麻生太郎副総理兼財務相は、2021年7月5日に東京都内で行った講演で、2つも大問題発言をした。
ひとつは、「日米で台湾を防衛しなければならない」である。これは台湾有事には日本は米国とともに中国と戦争をするべきだとの政治的・軍事的な意思表示であり、戦争煽動発言でもある。現実になれば、原発が林立する日本列島全土に、中国のミサイルが降り注ぐ事態を意味する。
加えて麻生大臣は、日本のコロナによる10万人当たりの死者数をあげて、政府の対策は「先進国で最もうまくいっている」と発言したが、これはまったくのフェイク発言である。日本と同じOECD加盟国の韓国や、オーストラリア、ニュージーランドのほうが、10万人あたりの死者数は、はるかに少ない。さらに麻生大臣は、東京五輪は「巨大な祭典なので気分も変わる」と、コロナ禍の現実は変わらなくても、気分さえ変わればそれでよいと取れるトンデモ発言も行った。東京五輪を決行すれば、どう抑えようとしても人流が増え、コロナの感染拡大は必至であるにも関わらず、である。
しかし、首都圏の感染拡大は急速に進み、東京都では4回目の緊急事態宣言が7月12日から発出。そこに変異株があふれる世界から、約5.3万人もの選手や関係者が来日する。しかし水際対策や「バブル方式」は穴だらけなのである。