化粧品大手DHCの吉田嘉明会長から計8億円を借入れた問題で4月7日にみんなの党代表を辞任した渡辺喜美衆議院議員に対し、この借入れが政治資金規正法違反にあたるとして、政治資金オンブズマン共同代表で神戸学院大学教授の上脇博之氏が、6月2日、東京地検特捜部に対して刑事告発を行った。
岩上安身は5月31日、神戸に飛び、告発状を提出する直前の上脇氏を直撃インタビュー。これまでの事実関係の経緯をふり返るとともに、今回の告発の趣旨について話を聞いた。
(IWJ・平山茂樹)
化粧品大手DHCの吉田嘉明会長から計8億円を借入れた問題で4月7日にみんなの党代表を辞任した渡辺喜美衆議院議員に対し、この借入れが政治資金規正法違反にあたるとして、政治資金オンブズマン共同代表で神戸学院大学教授の上脇博之氏が、6月2日、東京地検特捜部に対して刑事告発を行った。
岩上安身は5月31日、神戸に飛び、告発状を提出する直前の上脇氏を直撃インタビュー。これまでの事実関係の経緯をふり返るとともに、今回の告発の趣旨について話を聞いた。
■イントロ
参院選を控えた2010年、渡辺氏は「参院選のための資金を貸してもらえないでしょうか。3億円あれば助かります」と吉田会長に申し出、吉田会長からりそな銀行の「渡辺喜美」名義の口座に3億円が振り込まれた。さらに2012年3月にも、渡辺氏からの要望にこたえるかたちで、吉田会長はりそな銀行の「渡辺喜美」名義の口座に5億円を振り込んでいる。
渡辺氏は4月7日の辞任会見において、この8億円の使い道について、「あくまで個人で使用した」と弁明。「政治家がポケットマネーを使って政治活動をしていない場合、その収支については収支報告書の制度がないことを総務省に確認した」「政治資金規正法上、なんら違法な点はない」と説明した。
渡辺氏は4月30日の時点で、借入金の残高を2億5千万円から5億5千500万円に訂正している。さらに5月1日には、資産報告の対象時期を勘違いしたとして、6億5500万円と再訂正した。これについて上脇氏は、「明らかに故意だ」と指摘。「当初の報告が虚偽報告だったことになる。これは違法だ」と語った。
上脇氏はみんなの党の報告書に、吉田会長以外の借入先として、「A」「B」という記載があることに注目。報告書によると、吉田会長から2010年6月30日に3億円を借入れたうちの、9000万円が「A」へ、8000万円が「B」への返済にあてられている。
つまり、吉田会長からの借入は、「A」「B」への返済を工面するためのものだったのではないか、と上脇氏は指摘した。「A」「B」からの借入金計1億7000万円は、そのまま全額が渡辺氏からみんなの党に貸付られている。
渡辺氏とみんなの党の調査チームが一貫して「政治資金規正法上の問題は生じない」という説明していることについて、上脇氏は「政治資金規正法について、意図的に間違った説明をしている」と語る。
政治資金規正法第1条には、「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置」を講じる、とある。
この規定を踏まえて上脇氏は、「政治資金は、『国民の不断の監視と批判の下に置かれる』わけだし、そのために『政治資金の収支の公開』があるわけだから、法律の主旨からして『報告しなくていい』」というのを認めている法律ではない」と語り、渡辺氏の借入は政治資金規正法に抵触すると述べた。
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