「ニュース女子」ヘイトデマ問題で最悪の開き直りをみせた番組制作会社・DHCシアター!「基地反対派の言い分を聞く必要ない」と断言!日当デマも根拠なく「合理的な疑いを持たざるをえない」と居直り!(第5弾) 2017.1.24

記事公開日:2017.1.24 テキスト
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(文:岩上安身)

特集 ニュース女子
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 まさかここまでの醜態を晒すとは、誰も予測できなかったのではないか。

 「沖縄ヘイトデマ」を垂れ流したTOKYO MXの報道バラエティ番組「ニュース女子」をめぐり、番組制作会社の「DHCシアター」が2017年1月20日、「表現上問題のあったものだとは考えていない」「基地反対派の言い分を聞く必要はない」と居直ったのだ。

記事目次

反対派への日当は「合理的な疑いを持たざるをえない」!? 呆れたDHCシアターの開き直り!

 1月2日の「ニュース女子」は、沖縄の平和運動に参加する市民らに「日当」が支払われ、何者かに「雇われている」と印象づける内容となっていた。IWJは3度の記事で、いかに番組が「デマ」と「ヘイト」に満ちたものだったかを検証した。ぜひご覧いただきたい。

 DHCシアターはIWJを含め、各メディアの取材に沈黙を貫いていたが、番組への批判の声が鳴り止むことはなく、放送から2週間以上が経った1月20日、DHCシアターのホームページ上で、代表取締役社長・濱田麻記子氏と番組チーフプロデューサー・山田晃氏の連名で「ニュース女子番組見解について」とするコメントを発表した。

 DHCシアターは「当該VTRではのりこえねっとのチラシに記載された5万円と茶封筒の2万円について」として、「のりこえねっとのチラシを元に5万円の交通費が支払われていると紹介しましたが、これはその是非を問うものではなく、事実のみを紹介したもの」と主張した。

 5万円は特派員のための「飛行機代相当」に過ぎない。DHCシアターは「事実のみ紹介した」というが、番組のスタジオトークでは司会をつとめる、東京・中日新聞論説副主幹という立派な肩書を持つ「ジャーナリスト」長谷川幸洋氏が「5万円の日当は誰が出しているのか」と「日当」という言葉を用いており、誰もこの発言を訂正するでもなく、編集でカットするでもなく、「5万円の日当が出ている」という前提で番組はそのまま放送された。「事実のみを紹介したもの」というDHCシアターの言い分は通じない。

 番組ではオスプレイ・ファンクラブなどで活動するボギーてどこん氏が米軍普天間飛行場で発見されたという「茶封筒」を根拠に、基地反対派に「日当2万円」が支払われているかのように報じている。DHCシアターはこれについて、次のように強弁している。

 「日当2万円の根拠についても、貰ったと証言されている方がおり、その茶封筒は反対派で占拠されている状態の基地ゲート前で拾われ、証言と茶封筒の金額が一致しているところからも合理的な疑いを持たざるをえません」

▲ボギーてどこん氏が示した茶封筒のゴミ

▲ボギーてどこん氏が示した茶封筒のゴミ

 ならば、その「もらった」と証言している人間を登場させるべきではないか。その人物と番組側は直接コンタクトして、取材をし、証言を得たのか!? 噂話ではなく、本当にそういう人物がいると、その実在を証明し、かつ、その人物の証言が信用に値するという証明をしなくてはならない。

 番組側はそうした裏付け取材を行ったのか?また、「もらった」と主張する人物から、「証拠」として茶封筒を提供されたというのであればまだしも、誰のものともわからない「ゴミ」を「反対派のものだ」と決めつけるとはなんといううかつさ、なんという思い込みの激しさだろうか。その「ゴミ」は本当に「基地ゲート前」に落ちていたものなのか?番組側は確認したのか?またそうだとして、反対派住民の落としたものだと結びつける証拠がどこにあるのか。何が「合理的な疑い」なのか。

 こんな論理の飛躍が許されるのなら、基地反対派の評判を貶めるために、そのへんのゴミを持ち出してきて、反対派の落とし物だとデッチ上げた可能性についても「合理的な疑い」を持つことができることになるだろう。

 ボギーてどこん氏自身がIWJの取材に対し、「私は、あの茶封筒が基地反対派のものだとは言っていない」「普天間飛行場周辺に落ちているゴミがすべて反対派のものとは限らない」と認めているのだ。

 さらにDHCシアターは、「VTRでは『可能性を指摘する』ものとし『2万円の日当』を断定するものではなく、疑問として投げかけております。以上のことから、表現上問題のあったものだとは考えておりません」とも表明している。

 先述した通り、「東京・中日新聞論説副主幹」という、きわめて社会的信用の高い肩書を持つ「ジャーナリスト」の長谷川幸洋氏が、何の留保も説明もなく、「日当」という言葉を用いている。

 これで「表現上問題ない」など、よく言えたものだ。ボギーてどこん氏も、「茶封筒は一次的な資料として提起して、それを見た方々が推測したり検証したりすればいい」とIWJに述べている。基地反対派を誹謗中傷しながら「断定していない」と逃げ回るDHCシアターとボギーてどこん氏。両者の対応を見るにつけ、「日当デマ」は、両者合作の悪質な「印象操作」だったのだと「合理的な疑いをもたざるをえない」。

 失礼ながら、DHCシアターにも、TOKYO MXテレビにも、報道番組の制作・報道局として、特段の高い社会的信用があるわけではない。そこに真実性を担保する役割を果たしているのが、長谷川幸洋氏の存在である。いや、長谷川氏個人というよりも「東京・中日新聞論説副主幹」という肩書が担保となっている、と言うべきか。報道生番組におけるMCの役割はきわめて大きい。言葉の用い方ひとつで記者に与える影響力はがらっと変わってくる。

 「日当」という言葉を用いたのが「東京・中日新聞論説副主幹」としての長谷川幸洋氏であれば、これは長谷川氏本人はもちろんのこと、長谷川氏が属する東京・中日新聞に、見解を問いたださなくてはならない。IWJは1月17日に同社へ取材を申し入れ、質問状も送ったが、23日現在、いまだになしのつぶてである。返事ひとつない。これは東京・中日新聞という会社が、長谷川氏の言動を黙認する、ということなのか。面倒なことになったが、自社の看板「ジャーナリスト」を批判できないので見て見ぬふり、質問状にもスルー、とぼけてやり過ごそうということなのか。我々としては判断がつきかねている。

 東京・中日新聞は、社としての見解を示すべきである。長谷川氏が「ジャーナリスト」失格だとしても、そんな人間をかばい、批判ひとつできないのであれば、同社でもまた、自浄作用が働かない、その他大勢の「マスゴミ」と何ら変わりのない存在だということになる。

 それでいいのか。東京・中日新聞は。重ねて、そう問いかけたい。

テレビでは報じなかった「その他のデマ」をもって取材不足を「言い訳」

 DHCシアターは、「二見杉田トンネルの向こう側の取材を断念した件」についてもコメントしている。

 「ニュース女子」内で現地取材を行った軍事ジャーナリスト・井上和彦氏は、高江へ向かって現地取材を行うかと思いきや、高江から40km以上も離れた名護市の「二見杉田トンネル」の手前でストップ。番組では「反対派の暴力行為により、地元の住民でさえ、高江に近づけない」とナレーションが流れ、井上クルーは取材を断念した。

▲二見杉田トンネル(2017年1月7日、IWJ中継市民撮影)

▲二見杉田トンネル(2017年1月7日、IWJ中継市民撮影)

 ジャーナリストでありながら取材もせず、遠く離れた場所から「反対派は危険」という悪質な印象操作を行っているとして強い非難を集めたが、DHCシアターは、「地元の方々からは二見杉田トンネル以降にもいくつかの危険があると助言されております」と主張し、次のように展開した。

 「以前同トンネルから4、5キロほど離れた汀間漁港で反対派の方と高江の作業員の方との交通事故があり、これは高江の作業現場から汀間漁港まで、反対派の方が作業車を追い回した結果起きてしまった悪質な事故であったこと。

 またトンネルから高江ヘリパッドの間では基地反対派によって車両のナンバープレートが記録され、基地ゲート前に到着する前に暴力的に阻止された、等々の証言。

 これらの情報の中には裏取りができないものもあり、番組では一切使用しておりませんが、番組制作者としては事前調査の段階で、こうしたリスクも踏まえ、現場取材者や協力者、撮影スタッフの安全に配慮するのは当然のことと考えます」

 裏取りしていない情報をさんざん好き放題に垂れ流しておきながら、それとは別にまだ反対派を中傷する出処不明の情報を持ち出し、「これらの情報の中には裏取りができないものもあり、番組では一切使用していない」とは呆れるばかりである。

 要するにこれは、釈明の文章の体裁をとりながら、新たに、裏取りしていないいいかげんな中傷情報を開陳しているのである。デマにデマを重ね、中傷に中傷を上塗りしているわけであり、何の弁明にもなっていない。DHCシアターの醜態は、もはや目も当てられない。

 「ニュース女子」は、「高江には反対派の暴力行為で近づけない」とも報じたが、高江の現場にはこれまでも独立メディアのIWJやフリージャーナリストだけでなく、既存の民放各社も頻繁に出入りしている。二見杉田トンネルから先には大型リゾートホテルや大浦湾などの観光名所がいくつも存在しており、観光客も、地元住民も、ごく普通にこの道を利用している。

 あたかも反対派が暴力集団で、高江一帯が危険きわまりない場所であるかのようなデマを垂れ流す、井上氏の取材VTRは、地域に対する風評被害さえ招きかねない、極めて悪質なものだ。

 IWJは前回の記事でそう批判したが、DHCシアターの釈明はIWJの指摘にまったく応えられる内容になっていない。

 百歩譲ってDHCシアターが警戒するような「基地反対派」がトンネルの先にいたと仮定しても、彼らに直接取材しようとしない井上氏にジャーナリストを名乗る資格はなく、「ニュース女子」は「ニュース」を冠する資格などない。

一方的にヘイトデマを垂れ流しながら「基地反対派の言い分を聞く必要はない」!

 DHCシアターは、「基地反対派の取材をしないのは不公平との批判について」として、「そもそも法治国家である日本において、暴力行為や器物破損、不法侵入、不法占拠、警察官の顔写真を晒しての恫喝など数々の犯罪や不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の言い分を聞く必要はない」と断言した。

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