公益社団法人・自由報道協会に所属する元週刊朝日編集長の山口一臣氏、週刊金曜日編集部の伊田浩之氏らが企画したトークイベント「検証!日本人人質事件」が2月18日、東京・新宿のネイキッドロフトで行なわれた。
イベントには、元自民党参議院議員会長の村上正邦氏、「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎代表が登壇した。
(IWJ・石川優)
※2月25日テキスト追加しました!
公益社団法人・自由報道協会に所属する元週刊朝日編集長の山口一臣氏、週刊金曜日編集部の伊田浩之氏らが企画したトークイベント「検証!日本人人質事件」が2月18日、東京・新宿のネイキッドロフトで行なわれた。
イベントには、元自民党参議院議員会長の村上正邦氏、「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎代表が登壇した。
記事目次
■ハイライト
トークイベントが始まると、村上氏が怒涛の如く、昨今の国会の様子について話し始めた。
「首班指名が去年(2014年)。人質事件があった。予算が組まれる。年が変わって、首班指名を受けた時に、所信表明演説をやるのが、普通です。それが立法府に対する行政府の礼儀なんです。それを自民党の国対も言わなきゃ、黙って、口をチャック。野党もそれを要求しない。国会はボケている。一強多弱の弊害だと思うが、野党も諦め、与党もボケている。緩んでしまっている」
村上氏は、安倍政権のみならず、野党もだらしがないと批判した。
話題が今回のイスラム国による邦人人質事件になり、村上氏は「安倍さんはどんな心境で…結局、解散をやり、衆議院選挙をやり、首班指名をやり。その間、人質取られていたんですよ、しかし、国民には一切明らかにしなかった。私は問題があると思いますよ」とコメント。人質事件をめぐる政府の対応を断じた。
批判の手を緩めない村上氏は、こう続ける。
「安倍さんは口を開けば、憲法改正、主張してますね。何故、憲法改正するか、国家は国民の財産と生命を守っていく義務があると彼は言う。今の憲法ではそれが果たせないからと言っています。しかし、実際は2人、明日の命がわからない状態にあって、それを知らなかったと言う。
そして、中東に行って2億ドルを援助すると言った。イスラム国の拉致した方は、その数字を頭に置きながら、2億ドル持ってこいと。安倍さんはその後、一糸足りとも国民に拉致の手を触らせることは致しませんと言っている。よく、あんなことが言えるもんだと思います」
さらに村上氏は、ヨルダンの現地対策本部長を務めた中山泰秀・外務副大臣についても酷評した。
「私は彼がヨルダンから帰国したら、すぐ、辞表を出すと思っていた。総理がハッタリ効かせれば、子分もハッタリ効かせるんだね」 村上氏の話は、山本太郎氏への期待に変わる。
「安倍さんのやっていることは逃げまくっていること。なぜ、参議院の連中でも言わないのか。代表質問聞いていたって、本当に皆、言わないね。本音を。国民の怒りというのを代弁してくれる人がいない。残念に思う。
そういう意味では(山本)太郎さん、国会議員の過去見ても、何言ったっていいんです。この人は。少々のことは。ましては小沢(一郎)と一緒にやっているんだから。この人は、金儲けしようなんて思って、国会議員になったわけじゃないんだから。
言いたいこと言ってね、園遊会で天皇陛下にあんなもの渡すという、そういう度胸があるならね、本会議場で、安倍さんの所へ行って、テーブル叩いて、国民の怒りを知れよというぐらいのことをやってもらいたい」
山本氏が「衛視に連れて行かれる」と、村上氏の提案に答えると、村上氏は「連れて行かれたっていいんですよ。それを必ず場面を追っかけるから、マスコミが。本会議場でやれば」と発破をかけた。
村上氏は、「テロを仕掛ける連中は神経が狂ってる」とも発言し、「誰か一人は狂わなきゃ、こういう連中を相手にできない。だから、国会議員に狂ってもらいたい。そういう人が出てきてもらいたい」とも話した。
村上氏は、国会議員辞職後、朝、スパで入浴したり、ジムで汗を流していると現況を語り、そのスパに、現職の国会議員も朝、来ていることを明かした。
「かつて、福島の災害の時の参議院の災害対策特別委員長やっているのが、朝からのんびり、『いい湯だね』、なんて、湯に浸かっているもんですから、私は、言ったことあるんですよ。
『朝っぱらから、いい湯だねなんて、いい身分だね』って。私らの現職の時は、朝から朝食会をやっていた。真剣にどうしようか、この人達の心に寄り添って、復興を一日も早くしていかなきゃならん。救っていかなきゃならん。そのためにはどうすればいいか、議論を戦わせていた。
ところが、お前らは何だ、朝っぱらから。いい湯だねなんて。何事だと言って、僕は怒ったことがある。そしたら、『あんたには言われたくないね』。こうこきやがった。あんたに言われたくないなんて、どういうことだと怒鳴った」
自民党参議院会長を務めた村上氏は、国会に登庁する際、まずはじめに向かっていた場所は、自民党の部屋ではなく共産党から挨拶回りに行き、野党各党の部屋、全てに挨拶して回り、最後に自民党の部屋に行っていたという。
「まず、行くのは共産党からなんです。朝、共産党は共産党の溜まりで議員総会をやっている。そこへ、『おはよう!』と言って入っていくんです。珍客が来たと初めは思っていたらしく、議員総会ですから、『村上先生、ちょっと出て行ってください』と言う。『何言っているんだ、挨拶に来たんだ。挨拶に来たやつを出て行ってくださいとは、そんな非常識なことないだろ』と、そう喧嘩ふっかけて」
この村上氏の話に、隣で聞いていた山本氏は驚きの表情を見せた。村上氏は続ける。
「真ん中に座って、どうぞ、話続けてください。共産党の議員総会。なかには、自民党はこれに対してどう考えているんだと僕に言う。意見を聞きながら、次は公明党の部屋に行く。次は社会党の部屋に行く。野党から回って最後に自分の部屋に来て、自民党の国対開いていたんです。
ですから、共産党がどういう問題意識を持っているか、公明党がどう集約しているのか、社会党がどういうふうにして来るのか、手の内をわかって座ってるんです。ですから野党からの信頼はあったんです。そこで約束したものは必ず実現していく。約束したことは必ず守る。ですから今でも、野党から、村上さん、あなたは正しいよと言われる」
園遊会で天皇陛下に手紙を渡したとして、かつて、批判に晒された山本氏だが、村上氏はこれに関連して、かつて、園遊会への同行を許されている配偶者ではなく、彼女を連れて行った人物がいて問題になったエピソードを語った。
「彼女を連れて行った馬鹿がいるんです。これは問題になりました。お母さんといえども、連れていけないんです」
2月17日の定例会見で、山本氏は街頭での記者会見を開催すると発表。小沢一郎代表も提案に同意していると山本氏は説明する。
「市民運動に入っていた時、政党って敷居の高い感じで、市民側になかなか降りてこないというイメージがずっとあった。興味を持ってもらわなきゃ話にならないから、例えば、『何だ!そのふざけた党名は!』とかいう質問にも丁寧に答える。
学生、サラリーマン、主婦の方、それぞれが抱えている悩み、政治への不信だったりを、記者の既定路線の質問も交えながら、いろんな人達の声を拾って、政治って身近なものなんだなと感じいただこうと」
また、山本氏は、小沢一郎氏と出来る限り一緒に街頭に出る予定であると説明。
「新橋であったら、7時8時に連れて行きたい。普段、面と向かって、どうのこうのと言いづらい。お酒が回っていたら、調子よく言える。そういう環境に小沢さんを連れて行きたい。70歳も超えているので、スタートは夕方からになるだろうが、皆さんとのやり取りが面白いと感じてこられたら、後ろにズラしていける」
この街頭記者会見にアンチ(小沢一郎・山本太郎氏をよく思っていない人)が来るとありがたいとも話す。 「山本太郎、大嫌いだとか、小沢、大嫌いという人に来ていただいて、コミュニケーションできたら。それを皆さんに聞いていただければいい」
イベントの第2部は、元週刊朝日編集長の山口氏、週刊金曜日の伊田氏の2人のトークでスタート。昨今、元自民党の保守政治家から、次々と安倍総理の憲法改正に異論の声が挙がっていることに話題がおよんだ。
村上氏は、自民党保守政治家の代表的な人物として知られる。伊田氏は、村上氏の現役時代の話から振り返った。
村上氏が現職時代に「自分の手で憲法改正をするんだ」と発言していたことに触れた伊田氏は、「改憲があの人(村上氏)の最大の目標だった」と当時を語る。しかし今、村上氏は改憲について、「触っちゃいけない。安倍なんかにやらしたら、今よりもっと酷いものができる」と、安倍政権による改憲を危険視しているという。
以前、伊田氏が村上氏に「どれくらい、触っちゃいけないのか」と尋ねた際には、「しばらくだな」と答えたことを紹介。伊田氏がそれを「護憲ですね」と指摘すると、「そうなるかもしれないな」と話したというエピソードを語った。
山口氏は、自民党改憲論者の政治家だった山崎拓氏の話を紹介。BSのテレビ番組で同席した際に、山崎氏は「やっぱり、安倍に改憲させたら、まずい」と話したという。自民党の改憲論者が次々とこう話している状況を強調した。
ここ数年で右翼・保守層に漂うただならぬ空気があるという。伊田氏は、2年前に村上氏が指摘していた話を挙げた。
「右翼左翼とは何? という時に、安倍を支持したら右翼で、安倍を叩くのは右翼じゃない! というのが、伝統右翼の間でそういう空気が出てきている」 こうした状況の中、『月刊日本』が保守層の間で浮いているという。
「何で安倍を叩くのか。右翼のくせに」という声があることに対して、伊田氏は、短絡的な空気が保守層にあると指摘した。
テレビ朝日で平日夜10時放送の報道ステーション。この番組に準レギュラーとして出演している元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、今年2015年3月で同番組を降板すると言われている。その引き金と考えられているのが、邦人人質事件をめぐり、古賀氏が番組で安倍政権の対応を批判したことだ。
古賀氏だけでなく、長年番組プロデューサーを務めた人物も、同時期に担当から外れるという。同じく、月曜日から木曜日にコメンテーターを務める朝日新聞論説委員の恵村順一郎氏も、降板の予定だと言われている。
山口氏は、古賀氏から直接、聞いた話として、「プロデューサーの元に、2分と置かず、着信。『古賀を黙らせろ』。官邸から。最後は、オンエア中だから、メール」と圧力をかけられていたことに言及。メディア報道に官邸の介入があることについて、こうコメントした。
「古賀さん、報道ステーションでさえそうなんですよ。他局や他の番組、推して知るべしじゃないかと思います」
(…会員ページにつづく)