国産米の価格に影響を与えないよう、海外産の安いコメの輸入を国の管理下で行う「売買同時入札」(SBS)で、不透明な取引が発覚した。卸売業者が輸入業者から「調整金」を受け取ることで、実際には国が設定する予定価格より安く市場に流通させていたのだ。国産米を守るはずの制度が骨抜きにされており、臨時国会でのTPPの承認案や、TPP対策費を含む補正予算審議がなし崩し的に進められていくことに、強い懸念の声が上がっている。
2016年9月27日、山本有二農水相は記者会見で、この問題について「食糧法上は格別の問題ではない。違法性はないと考えている」と強調した上で、「実態は調査中」と説明した。IWJ記者が「今後、何らかの対策や是正措置が取られる可能性はあるか?」「農水省が調整金の問題をあらかじめ把握していたと指摘されているが?」と質問すると、「その点も含めて調査している」と繰り返し、農水省側の責任問題については「違法性を含めて考えていきたい」と、今後、責任問題にはしない可能性を滲ませた。