新国立競技場建設計画をめぐり、「情報と参加に関する調査」と題したアンケートを近隣住民に実施した「参加と合意形成研究会」が7月30日(水)、建築家協会で調査結果に関する中間報告を行なった。
(IWJ・松井信篤)
特集 新国立競技場問題
新国立競技場建設計画をめぐり、「情報と参加に関する調査」と題したアンケートを近隣住民に実施した「参加と合意形成研究会」が7月30日(水)、建築家協会で調査結果に関する中間報告を行なった。
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「参加と合意形成研究会」は、公共政策における透明性の高い検討により、政府などの意思決定を支援する新たな方法論開発のために発足。この日は、アンケートを行なった千葉商科大学博士課程の桑原洋一氏が中間報告した。
桑原氏は、アンケート内容について、ザハ案決定の際の要項、選定基準、環境アセスメントに市民が参加したか、意見する機会が充全ではなかったのではないか、といった仮説を立てた上で、現在進行中の計画を批判した。
本来、参加型簡易アセスメントによって、計画決定前に検証すべきだと桑原氏は主張する。また、代替案検討余地を残しながら、行政による実質的意志決定も必要だという。
実施したアンケートは、44世帯に個別ヒアリングを実施したもので、そのうち17世帯からアンケートの返却があった。その結果、国立競技場の改修案の存在を知らない人は、6割にもおよんだ。建て替え案、改修案について近隣住民は、競技場の運営主体となる日本スポーツ振興センター(JSC)からの説明ではなく、テレビ・新聞・雑誌報道から知ることが多かったと回答。コンサートなどによる騒音の心配をする近隣住民は、5割を超える結果が出ている。
JSCは2011年まで、競技場の建て替えではなく、改修する方向で計画を進めていた。プリツカー賞の受賞歴もある建築家・伊東豊雄氏も、2014年5月に改修案を提案している。ところが、住民の理解もないまま、結果的に競技場は建て替え案が採用された。
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