北方領土は「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と発言した日本維新の会・丸山穂高衆議院議員が除名処分! あなたは緊急事態条項を含む改憲と維新の国政進出に「賛成ですか? 反対ですか?」 2019.5.14

記事公開日:2019.5.14 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 日本維新の会の丸山穂高衆議院議員が、北方四島は「(戦争をしないと)取り返せない」と発言した問題で、維新の会は5月14日、丸山議員を除名処分とする決定を下した。14日、除名処分が決定する前には、維新代表の松井一郎・大阪市長が、「国会議員としての一線を越えた。これまで北方領土返還に向けて尽力してきた全ての皆さんの行為を踏みにじる発言で、辞職すべきだ」と述べた。丸山議員は14日午前に離党届を提出していたが、受理されなかった。

▲丸山穂高衆議院議員(日本維新の会ホームページより)

 丸山議員は5月10日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として、国後(くなしり)島を訪問した。11日夜に行われた訪問団員との懇談で、丸山議員は、元国後島民で訪問団長の大塚小彌太(こやた)さんに対し、「戦争でこの島を取り戻すのは賛成ですか?反対ですか?」「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?」などと無遠慮に問い詰めた。

 大塚さんが「戦争なんて言葉は使いたくないです」と応じると、丸山議員は「でも取り返せないですよね?」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と、大塚さんにしつこく迫った。

 この一連の発言について、丸山議員は12日、訪問団員全員に対して「ご迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と謝罪した。しかし、13日の記者会見では、「(マスコミに)発言を切り取られており心外」と居直った。

 松井市長は13日、丸山議員の一連の発言について、「前後の脈絡を精査しなければならないが、戦争で取り返すようなことは、我々党として一切そういう考えはありません」と説明。しかし、14日になって、松井市長は丸山議員に議員辞職を促し、急に厳しい姿勢を示した。新聞だけでなく、実際の発言の模様がテレビで流され、「切り取られた」などという弁明が通じなくなり、批判の声も高まったからではないかと思われる。

 IWJは、丸山議員の発言の真意を問いただすため、取材を申し込もうとしたが、丸山議員の事務所に3回電話をかけても誰も出なかった。

 丸山議員が11日夜に「戦争しないとどうしようもなくないですか?」などと発言していた時、酒に酔っていたことも報じられている。しかも、酒に酔って問題を起こしたことは、今回が初めてではない。

 2015年12月末、丸山議員は都内の居酒屋で酒を飲み、店から出たところ一般男性と口論になって、男性の手に噛みつき、警察から事情聴取を受けていた。この不祥事について丸山議員は2016年1月13日、「先日の不始末について猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません」と、ツイッター上で宣言した。

 「禁酒宣誓」を破って、北方領土の返還に戦争の必要性を訴えた丸山議員に対して、維新は除名処分を下した。松井市長は、北方領土を「戦争で取り返す」ことを否定した。しかし、維新は、緊急事態条項を含む憲法改正を熱烈に支持していることを忘れてはならない。

 維新の「生みの親」である自称「私人」の橋下徹氏は、4月8日放送のフジテレビ系の番組「とくダネ!」に生出演し、「大阪都構想」について、「あとは公明党次第。公明党候補がいる関西の衆議院選挙の6区すべてに、大阪維新の会のエース級メンバーを立てる」と述べている。

 さらに、「公明党が話をつけるのか、それともガチンコか。公明党の勢力図が変わって、憲法改正という話に行くかもしれないでしょ?」と発言。「公明党を壊滅させる」かどうかは、公明党の都構想に対する賛否次第であることを突きつけた。

 公明党はこれまで都構想に反対してきた。しかし、橋下氏の「脅し」に屈したのか、公明党大阪府本部幹部が大阪維新の会幹部に対し、都構想に賛成する意向を伝えたことが、5月14日、朝日新聞によって報じられた。維新は、2020年秋から冬の時期に、都構想の賛否を問う住民投票の実施を狙っている。

 公明党は維新に妥協して都構想に賛成したことで、「壊滅」を免れるかもしれない。しかし、国政においては、衆参ともに3分の2以上の議席を改憲派が占めた暁には、自民、公明、維新が中心になって改憲を発議する可能性が、より高まった、といえるのではないだろうか。

 橋下氏が8日放送の「とくダネ!」で改憲への道筋を示してから、維新は改憲勢力としての立場をはっきりと示している。

 橋下氏自身は、4月11日放送のAbemaTVの番組「News BAR 橋下」で、「大阪の公明党をすべて落選させて、憲法改正!」と、改憲を強く求めた。

 維新政調会長の吉村洋文・大阪府知事は4月9日、改憲について「ダイナマイトみたいにボカンと国会でやりたい」と公言した。幹事長の馬場伸幸衆院議員は5月9日の衆院憲法審査会で、「(国民投票の)CM規制問題以外の問題も片づけていくべきではないか」と、改憲発議を急ぐような発言をした。

 岩上安身は昨日、丸山議員の「戦争しないと」発言を分析して、次のようにツイートしている。

 「維新は野党ではなく、ゆ党。さらに改憲勢力という括りでは、確実に自公サイド。公明よりも右派。改憲して何をするか、という腹のうちが、酒を飲んで緩んで、表に出てしまっただけ。やることは決まっている。戦争。しかも必敗なのに挑む、超愚かな戦争。改憲派=亡国の戦争遂行派。#許すな戦争煽動」

 「『新憲法の大合唱』の口火を切ったのは、維新の創業者の橋下徹氏。その維新から、『戦争で北方領土を取り返す考えがあってもいい』と、改憲派の本音を露わにする発言が。権力者を制約するのが憲法。そのタガを緩めようとする自民党や維新などの改憲勢力の言い分を聞いたら、どこへ向かうか、一目瞭然」

 神戸学院大学法学部の上脇博之教授が、自身のブログに「政治資金問題から見える『維新の正体』」と題して、現在44本も投稿している。14日更新された最新の投稿では、丸山議員の政党支部「日本維新の会衆議院大阪府第19選挙区支部」が、裏金を持っていた可能性を指摘している。

 ぜひ、以下のURLから上脇教授のブログをご覧いただきたい。

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