国際NGOや国連職員として、東ティモールやシエラレオネ、アフガニスタンなどの紛争地域で武装解除にあたった経験を持つ東京外国語大学教授の伊勢崎賢治氏。伊勢崎氏は、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏や大森政輔氏、伊藤真弁護士らとともに、解釈改憲による集団的自衛権行使容認に反対する「国民安保法制懇」のメンバーとして活動している。
伊勢崎氏は、安保法制懇が報告書の中に記載した事例や、安倍総理が記者会見でパネルを用いて説明した米艦船による邦人救助といった事例について、「個別的自衛権や警察権で対応可能だ」と語り、自衛隊の海外における武力行使を可能にする集団的自衛権の行使容認を、国民に正面から信を問うことのない解釈改憲によって行う安倍政権の対応を批判した。
- 伊勢崎賢治氏
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
元アフガニスタンDDR〔武装解除・動員解除・社会復帰〕日本政府特別顧問
元国連シエラレオネ派遣団国連事務総長副特別代表上級顧問兼DDR部長
元国連東ティモール暫定統治機構上級民政官
「軍法がない軍事組織は、軍事的に使えない」
伊勢崎氏は、現在の日本の法体系において集団的自衛権の行使が許されない理由として、自衛隊の行動を律するための「軍法」が存在していないことをあげる。軍法とは、軍人の任務放棄や敵前逃亡、命令違反などを罰するための法体系だ。伊勢崎氏は、この軍法が存在していない部隊は、戦場において「使えない」と断言する。
「軍法がない軍事組織は、軍事的に使えない。軍事組織は住民に対して『言い訳』が必要になる。国連地位協定によれば、国連軍は、現地の法から訴追免除され軍法で裁かれることになる。『我々は軍法で厳しく律されているから』という言い訳を持って、軍隊は現地に入る。
しかし軍法がないと、その言い訳ができない。このような軍隊は使えない。解釈改憲などではなく、まずはこのような軍法の制定を国民に問うべきではないか」
軍隊が現地で活動するためには、現地の住民に対して、「我々は軍法で厳しく律されているから大丈夫だ」というエクスキューズが必要になる、というわけである。このような軍法を持つことなく、集団的自衛権の行使を容認しても意味がない、と伊勢崎氏は語った。
米国と対等な関係を築くためには
みるべし!
国際紛争の現場をよく知る数少ない日本人の伊勢崎氏。必聴。
この人、紛争解決請負人というが、請け負った以上解決しなかったら
どう責任取れるのか・・・ 単に批判するだけなら誰にでも出来る。
「軍法がない軍事組織は、軍事的に使えない」とさかんにいうが、自衛隊に軍法がないのはあたりまえ。
言われなくてもみんな知ってる。 あるほうがおかしい。
しかし、これからは活動範囲も広がるので、名称はそのままとしても、法的バックボーン、職務規定など
整備する。 いろいろな案件をごちゃ混ぜに考えないで、案件ごとにプライオリティーを考え、
混乱しないように進める必要がある。
伊勢崎教授のご指摘は卓見と思います.
ただし軍法がないから、他の先生がご指摘の憲法違反だから、行使できないとはいえないのではないでしょうか。
たとえば、現状の国会の一票の格差は憲法違反という指摘があっても遅々として改善が進んでいません。違反と指摘されても改善を遅らせる悪しき前例があります。
安倍政権が目指すのは、当初は従属的で、次第に自国自衛を強めて、米国と対等になとうとしているのではないでしょうか。死傷者が出るような事態ですと「オールジャパン」状態になり、軍法整備等も進みかねません。
世界各国を民主化しようとした、アメリカが今はイラクやアフリカで難渋しているなか、日本は自国防衛と称して中東で自衛権行使の前例をつくり、次第に隣国との軍事的緊張を高める目論見があると思います。
おっと、これは見る。伊勢崎氏の視点はいつも勉強になる。