でメルトダウンが起こり得ます。
日本政府は米国に引きずられて、台湾有事が起これば、自国の戦争として参戦するという意思を固め、そのために憲法への緊急事態条項の導入を急いでいるように見えます。
原発とレールガンの不可分性、緊急時代条項についてどうお考えになりますか? 志位委員長のお考えをお聞かせください」。
これに対して、志位委員長は、以下のように回答した。
「その新しい兵器について、私は十分な知識を持ち合わせていませんので具体的に踏み込んだお答えはできないのですが、全体の流れとしては、今やられている方向、すなわち敵基地攻撃能力の保持、あるいは憲法9条の改定などには断固反対です。
向こうが軍備で来た、それにこちらも軍備で応える、この安全保障のジレンマ、軍事対軍事の悪循環に陥っていく、そのことによって双方に戦争の意志がなくとも偶発的に衝突が起こることもありうる。
そういうエスカレートに入ってはいけない。ASEAN(東南アジア諸国連合)がやっているような、平和と地域協力の話し合いの枠組みを、EAS(East Asia Summit東アジア首脳会議)のように強化していく、紛争問題をエスカレートさせない、国際法にもとづく平和的な話し合いを持つという外交に努力を傾注すべきだというのが私どもの考えです」
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。