前回の寄稿では、丸山穂高衆院議員の戦争発言は、「戦争ができる国づくり」に邁進する安倍政権の補完勢力となることで成功してきた維新の創業者、橋下徹・元大阪市長に丸山氏が「再教育」を受けたことに起因しているのでは、という可能性について触れた。
今回は、与野党議員によって異なる対応をした外務省職員に対する、丸山氏の「ヤッカミ」から飛び出した可能性のある「買春願望発言」について触れる。
▲丸山穂高衆院議員ホームページより
「週刊文春5月30日号(23日発売)」のグラビアページ「Catch Up 『戦争』と平和」は、直撃取材を受ける丸山氏と偶然隣り合わせた桜田義孝・前オリパラ大臣五輪担当が並んでいる非常に意味深な写真を掲載した。
この週刊文春の記事では、2019年5月11日に国後島を訪れていた丸山氏が「俺は女を買いたいんだ!」などの暴言を吐いたことを紹介。同日発売の週刊新潮も買春願望発言などを紹介したことから、議員辞職を求める声はさらに強まった。
しかし政権補完勢力なのに野党扱いされたヤッカミから買春願望発言が飛び出た可能性もある。実は、グラビア写真で隣に居合わせた桜田氏は、サハリン訪問時に外務省職員によって買春可能なバーに案内されたことが2002年4月5日付北海道新聞(東京新聞と中日新聞も同時配信)の記事「外務省職員が買春手配 自民党国会議員6人にサハリンで」で次のように報じられていたのだ。
「鈴木宗男衆院議員を団長とする自民党国会議員団七人が二〇〇〇年八月にロシアのサハリン州を訪問した際、外務省職員が、鈴木氏を除く六人をホステスが売春に応じることで知られるバーに引率し、その中の一部議員に女性を個別に紹介していたことが分かった」「関係者の話を総合すると、六人は同年八月二十一日夜、同州ユジノサハリンスクで、ハバロフスク総領事館出張官事務所(現ユジノサハリンスク総領事館)が用意した車に乗り、宿泊先とは別のホテルの六階のバーを訪れた。同行した複数の同省職員がホステスらとの通訳などをした後、一部の議員は個別に女性を伴って客室のある下の階へ行き、一時間前後でバーに戻ったという。目撃者の一部は『外務省職員が女性に現金と部屋の鍵を渡していた』と証言している。このバーはホステスが売春に応じる店として知られ、同省の現地職員も認識していた」。
(2002年4月5日付北海道新聞より)
東京地裁は「(桜田義孝議員が)自ら疑惑をもたれるような行動をした」と指摘するも、新潮社に名誉棄損で100万円の支払い命じる不可解な判決
議員名を伏せられていた北海道新聞のスクープ記事を、週刊新潮は2002年4月25日号で「『鈴木宗男団長』サハリン訪問議員団の『買春』疑惑話」と銘打った記事で、国会議員の名前を出して追いかけた。これに対し桜田氏は「名誉を傷つけられた」と提訴。2004年3月23日に東京地裁は新潮社に100万円の支払いを命じた。「買春が真実であるとも、真実であると信じた十分な理由もない」と認定したためだが、同時に桜田氏が「自ら疑惑をもたれるような行動をした」とも指摘した。
不可解な判決である。裁判所は、買春可能なバーに案内された買春疑惑は認めたが、買春が真実か真実相当かを新潮社が立証できなかったので桜田氏の勝訴にしたという。週刊新潮編集部は「『疑惑を持たれる行動』と認定しながら、主張が受け入れられず残念だ」(2004年3月23日配信の毎日新聞)というコメントをした。
いずれにしても、密室の中で女性と2人きりになって何をしたか特定できなくても、そのような状況に至ることが可能なバーに行ったのは、北海道新聞が伝えた通り事実であり、判決が認定した疑惑をもたれるような行動をしたことには、大いに疑問がある。日露間は国家間の緊張がまだ続く。もしその女性がハニートラップを仕掛けるロシアの諜報機関筋の女性だったらどうするのか。外交の交渉相手国に日本の国会議員が致命的なスキャンダルを握られてしまう可能だって否定できない。
「鈴木宗男先生は外出したらしいじゃないか!」丸山議員暴言の原因は、与野党で大きく異なる外務省対応へのヤッカミ!?