日刊IWJガイド・非会員版「直前で中止されたシリアでのワグネル攻撃と、ロシアへの爆撃! 米機密文書でウクライナの『領土を越えて戦場を拡大する野心』が明らかに!」2023.5.1号~No.3882号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~リークされた米機密文書に書かれていた、ウクライナの「自国の領土を越えて戦場を拡大する野心」! 昨年12月にはシリアでロシアの民間軍事会社ワグネルを攻撃する計画! 今年2月にはロシア領内黒海沿岸都市爆撃計画! どちらも直前に中止に!! さらにウクライナはアフリカのマリでもワグネルの幹部暗殺計画を立てていた! ウクライナ軍情報局のブダノフ空軍大将は、ロシア国内での特殊作戦を示唆!! 停戦はできるのか!?

■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は、28日時点で116件、203万8700円、月額目標の52%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、暫定で1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■<ニュースフラッシュ>円が対ユーロで150円台に下落! 日銀の大規模金融緩和維持で14年半ぶりの安値! このままでは、さらなる輸入インフレが懸念される!!

■背後に「暴力団」が関与し、凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! ~4月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は、3月7日と3月13日収録の「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その56)>第三部 権力のはらわた「第十一章 不和の林檎は投げられた ―― 一九九二年十二月 ――」(part1)

■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
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■はじめに~リークされた米機密文書に書かれていた、ウクライナの「自国の領土を越えて戦場を拡大する野心」! 昨年12月にはシリアでロシアの民間軍事会社ワグネルを攻撃する計画! 今年2月にはロシア領内黒海沿岸都市爆撃計画! どちらも直前に中止に!! さらにウクライナはアフリカのマリでもワグネルの幹部暗殺計画を立てていた! ウクライナ軍情報局のブダノフ空軍大将は、ロシア国内での特殊作戦を示唆!! 停戦はできるのか!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 米国の『ワシントン・ポスト』が、漏洩・流出した、ウクライナ紛争に関する米軍とNATOの極秘計画を詳細に記した機密文書の内容を立て続けに報じています。

※はじめに~『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1

※はじめに~ウクライナ紛争の要衝バフムトのロシア側主力部隊「ワグネル」創設者プリゴジン氏が「特別軍事作戦の終了宣言が理想的」と表明!『フィナンシャル・タイムズ』は中国がワグネルからの武器提供要請を拒否していた」と報じる一方、『ワシントン・ポスト』は「中国はロシアへの『致死的(武器・弾薬)援助の提供』を承認し、軍事装備を民生品に偽装することを計画していた」と、正反対の報道も! どちらが正しい!? しかもどちらの報道も流出した米国の機密文書に書かれていた!(日刊IWJガイド、2023年4月24日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230424#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52167#idx-1

 『ワシントン・ポスト』が報じた記事のひとつは、4月20日付けのもので、ウクライナがシリアでロシア軍への攻撃を計画していたというものです。

 この4月20日付け『ワシントン・ポスト』の記事によると、ウクライナの軍事情報機関は昨年12月、シリアで活動するロシアの軍事会社・ワグネルに対し、クルド人自治区のシリア民主軍の工作員を訓練し、攻撃させる計画を立てていたとのことです。

 ウクライナではワグネルが、東部ドネツク州の要衝・バフムトで、ロシア側の主力部隊として戦闘を支えています。一方、ロシアはシリア内戦でアサド政権を支援し、シリア国内にワグネルを含め、数千人のロシア軍が常駐しています。

 プーチン大統領は昨年秋、シリアからウクライナに兵力と装備を移転させています。このため、「ウクライナ側は、シリアのロシア軍を攻撃することで、ロシア軍を弱体化させることができると評価したのかもしれない」との見方を、この『ワシントン・ポスト』の記事は示しています。

 4月20日付け『ワシントン・ポスト』の記事によると、このリーク文書は今年1月23日時点で収集された情報にもとづくもので、「ウクライナのゼレンスキー大統領は、12月に計画の中止を指示した」とのことですが、「流出した文書には、トルコがこの計画を認識していたことが示されていた」とも報じています。

※Ukraine planned attacks on Russian forces in Syria, leaked document shows(The Washington Post、2023年4月20日)
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/04/20/russia-ukraine-war-syria-attacks/

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

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■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は、28日時点で116件、203万8700円、月額目標の52%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、暫定で1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日から「風薫る」5月です。爽やかな季節の中、3年ぶりに規制のないゴールデン・ウィークで行楽をお楽しみの方も多いのではないでしょうか。

 昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り3ヶ月となりました。

 4月は月末が休日と重なったため、まだご寄付の集計ができていませんが、1日から28日までの28日間でいただいたご寄付は、116件、203万8700円でした。これは月間目標額390万円の52%にあたります。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました! しかし、4月は28日時点で月間目標額の48%、186万1300円が不足しています。

 正確な4月分のご寄付の金額は、集計が終わり次第、この日刊IWJガイドやIWJのサイトでお知らせいたしますが、今期第13期4月末までの累積の不足額は、暫定で1600万円を超えています。

 ぜひ、皆さま、今月5月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 そして、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、ウクライナ紛争と続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」の、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187

 お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。

 国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。

※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったくしていません。

※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.5.1 Mon.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2023.5.2 Tue.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「(原発)運転期間延長には何の根拠もない。審査では劣化は見つからない。『事故が起こって初めてわかった』では遅い。それを10年ごとの審査で発見していこうなど、とんでもないこと」~4.28 原発反対八王子行動 2023.4.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515736

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■<ニュースフラッシュ>円が対ユーロで150円台に下落! 日銀の大規模金融緩和維持で14年半ぶりの安値! このままでは、さらなる輸入インフレが懸念される!!

 4月29日付け『日本経済新聞』は、「28日のニューヨーク外国為替市場で円相場が急落し、対ユーロで一時1ユーロ=150円台を付けた」と報じました。「約14年半ぶりの安値」とのことです。

※円、対ユーロで150円台に下落 14年半ぶり安値(日本経済新聞、2023年4月30日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28ECG0Y3A420C2000000/

 この『日本経済新聞』の記事は、日銀が4月27日と28日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和の維持を決めたことから、日欧間の金利差がいっそう広がると見て円が売られたとの見方を示しています。

 また、この『日本経済新聞』の記事によると「円相場は対ドルでも下落し、一時1ドル=136円台半ばまで下げた」とのことです。

 円安が再燃すれば、輸入するエネルギー資源や、資材、食料などの価格はすべて高騰します。この円安を放置すれば輸入インフレによって、価格転嫁できない中小企業や消費者は、さらに苦しめられることになります。

 何のために、新たに日銀総裁を選出したのか。これでは黒田総裁時代のクロダノミクスと何も変わりません。

■背後に「暴力団」が関与し、凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! ~4月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は、3月7日と3月13日収録の「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

 IWJではメルマガサイト「まぐまぐ」で、「岩上安身によるインタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて「岩上安身のIWJ特報!」として、毎月発行しています。

 4月は3月に引き続き、3月7日に収録した「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」と、3月13日に収録した田崎氏への第2回インタビューをテキスト化し、詳細な注釈をつけて、第597号から第600号まで4本の記事を発行します!

 近年、特殊詐欺の手法が急速に変化しています。末端の実行犯を捕まえても「仕事」は分業化され、背後の首謀者までたどり着けない複雑な仕組みが作られています。コロナ禍で雇用環境が悪化し、割の良いアルバイト感覚で手を染める若者も多く、強盗や殺人に発展しかねない凶悪犯罪に加担している意識は希薄だといいます。

 今年4月11日、カンボジア南部の都市、シアヌークビルのリゾートホテルで日本の特殊詐欺グループが現地警察に摘発され、25歳から55歳までの日本人男性19名が日本に送還されました。警視庁は移送中のチャーター機内で逮捕状を執行。容疑は東京都内に住む60代の女性に「有料サイトの未払い料金がある」と偽のメッセージを送り、約25万円分の電子マネーを騙し取った架空請求詐欺でした。

※<ニュースフラッシュ 3>逮捕されたカンボジアの特殊詐欺グループの中心人物は「ヤクザの中でも最も凶暴な」工藤會関係者! 警察は襲撃に備え、民間人を巻き込まないよう、強制送還にチャーター機を使用!?(日刊IWJガイド、2023年4月14日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230414#idx-7
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52121#idx-7

 19人は嘘の電話をする「かけ子」の役割を担っていたとみられ、ホテルの部屋からは特殊詐欺の手口をまとめたマニュアル、日本人の名簿、大量のスマートフォンが見つかっています。

 在カンボジア日本大使館は、「カンボジアに高収入で簡単な仕事がある」と勧誘し、到着直後に監禁状態に置いて電話詐欺などに従事させる事案が多数発生していると指摘。「日本人を含む相当数の外国人の被害が報告されている」と注意を呼びかけています。

 今年2月初旬、フィリピンを拠点に活動していた特殊詐欺グループの幹部たちが逮捕され、日本社会に大きな衝撃を与えた「ルフィ事件」も、まだ全体の解明には至っていません。

 岩上安身は、これらの事件の背景を読み解くべく、『ルポ特殊詐欺』(ちくま新書、2022年11月10日初版発行)の著者で、神奈川新聞報道部デスクの田崎基(たさき もとい)氏に、2023年3月から4月まで4回にわたり連続インタビューを行ってきました。

※「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」~岩上安身によるインタビュー第1111回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514596

※背後に「暴力団」が関与し凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身によるインタビュー第1112回 ゲスト『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏 第2回 2023.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514705

※「1日1億円、年間360億円以上の被害」「グルグルグルグル、反社会的な構造の中で、お金と人が回り続けている」~岩上安身によるインタビュー第1117回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第3回 2023.4.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515232

※「特殊詐欺の背景と経緯、それを盤石とさせている者の言説が浮かび上がった」! ~岩上安身によるインタビュー第1119回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第4回 2023.4.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515394

 田崎氏の『ルポ特殊詐欺』は、特殊詐欺グループが過激化し、実行役が強盗を強要されるほどになっている事実を、丹念な取材によって犯人側の視点から克明に描いたものです。

 4月発行の第597号では、3月7日のインタビューの後半から、第598号からは、3月13日のインタビューの前半から、要点を抜粋しています。

 警視庁が特殊詐欺を正式に確認したのは2004年でした。当時は詐欺グループの「かけ子」が固定電話に電話をかけ、高齢者が出ると「俺だよ、俺!」と息子や孫と誤認させ、「事故を起こして示談金がすぐにいる、助けて」などの演技で現金を振り込ませたり、代理人に渡すように誘導。その騙しのセリフから「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」と呼ばれるようになりました。

 2009年、警視庁が取り締まりを強化。NHKスペシャルが「振り込め詐欺」を特集するなど、マスメディアや自治体が注意を呼びかけたことで世間の理解が進み、摘発も進んで、特殊詐欺の被害はいったん収束しました。

※職業“詐欺”~増殖する若者犯罪グループ~(NHK)
https://www.nhk.or.jp/special/detail/20090209.html

 2011年に東日本大震災が起き、2012年、第二次安倍政権が発足。格差社会で弱者を切り捨てる風潮が進み、「振り込め詐欺」は息を吹き返して2014年に再びピークを迎えます。その当時の被害額は年間565.5億円。毎日1億円以上が騙し取られたことになります。

 その後は減少傾向にあったものの、長引く景気の停滞と2020年からのコロナ禍で、困窮する若年層が末端の実行役となり、貯蓄のある高齢者を騙す特殊詐欺が再び急増しています。

 岩上安身は特殊詐欺の約20年の歴史を振り返りながら、それが日本経済や世相、インターネットの発達などと密接にリンクしつつ変質し、いかに手間暇かけずに大金を奪うかという「コスパ重視」に走った結果、凶悪化してきたことに懸念を示しました。

 自分や家族、身近な人が特殊詐欺の被害に遭わないためには、それぞれの手口を知り、どう対処すればいいのかという予備知識が欠かせません。このインタビューの中では、古典的な「オレオレ詐欺」のほか、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、キャッシュカード詐欺盗など、約10のバリエーションが紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。

 田崎氏は、取材した詐欺被害者に自著を渡したところ、「これをもっと早く読んでいたら(騙されなかったのに)」との感想を伝えられたとのことです。

 特殊詐欺の手口は現在も変化し続けているため、過去の事例を知ると同時に、新しい詐欺がたった今、発生している可能性も考えるべきだと田崎氏は語り、「特殊詐欺など自分には関係ないと思いがちだが、学生から社会人、高齢者まで、全世代が被害者にも加害者にもなりうる」と警鐘を鳴らしました。

 以下、4月発行の、IWJ特報のタイトルと目次です。IWJ会員ではない方も、ぜひご購読ください。

(第597号の目次)
◆「オレオレ詐欺」から20年! 日本の長期停滞とともに歩んだ「トクサギ=特殊詐欺」の歴史を振り返る!
◆本物そっくりの警察手帳を持ったニセ警官が逮捕令状を持って家に来る!「腰抜かしますね。抵抗するのは難しい」
◆毎日1億円が特殊詐欺に奪われている! 最近では詐欺+強盗の方が「コスパがいい」と手口が過激化、凶悪化!
◆コロナ禍で失職や収入減に直面した若者が高収入を求めて「トクサギ」の世界へ! ターゲットの老人たちは感染対策のため在宅率が高かった!

(第598号の目次)
◆景気低迷、コロナ禍、少子高齢化で社会的弱者になった若者の怨嗟を煽り立てる者たち!「老人には死んでもらって、その金は若者に回せ」!?
◆報道されるのは氷山の一角! 100万円程度では警察も「はした金」的な対応? 結局、被害届を出さずに泣き寝入りした事例も多数!
◆さらに凶暴になる「トクサギ」第4世代! ターゲットの詳細情報を得たら電話すらせずに、いきなり家に行って脅す!
◆フィリピン、タイ、中国など海外拠点の設置、暴力団の関わり方など、「トクサギ」組織の構図や命令系統は刻一刻と変化している!

(第599号の目次)
◆フィリピン、タイ、中国など海外拠点の設置、暴力団の関わり方など、「トクサギ」組織の構図や命令系統は刻一刻と変化している!
◆逆探知を避けるため、「かけ子」を乗せた車で高速道路を爆走! 移動しながら詐欺電話をかけ続け、携帯のSIMカードはすぐ捨てる!
◆足のつかない中古のスマホと旅行者用SIMカードでネット接続。米国の電話番号取得アプリを利用、秘匿性の高いテレグラムに登録!
◆「かけ子専門業者」も出現! ターゲットが騙されると「受け子」と「出し子」が派遣され、奪ったものはQRコード式コインロッカーで別人が回収!

(第600号の目次)
◆継続した犯行パターンや人間関係がない流動的な「トクサギ」。マニュアルを覚えて勝手に「暖簾分け」も!? 誰も全体像を掴めない!
◆強盗、窃盗、住居侵入、時には殺人まで! ハイスピードで変容する特殊詐欺、そのほとんどは「1本の電話」から始まる!
◆時代の空気に合わせて、特殊詐欺のトレンドも変わる! 今も新しい騙しの手口が生まれ、実行されている可能性が!

 「岩上安身のIWJ特報!」は、まぐまぐ大賞2022のジャーナリズム部門で1位になりました!

 まぐまぐ大賞2022は、2022年にもっとも輝いたメルマガを読者投票とまぐまぐ審査で選出するものです。

 「岩上安身のIWJ特報!」は、2021年の「まぐまぐ大賞2021」のジャーナリズム部門でも第2位に選ばれており、昨年ついに1位を獲得しました。

※まぐまぐ大賞2022部門別賞
https://www.mag2.com/events/mag2year/2022/list.html?cid=journalism&aid=77

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■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その56)>第三部 権力のはらわた「第十一章 不和の林檎は投げられた ―― 一九九二年十二月 ――」(part1)

 岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。

 現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。

 ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。

 下記URLから、初回の復刻連載(その1)をお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20221120#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4

 直近の復刻連載は、下記URLからお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その54)>第三部 権力のはらわた「第十章 ゴルバチョフの嘘? ―― 一九九二年二月、八月 ――」(part4)(日刊IWJガイド、2023年4月29日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230429#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52184#idx-5

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その55)>第三部 権力のはらわた「第十章 ゴルバチョフの嘘? ―― 一九九二年二月、八月 ――」(part5)(日刊IWJガイド、2023年4月30日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230430#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52188#idx-4

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第十一章 不和の林檎は投げられた ―― 一九九二年十二月 ――

 本章に入る前に、九二年のロシアおよび旧ソ連における政局の流れを概括しておきたい。ポイントは三つある。
 第一のポイントは、前年の九一年十二月に電撃的に創設されたCISが、事実上空中分解したこと。
 第二のポイントは、ガイダル首相代行のイニシアティブのもと、ショック療法による市場経済への移行がスタートしたこと。
 第三は、第二の結果として大統領と議会との政治的対立が深まり、権力闘争が激化の一途をたどったこと。
 まず第一のポイントについて。CISは九二年一月一日からスタートしたが、旧ソ連の連邦構成共和国15カ国のうち、バルト三国は完全独立路線をあくまで貫き、内戦下のグルジアも不参加、アゼルバイジャンも同共和国最高会議の反対により加盟協定を批准せず、結局、CIS参加国は10カ国どまりとなった。
 また、加盟国の中でもウクライナなどが中央機関の設置に反対したため、九二年内には共同体としての統一したヴィジョンを確立することができなかった。
 また、ウクライナは、独自通貨の導入と国内におけるルーブルの流通の禁止に踏み切り、経済面でも分離傾向を強めた。ソ連時代に形成された経済連関を一朝一夕に精算するのは決して容易ではないのだが、ウクライナ以外でも、イスラム系の中央アジア諸国が独自に結束する動きをみせ、二月にはアゼルバイジャン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタン、トルクメニスタンのイスラム系五カ国が、イラン、トルコなどで構成されているECO(経済協力機構)に加盟するなど、旧ソ連の枠組を超えた地域経済ブロック形成の動きもみられた。
 統一通貨、統一経済空間の保持と並んで、CISの柱となるはずだったのは、旧ソ連軍の再編と合同軍の創設だったが、これも頓挫する。二月十四日にミンスクで開催されたCIS首脳会議で、いったんは八ヵ国が通常戦力合同軍を創設するという合意に至ったのだが、この合意は、五月にロシアが単独で国軍の創設に踏み切ったために破綻し、その結果、旧ソ連軍は解体を余儀なくされ、各共和国ごとに再編されることになった。また、戦略核についても、ロシアが単独管理を主張したため、ウクライナが反発してロシアヘの核の移送を拒否する事態に陥った。
 忘れるわけにはいかないのは、旧ソ連諸国だけではなく、ロシア連邦内部でも、分離主義的傾向が目立ち始めたことである。エリツィン政権と、ロシア内の各地域代表は三月三十一日に、ロシアの中央と地方の権限分割を定めた連邦条約に調印したが、ロシア連邦からの独立を主張していたタタールスタンとチェチェンは、この条約締結をあくまで拒み通した。
 第二のポイントに移る。連邦消滅直後の九二年一月二日、公約通りに価格自由化が断行され、これを皮切りに、ガイダル首相代行のイニシアティブのもと、市場経済移行のための急進的な経済改革が始まった。しかし、その結果としてもたらされたのは、年間二〇〇〇パーセントものハイパー・インフレ、工業生産の極端な落ち込み、大半の国民の窮乏化と一部の富裕化という階層分化であった。
 そのため、急進的な経済改革に対する反発の声が大きくなり、その声をすくいあげた保守派および中間派が台頭。問題は政治化し、大統領府と議会との間の対立が先鋭化した。また、エリツィン政権内部からは、副大統領のルツコイが批判の声を上げ、潜在していた政権内部の不協和音が表面化することとなった。
 第三のポイントである政治対立について理解するために重要なことは、それが改革路線をめぐる政策上の対立ないしイデオロギー上の対立とは必ずしもいえないことである。実際それは、各権力者、各派閥が入り乱れての権力闘争以外の何ものでもなく、対立が激化するにつれて、理念やイデオロギーの衣は脱ぎ捨てられ、醜悪な実相が露わになっていった。
 四月に開催された第六回人民代議員大会において際だったのは、ブルブリス国務長官やガイダル第一副首相のグループと、ハズブラートフ最高会議議長を中心とするグループとの間の対立だった。このときの大会は、反対派が代案を用意できなかったため、改革路線の継続と大統領の非常権限を十二月まで延期させるという内容の大会宣言を採択して閉会したが、その後、保守派にも急進改革派にも距離をおく勢力が「中間派」として新たに結集する動きをみせはじめた。
 六月二十一日に、ロシア民主党の党首トラフキン、「自由ロシア」を率いるルツコイ、ロシア起業家同盟のウォリスキーなどが、中間派の政治連合団体「市民同盟」を結成し、国営企業への補助金の拡充を求めるなど産軍複合体の利益代弁者としてふるまいはじめた。とりわけルツコイは、この時期から改革派に対してはっきりと距離をおき、愛国主義者としての立場を鮮明に打ち出すようになった。
 もっとも、愛国主義、大国主義的な姿勢を見せたのは、反対派だけではない。エリツィンは六月訪米した際、「ロシアは普遍的な民主主義の価値観にもとづいて西側世界に参加する」と述べ、西側と価値観を共有することを改めて表明したが、しかし半年もしないうちに「西側のロシア支援は口先だけにすぎない」「ロシアは大国であり続ける」などと発言するなど、国内の不満ムードを反映した「大国ロシアの指導者」然とした態度をとりはじめた。
 エリツィンの姿勢の変化は、人事面においてもあらわれた。シュメイコ最高会議副議長が第一副首相に、保守的な実務派官僚である「ガス・プロム」理事長のチェルノムイルジンが副首相に任命され、逆に改革派のシャフライは副首相辞任に追い込まれた。また、急進改革派のブルブリス、ガイダルの派閥は急速に力を失いはじめ、七月に最高政策決定機関に格上げされた安全保障会議の初期のスココフが頭角をあらわしてきた。
 こうした国内の政治対立は、日本との外交関係にも影響をおよぼした。九月九日、エリツィンは、三日後の十二日に控えていた訪日を延期すると一方的に発表し、世界中を驚かせ、呆れさせた。北方領土問題が国内の政争の焦点の一つとなっており、領土返還に反対している保守派がエリツィン政権に圧力をかけていたため、訪日によって北方領土問題の進展がみられそうもないことを主たる理由として訪日延期を通告してきたのである。
 エリツィンの妥協や路線の変更にもかかわらず、保守・中間派は批判攻勢をゆるめず、十一月の最高会議では、大統領の閣僚任免権を制限する法案を成立させた。大統領側がこれを憲法違反であると批判すると、保守・中間派は、人民代議員大会において憲法そのものを修正しようと動き出した。
 エリツィンは、人民代議員大会の開会が迫った十月二十六日、保守脈から解任要求の出ていたブルブリス国務長官やポルトラーニン副首相兼新聞情報相らを解任して、妥協の姿勢をみせ、その引きかえとして、大統領権限を制限する憲法修正案の成立の阻止と、経済改革のシンボルであるガイダル首相代行の温存を求めた。
 結局、十二月五日に行われた憲法修正案の採択では、事前の中間派取り込み工作がある程度効を奏し、ぎりぎり否決にもち込むことができたが、同時にガイダル主導の急進的改革路線の修正を求める大会決議も採択され、また難題を突きつけられる形となった。
 ガイダルの首相就任にあくまで固執するエリツィンは、中間派との間で急進的な経済路線を見直すことを約束して妥協をはかる一方、外務、国防、保安、内務の四つの閣僚ポストの任免権を最高会議に与えるという譲歩を示した。しかし、この妥協戦術は実らず、十二月九日の秘密投票で、逆に最高会議が首相と主要な閣僚ポストの任免権を握ることとなった。
 逆上したエリツィンは、翌日の十二月十日の演説で反対派に対して激しい非難を浴びせるとともに、国民に対して大統領と議会のどちらを信任するかを問う国民投票を行なうと発表。これに対して大会は猛反発し、圧倒的多数で国民投票反対の決議を採択した。膠着状態に陥った政局の打開のため、エリツィンとハズブラートフとのトップ会談が行なわれ、その結果、大統領は国民投票の提案を撤回すること、九三年四月十一日に新憲法に関する国民投票を実施するという妥協案が成立した。
 その後、首相選出のための予備投票が行なわれたが、その結果、スココフが六三七票で第一位、チェルノムイルジンが第二位の六二一票を獲得、”本命”のガイダルは四〇〇票に終わった。この結果を重く受けとめたのか、エリツィンはガイダル指名を断念し、予備の投票でしぼりこまれたスココフ、チェルノムイルジン、ガイダルの三人の候補の中からチェルノムイルジンを指名した。新たに首相となったチェルノムイルジンは、ただちに初閣議を招集し、生産の重視、国営企業への財政支援、ルーブルの強化、ハイパー・インフレの防止等々の公約を発表。
 この路線転換に対して、西側では改革の失速につながるのではないかと懸念の声があがったが、生産の低下やハイパー・インフレに苦しむロシア国民の間では、改革の見直しを支持する声は決して少なくはなかった。

 「ロシアは謎の中の謎のそのまた謎である」といったのは、かのチャーチルだが、ロシアがソ連になり、ソ連が再びロシアと呼ばれるようになった今日でも、その言葉は死んではいない。昨年(九二年)末の第七回人民代議員大会を舞台にした「政変劇」もまた、理解に苦しむものだった。経済改革の中心にいたガイダル首相代行、腹心のブルブリス国務長官やポルトラーニン新聞情報相などが次々と首を切られてゆくさまを見れば、保守派の圧力にエリツィンも遂に屈したのだと考えて不思議はない。

 しかし、年が明けて、チェルノムイルジン新首相率いる内閣が始動すると、ほどなくその路線はガイダルらの改革路線を大筋において継承するものらしいと明らかになる。ロシア政局の未来を占うことの至難を、またしても思い知らされるはめになったのだった。

 九十二年十二月、「政変」さなかのモスクワを訪れた私は、渦中の当事者であるブルブリスとポルトラーニンの大物二人にインタビューを試みる機会を得た。一読されればわかるが、改革派への悲観的な見通しが支配的だったこの時期に、二人は奇妙なまでの余裕をのぞかせていた。

◆ブルブリス――「灰色の枢機卿」もしくは陰気なポスト・モダニスト

 「灰色の枢機卿」という綽名(あだな)が示す通り、ブルブリス(*)はロシアナンバー2の権力者として、皇帝(ツアーリ)然としたエリツィンに寄り添い、表舞台に立たず黒子役に徹してきた。名うてのインタビュー嫌いで、特に日本人ジャーナリストとは、九二年九月に大統領訪日が中止となって以来、誰とも会見していない。

 * 一九四五年生まれで、エリツィンと同じくスベルドロフスク州出身。エリツィン・チームの別名である「スベルドロフスク・マフィア」の中心人物である。ウラル大学でマルクス・レーニン哲学などを教える生粋のマルキストだった。一九九一年十一月六日の大統領令により、大統領が実質的に首相を兼務する大統領親政が確立された際に、ロシア共和国国務長官を兼務しながら、ナンバー2のポストである第一副首相のポストについた。
 表に出ることは滅多になく、裏舞台で計略をめぐらす策略家として知られている。劇的にソ連邦を崩壊させた九一年十二月の「独立国家共同体宣言」について、その「宣言」によってソ連邦権力の頂点の座から滑り落ちたゴルバチョフは「これはブルブリスが画策したものだ」と発言した。ルツコイら大統領反対派の圧力によって国務長官を解任されたのち、一九九三年二月十日に改革推進をめざす「国際人文・政治科学センター」の所長に就任。政界へ復帰したが、九三年十月のモスクワ騒乱事件と続く十二月の総選挙敗北後、エリツィンに対して批判的な態度をみせるようになり、両者の関係は一気に冷え込んだ。

 クレムリン宮殿の中の、バスケットボール・コートほどの広さもある執務室に通されると、「灰色の枢機卿」は青白い頬をニコリともさせず無表情のまま私を迎えた。挨拶もそこそこに、国務長官のポストを解任されるに至った事情を訊くと、彼はすぐには答えず、しばらく重い表情で沈黙し続けた――。

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