日刊IWJガイド・非会員版「警告!『セルフ兵糧攻め』の日本を飢餓が襲う! 本日午後2時から岩上安身による東京大学大学院の鈴木宣弘教授インタビューを生配信!」2023.4.3号~No.3854号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~「食料はお金で買える」時代はもう終わり!?「食」を軽視し、米国・多国籍企業の「奴隷」となった『セルフ兵糧攻め』の日本を、食料安全保障上の一大危機「飢餓」が襲う!~本日午後2時から岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授インタビューをフルオープンで生配信します!

■IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 3月29日までの29日間でいただいた3月のご寄付は、138万7400円と月間目標の36%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! 3月の最終日までのご寄付額は週明けにならないと判明しませんが、月間目標までには到達するのは難しかったと思われます。毎月、累積赤字が増え続けている状況ですが、4月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■欧米の金融危機のメカニズムを誰よりも早く深く分析! シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、米国のエコノミストでミズーリ大学カンザスシティ校教授のマイケル・ハドソン氏が、2008年の金融危機および米政府による救済との共通点を明らかにしつつ分析!(第1回)

■ノルドストリームの爆破が海洋生物に深刻なダメージを与えた! 爆破した箇所は第2次大戦後に毒ガスなどの化学兵器を捨てた場所! 爆発によって放出した有害物資の75%を鉛と、トリブチルスズ化合物が占めている! パイプラインを爆破し、海洋環境を汚染した「犯人」は誰だ!?

■「世界のサカモト」と慕われ、反戦・反核・脱原発に声を上げ続けた音楽家・坂本龍一氏が3月28日に死去、ご冥福をお祈りいたします。

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■はじめに~「食料はお金で買える」時代はもう終わり!?「食」を軽視し、米国・多国籍企業の「奴隷」となった『セルフ兵糧攻め』の日本を、食料安全保障上の一大危機「飢餓」が襲う!~本日午後2時から岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授インタビューをフルオープンで生配信します!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 岩上安身は本日午後2時から、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授にインタビューを行います。

 食料安全保障に詳しく、IWJでもお馴染みの鈴木教授は、昨年11月18日に『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』(講談社+α新書)という、衝撃的なタイトルの新著を上梓されました。

※世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか(講談社)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000369740

※岩上安身によるインタビュー 第173回 ゲスト 農業経済学者鈴木宣弘教授 2011.11.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/1054

※TPPで「聖域」撤廃か 自民党の「嘘」を鈴木宣弘教授が糾弾「このままでは“限界列島”に」~岩上安身によるインタビュー 第360回 ゲスト 東京大学・鈴木宣弘教授 2013.10.12
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/106294

※「食料は武器、標的は日本」TPP11、日米FTA、日欧EPAで日本農業は壊滅!安倍政権に貿易政策は任せられない!~岩上安身によるインタビュー 第878回 ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科 鈴木宣弘教授 2018.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/424311

※「本物の保守」がすべきことは「国を守ること!」米国側の要求に従って日本の農業を売り渡そうとする政府を痛烈に批判!~岩上安身によるインタビュー 第880回 ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授(第2弾)2018.6.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/425083

※「国として種子法をなくしてはいけない」「歪んでしまった政策決定過程を正すことが必要」「種子法の廃止は『食料への権利』に対して悪影響を及ぼす。司法審査が必要」~6.3 種子法廃止違憲確認訴訟 証人尋問 2022.6.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506733

 農林水産省によると、日本の食料自給率は、2020年時点で、カロリーベースで約37%しかありません。これは、1965年(73%)の統計開始以来、最低の水準です。農水省は、食料自給率を令和12年(2030年)までにカロリーベースで45%に高めるという目標を掲げていますが、鈴木教授は同書の中で、農水省のデータにもとづいた試算で2035年の日本の実質的な食料自給率はコメ11%、野菜4%しかないと指摘し、「2035年頃には、日本人も飢餓に直面しかねない」と警告しています。

 これはあくまでも、「平時」が続くと前提した上での話です。「有事」の場合だと、話がまったく違います。米国と日本の政府与党がしつこくたきつけているように、「台湾有事は日本有事だ」と、即、米軍にくっついて日本の自衛隊も参戦したら、島国である日本に食料を積んだ輸送船が安全・安定的に入って来られなくなります。「有事」であれば、このシミュレーションはもっと厳しいものとなるでしょう。

 国連の食糧農業機関(FAO)は2013年、「世界の食糧危機の解決に、栄養価の高い昆虫類を推奨する」という報告書を発表しました。

※国際連合食糧農業機関(FAO)、食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書を公表(内閣府食品安全委員会、2013年5月13日)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03830870295

※Forest products critical to fight hunger – including insects(FAO、2013年5月13日)
https://www.fao.org/news/story/en/item/175922/icode/

※Edible insects(FAO、2013年5月13日)
https://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf

 ウクライナ紛争をきっかけに、世界の食糧危機が取り沙汰される中、昨年11月には徳島県で食用コオロギを養殖する企業が、全国で初めて学校給食事業に参入しました。

※食用コオロギの粉末を学校給食に 全国初、まず徳島で(日本経済新聞、2022年11月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC24BFE0U2A121C2000000/

 しかし、今年2月には、この給食の試食への抗議の声が上がり、ネットを中心にその賛否が大きな話題となりました。昆虫食すべてを否定すべきではない、という論者にも耳を傾ける部分はあるでしょう。仮に飢餓が襲ってきたとき、何でも食べられるように訓練された人間は、そうでない人間よりもサバイバルできる可能性が高まります。

 しかし、なぜ、コオロギなのか!? コオロギには毒性があると言われています。食べられる昆虫は他にもあったはずです。これでは、サバイバル教育にもなりません。

 内閣府の食品安全委員会は、2018年9月21日付けで、「食品安全情報」欄に、欧州食品安全機関(EFSA)が同年8月28日に公表した「新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイル」を掲載しています。

 そのEFSAの文書は、懸念材料として、「総計して、好気性細菌数が高い」、「加熱処理後も芽胞形成菌の生存が確認される」、「昆虫及び昆虫由来製品のアレルギー源性の問題がある」「重金属類(カドミウム等)が生物濃縮される問題がある」とした上で「更なるエビデンスが必要である」と指摘しています。

※欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイルを公表(内閣府食品安全委員会、2018年9月21日)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05010960149

 さらに、昆虫食の専門会社TAKEOは、アレルギーについて「甲殻類アレルギーをお持ちの方は食物アレルギー発症のリスクが高い」と指摘し、エビやカニにアレルギーがなくても、昆虫食でアレルギーを発症した事例もあると、明らかにしています。

※栄養価やアレルギー、安全性など昆虫食の疑問にお答えします(TAKEO、2023年3月8日更新)
https://takeo.tokyo/note/answer-honestly/

 また、立憲民主党は、公式ツイッターアカウントで、3月30日に山田勝彦衆議院議員が衆院消費者問題に関する特別委員会で、上記の内閣府の掲載したEFSAの文書での懸念の指摘に加え、「漢方医学大辞典には、コオロギは微毒、妊婦は禁忌と記載があり、有毒であるために常用して飲むものではないとされています。さらに、妊婦は飲んではいけないとされているのです。安全性への懸念があるにもかかわらず、なぜコオロギなどの昆虫食に対し、日本では表示義務がないのでしょうか」と質問したとツイートしています。

※立憲民主党 国会情報+災害対策のツイート(2023年3月30日)
https://twitter.com/cdp_kokkai/status/1641301971352305665

 また、昆虫食を教育の一環だと言うのであれば、まず1番優先されるべきことは、日本が自給自足できない国であること、戦時などには特に飢餓のリスクが高まり、最悪の場合は、昆虫も食べなければ生き残れない飢餓に陥ることがりうること、そして、どうしてこんな社会になったのか、どうやって変えたらいいのかを、社会科で教えることであり、その点が最優先されるべきです。例えば、鈴木教授のこのインタビューや鈴木教授の著書を教材に使ってでも、そうすべきでしょう。

 他方で、国内の農業は、輸入インフレにより、肥料や飼料、燃料の暴騰でコストが急激に膨らんでいます。ところが、農産物の流通の仕組みが、そうしたコストが末端価格に転嫁されにくくできているため、酪農、畜産、稲作をはじめ、農家は赤字とローン返済不能にあえぎ、廃業が激増。自ら命を絶つ人も後を絶たないといいます。

 鈴木教授は今年3月2日付けの『農業協同組合新聞』のコラムで、次のように指摘しています。

 「生産基盤を増強しなくてはならないときに、コメ作るな、牛乳搾るな、牛殺せ、ついには生乳廃棄で、『セルフ兵糧攻め』のようなことをやっている。

 限界を超えている。しかし、補正予算が30兆円編成されても、農家の赤字を緊急補填する予算は皆無だった。このままでは、本当に『農業消滅』が急速に進み、国民に食料を供給できる国内生産がなくなってしまう。

 それなのに、増税してでも防衛費は5年で43兆円に増し、経済制裁の強化とともに、敵基地攻撃能力を強化して、攻めていくかのような議論がますます勇ましく行われている。

 食料やエネルギー自給率を高く維持している欧米諸国と違って、食料自給率が極端に低い日本が経済制裁強化だと叫んだ途端に、自らを『兵糧攻め』にさらすことになり、戦う前に飢え死にさせられてしまう。戦ってはならないが、戦うことさえできないことが、なぜ理解されないのだろうか。

 そればかりか、まともな食料生産の苦境の深刻化を放置したまま、昆虫食にはSDGs関連で莫大な予算が計上されるとの情報もある。しかも、学校給食でコオロギが出されて物議をかもしている。イナゴの食習慣は古くからあるが、コオロギは未知の部分が多い。子供達を『実験台』にしてはならない。戦後の米国の占領政策による学校給食や今年からのゲノムトマトの学校への配布と同じようなことにしてはならない。

 まともな食料生産振興のための支援予算は長年減らされ、現在の農水予算は総額2.3兆円なのに、武器には毎年10兆円以上、昆虫食推進にも莫大な予算を付けるのだろうか。正気の沙汰とは思えなくなってきた」

※【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】まともな食料生産を潰して武器とコオロギで飢える愚かさ(JAcom、2023年3月2日)
https://www.jacom.or.jp/column/2023/03/230302-65078.php

 学術誌『Nature Food』は昨年8月、米ラトガース大の研究発表を掲載しました。この論文によると、米露全面核戦争が起きた場合、「核の冬」で地球全体が急激に寒冷化し、2年以内で世界の50億人が飢餓に直面。日本での餓死者は、国際的な食料貿易がストップした場合、1億2430万人、つまり日本国民ほぼ全員が餓死すると予測されています。日本の食糧自給率の極端な低さが、いかに危険であるかを物語っています。

 ウクライナ紛争が激化して、NATO対ロシアの全面戦争に至り、そこで戦術核が使用されたら、米国とロシアが大陸間弾道弾を撃ち合う事態にまで一挙にエスカレートすると言われているので、この想定現実は実のない話ではありません。

※米ラトガース大が学術誌『Nature Food』に発表した論文で、米露全面核戦争の「核の冬」で2年以内に世界の50億人が飢餓に直面と分析!~(その1)(日刊IWJガイド、2023年1月30日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51815#idx-5

※同上~(その2)(日刊IWJガイド、2023年1月31日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51818#idx-1

※同上~(その3)(日刊IWJガイド、2023年2月1日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51821#idx-4

※同上~(その4)(日刊IWJガイド、2023年2月3日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51836#idx-4

※同上~(その5・最終回)(日刊IWJガイド、2023年2月4日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51839#idx-5

 第二次世界大戦では、物資を運ぶ民間船舶も攻撃され、戦争終盤までにほとんどが沈められました。日本兵の多くは餓死、病死しました。この先も同様に、東アジアで戦争が起こり、日本が参戦したとしても、日本の輸送船が沈められ、石油と食料の輸入が途絶えた時点では、日本はたちまち戦争継続が不可能になり、日常を支える経済活動もできなくなります。

 現在、世界ではすでに、食糧や肥料の争奪戦が起きています。

 平時でも争奪戦が起きているのに、有事になればもっと状況は悪化します。たとえばロシアとウクライナの両国は世界でも有数の小麦の生産国であり、輸出国です。紛争の段階でも、世界への小麦の供給に支障をきたし、世界中に負の影響をもたらしましたが、世界大戦レベルの戦争が勃発すれば、主要な穀物や食料の生産国は、戦略的に敵国に対して輸出しないことは、確実です。

 食料自給率が低くても、「お金を出せば輸入できる」ことを前提とした「食料安全保障」は、もはや通用しないのだということを、鈴木教授の著書は指摘しています。

 詳しくは、ぜひ本日の生配信をご視聴ください。インタビューは全編フルオープンで配信いたします。

 仮に、その日の都合で観られなくても、会員になっていただければ、一般会員なら2ヶ月以内、見逃し配信を自由な時間に観られますし、サポート会員ならば、いつまでも、いつでも好きな時にコンテンツを無期限で視聴できます!

※会員のご登録はこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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【IWJ_YouTube Live】14:00~
岩上安身による東京大学大学院 農学生命科学研究科 鈴木宣弘教授インタビュー
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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■IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 3月29日までの29日間でいただいた3月のご寄付は、138万7400円と月間目標の36%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! 3月の最終日までのご寄付額は週明けにならないと判明しませんが、月間目標までには到達するのは難しかったと思われます。毎月、累積赤字が増え続けている状況ですが、4月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期もこの4月で9ヶ月目に入りました。

 3月にいただいたご寄付は、1日から29日までの29日間で、116件、138万7400円となっています。これは月間目標額390万円の36%にあたります。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございます。

 3月の最終日までのご寄付額は、週明けに集計が確定し次第、この日刊IWJガイドやIWJのサイトでご報告いたします。

 ぜひ、皆さま、今月4月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 その上でさらに、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。日本の新聞・テレビなどのメインストリームメディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これは同盟国への重大な背信であり、裏切りです。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートで、ノルドストリームの建設の経緯から、完成したもののウクライナ紛争の勃発と制裁によって使用できなくなり、さらに爆破に至るまで、断続的に連載してお伝えしています。この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立してしまいます。

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、しかし、エネルギーと食料の自給ができない、資源をもつ国々に頼らなければならない島国であるという宿命をもつことを決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

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店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.4.3 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】13:00~「大阪府議選 立憲民主党 野々上愛候補 街頭演説 ―応援弁士:蓮舫参院議員、辻元清美参院議員」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach1

立憲民主党による統一地方選遊説を中継します。これまでIWJが報じてきた立憲民主党関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E7%AB%8B%E6%86%B2%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A
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【IWJ_YouTube Live】14:00~「岩上安身による東京大学大学院 農学生命科学研究科 鈴木宣弘教授インタビュー」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 岩上安身による鈴木宣弘氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた鈴木宣弘氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%AE%A3%E5%BC%98
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【追悼・再配信 1100・IWJ_YouTube Live】19:00~「追悼・坂本龍一氏! デモ、原子力問題、マスメディアの偏向、今の日本を語り尽くす ~岩上安身によるインタビュー 第233回 ゲスト 坂本龍一氏」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2012年8月に収録した、岩上安身による坂本龍一氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた坂本龍一氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%9d%82%e6%9c%ac%e9%be%8d%e4%b8%80
[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/26562

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◆中継番組表◆

**2023.4.4 Tue.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「人口が減り社会保障は厳しくなる。そのためにIR、万博などの成長戦略をやらせて欲しい!」横山候補~4.1 大阪府知事選・大阪市長選 大阪維新の会 吉村洋文候補・横山ひでゆき候補 街頭演説(ヨドバシカメラ梅田店南側)―応援弁士:松井一郎顧問 2023.4.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515086

「政治がシステムを変えなかったら、貧困から抜け出すことができない。それを変えていきたい」~4.1 大阪府議選 社民党 長崎由美子候補 茨木街宣 ―応援弁士:社民党 福島瑞穂党首 2023.4.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515081

【第590号-第591号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!?世界最悪の財政危機に見舞われ、岸田政権のもと増税による軍拡に走る日本はこれからどうなるのか?岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その4)2023.4.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514927

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■欧米の金融危機のメカニズムを誰よりも早く深く分析! シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、米国のエコノミストでミズーリ大学カンザスシティ校教授のマイケル・ハドソン氏が、2008年の金融危機および米政府による救済との共通点を明らかにしつつ分析!(第1回)

 3月14日に、インディペンデント・ニュース・アウトレットの『ジオポリティカルエコノミー』が、米国のエコノミストでミズリー・カンザスシティ大学教授のマイケル・ハドソン氏に、シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、インタビューした記事を発表しました。

※Why 3 US banks collapsed in 1 week: Economist Michael Hudson explains(GEOPOLITICAL ECONOMY、2023年3月14日)
https://geopoliticaleconomy.com/2023/03/14/us-banks-collapsed-economist-michael-hudson/

 このインタビューの中で、『文明の命運――金融資本主義、産業資本主義あるいは社会主義』(2022年)の著者であるハドソン教授は、米政府による救済(政府は救済とは言っていないが)やFRBと財務省の役割、暗号資産(仮想通貨)という要因、さらにはデリバティブの危険性にも言及しながら、米国経済全体の特徴を浮き彫りにしていきます。

 マイケル・ハドソン教授は84歳、米国のマルクシストで、『超帝国主義国家アメリカの内幕』(2002年、徳間書店)などが邦訳され、日本でも知名度の高い経済学者です。

※『超帝国主義国家アメリカの内幕』(2002年、徳間書店、絶版)(国立国会図書館)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003641049-00

 IWJは、このロング・インタビューを数回に分けて、全文仮訳してお伝えします。

 以下からインタビューの翻訳となります。()は、翻訳上の補足、〔〕は原文の補足、(IWJ注※)はIWJによる注釈、※は原文にある記事リンクです。

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ベン・ノートン「みなさん、こんにちは。ベン・ノートンです。本日お越しいただいているのは、おそらく世界で最も影響力のあるエコノミストのひとり、マイケル・ハドソン氏です。

 そして、ハドソン教授にはお誕生日のお祝いを申し上げねばなりません。今日3月14日はなんと氏の誕生日なんですね。今日で84歳になられたということですが、どのようなお気持ちでいらっしゃいますか、マイケル?」

マイケル・ハドソン「いつもと同じですよ。誕生日はいつも力がみなぎってくるような気分なんですが、といいますのも、毎年この時期、私はつねに新しい分野に取り組んでいて、たくさん執筆していることが多いからですね」

ベン・ノートン「(視聴者に向かって)マイケルは非常に多作な方なんです。本当にたくさんの著書がおありです。今日は、ご主著のひとつである(本の表紙を示しつつ)この『キリング・ザ・ホスト』でお書きになっておられることはもちろん、金融セクターがいかに実体経済に寄生する存在であるかといった、たくさんの話題でお話をうかがえればと思います。

 今日の話題は、我々が今米国で目の当たりにしている銀行危機です。

 この3月、たった1週間のうちに、3つの銀行が次々破綻していきました。

 始まりは3月8日、カリフォルニアに拠点を置く、暗号資産(仮想通貨)に特化した銀行であるシルバーゲート銀行の破綻でした。その2日後には、シリコンバレー銀行〔SVB〕が同じように破綻。史上最大規模の取り付け騒ぎが発生しましたよね。

 実際、これは米国史上2番目に大きな銀行破綻でした。2008年(リーマン危機)以降に破綻した銀行としては、最大のものになります。

 シリコンバレー銀行の資産額は2090億ドル(約27兆6000億円)でしたから、過去最大の銀行破綻となった、2008年のワシントン・ミューチュアル銀行――資産額3070億ドル(約40兆5000億円)――に比肩する規模です。

 ハドソン教授はこれについてお書きになってこられました。すでに記事が2つ、世に送り出されています。そのうちの最初のものが、(記事の画像を示しつつ)『米銀行システムが崩壊しつつある、その理由』です。

※Michael Hudson: Why the US banking system is breaking up(米銀行システムが崩壊しつつある、その理由 GEOPOLITICAL ECONOMY、2023年3月12日)
https://geopoliticaleconomy.com/2023/03/12/michael-hudson-why-the-us-banking-system-is-breaking-up/

 というわけで、マイケル、まずは基本的な議論から始めさせてください。これらの銀行――最初にシルバーゲート銀行が、次いでシリコンバレー銀行がなぜ崩壊していったのか、いや、なぜ崩壊しつつあるとお考えですか。そして、FRBの対応はどのようなものだったのでしょうか」

マイケル・ハドソン「そうですね、これらの銀行が崩壊しつつある、その理由を理解するには、2008年と2009年に起こったことと比べてみる必要があります。

 今回の破綻は、それをはるかに凌ぐ深刻さです。

 2008年と2009年の場合について、ワシントン・ミューチュアル(IWJ注※1)が破綻したわけですが、それは同行が悪徳銀行だったからですね。詐欺まがいの住宅ローン、ジャンク債の住宅ローンを扱っていたんですから。詐欺を働いていたのだから、潰れてしかるべきでした」(続く)

(IWJ注※1)ワシントン・ミューチュアルは、アメリカ合衆国にかつて存在した企業で、同国最大の貯蓄貸付組合であったワシントン・ミューチュアル・バンク(Washington Mutual Bank)の持株会社だった。
 ワシントン・ミューチュアル・バンクは、店頭での充実したサービスやオンラインサービスが高い評価を受けたが、他の大手金融機関と同様に、サブプライムローンを中心に住宅ローンの事業を拡大してきた。
 しかし、住宅市場が低迷しはじめると、サブプライムローン事業の評価損が増大、やがて一般住宅ローン事業にも飛び火しはじめ、2006年には経営問題が表面化し始めた。
 この年には、住宅ローン部門で、4800万ドルの損失を計上したと発表した。2007年12月には、サブプライムローン事業を切り離し、従業員の削減と株式の配当削減により、コストカットをする計画を発表。2008年7月に発表した第2四半期決算では、30億ドルの純損失が明らかになった。
 2008年9月11日(現地時間)にリーマン・ブラザーズが、連邦倒産法第11章の適用により、事実上の経営破綻をした日、ワシントン・ミューチュアル・バンクの顧客は資金を引き揚げ始めた。
 リーマンの破綻後の10日間での預金の引き出しは、167億ドル(約2兆2000億円)に上った。株価も下落し、9月25日には2ドル以下になっていた。
 2008年9月25日(現地時間)、連邦預金保険公社(FDIC)は、貯蓄金融機関監督局(OTS)がワシントン・ミューチュアル・バンクに対し、業務停止を命じるとともに資産を差し押さえ、入札によりワシントン・ミューチュアル・バンクの事業の大部分をJPモルガン・チェースが19億ドル(約2000億円)で取得したと発表した。
 これによりワシントン・ミューチュアル・バンクは、事実上の経営破綻をした。

(続き)マイケル・ハドソン「悪質なサブプライム詐欺と破綻は、金融システム全体にわたって広がっていた詐欺でした。シティバンクは、それに手を染めていた最も悪質な銀行の一つでしたよね。カントリーワイド(・フィナンシャル)も、バンク・オブ・アメリカも。

 これらは各々潰れてしかるべきだった銀行ですし、住宅ローンにしても、オバマ大統領が約束したようにできたはずです。

 住宅ローンは、毎月の家賃を支払うのと同じくらいの負担で済むような、現実的な市場価格に引き下げることができたはずなのです。そうすれば、詐欺師どもをシステムから排除することができたはずなんですね。

 私の同僚であるミズーリ大学カンザスシティ校のビル・ブラックは、このことをすべて、著書の『銀行を強奪するにはそれを所有してしまうのが一番いい(The Best Way to Rob a Bank Is to Own One)』の中で説明しています。

 要は、問題はオバマ政権にありました。オバマ大統領が態度を豹変させて、有権者に約束したことをすべて覆してしまったんですから。

 彼は、ローンの価格を下げると約束していました。サブプライム住宅ローンの人たちがそのまま家にいられるよう、ローンを公正な価値に下げて、詐欺を無効にすると。

 ところが、彼が大統領に就任するやいなや、約束が履行されるどころか、起こったことはといえば、彼は銀行家をホワイトハウスに招いて、『私は、熊手を持った下層民とあなた方との間に立っているただ一人の人間です』なんて発言したんですよ。

 『熊手を持った下層民』という表現で、彼は主に、黒人やヒスパニック系の購入者・債務者のことを指していました。サブプライム詐欺の主な被害者である彼らのことを、そう呼んだんです。

 彼はこれらの銀行を救済するとともに、FRBに15年間にわたる量的緩和〔QE〕を行うよう指示しました。そして、FRBが言ったことはといえば、以下のようなことです。

 『住宅ローンはそんなに価値のあるものではない。不動産の価値は、銀行預金の全額をカバーできるほどはない。銀行が悪い住宅ローンを組んだのだから』

 『自分たちの保有するものの価値を誤魔化してきた銀行を、我々がどうやって救えるというのか?』

 『我々は金利をゼロまで落とす予定である。そして、史上最大の資産価格インフレに拍車をかけるつもりだ』

 『我々は銀行の信用貸し支援に9兆ドルを投入するつもりだ――これにより、市場は信用貸しの洪水となるだろう。こうすることで、不動産価格が手頃な水準に戻るどころか、いっそう手の届かない水準にさえすることができる』

 『そうすれば銀行はもっと豊かになる。金融セクターにいる(上位)1%(の富裕層)がより豊かになる。土地所有者もいっそう豊かになる。我々がこれから行うのは、そういうことである』

 こうして彼らは拍車をかけました。金利を下げることで、彼らはアメリカ史上最大の債券市場ブームを巻き起こしたんです。かくして2008年の高金利は一気にほぼゼロになりました。

 当然、その結果として、株価のインフレ、債券価格のインフレが起こりました。

 それがアメリカ国民の経済格差を拡大させていきました。ほとんどの株式や債券は、下位90%の人々ではなく、上位10%の富裕層が所有しているんですから。

 もしあなたが株や債券を所有している、そうした10%のうちの1人なら、あなたの財産はどんどん増えているでしょうね。

 逆に90%の人々に属するなら、あなたの賃金は上がらず、生活水準はどんどん切り詰められていったでしょう――インフレによってだけでなく、収入のうちのますます多くを、FIREセクター〔金融=Finance、保険=Insurance、不動産=Real Estate〕に対する賃料や利子の支払いに充てねばならなくなったということによっても」(続く)

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■ノルドストリームの爆破が海洋生物に深刻なダメージを与えた! 爆破した箇所は第2次大戦後に毒ガスなどの化学兵器を捨てた場所! 爆発によって放出した有害物資の75%を鉛と、トリブチルスズ化合物が占めている! パイプラインを爆破し、海洋環境を汚染した「犯人」は誰だ!?

 2月27日、デンマーク有数の英語ニュース・メディア『CPH POST』が、ノルドストリームの爆破が海洋生物に深刻なダメージを与えたというニュースを配信しました。

※Nord Stream explosions severely impacted maritime life ― report(CPH POST、2023年2月27日)
https://cphpost.dk/2023-02-27/news/nord-stream-explosions-severely-impacted-maritime-life-report/

 爆発のあったのは、デンマーク領のボーン・ホルム島の近海でした。

 以下は、2月27日付『CPH POST』の仮訳です。

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 「ノルドストリームの爆発事故は海洋生物に深刻な影響を与えた―報告書

 爆発により、地元のタラやイルカの個体が深刻な脅威にさらされている

 昨年9月にボーン・ホルム近海で起きたノルドストリーム1号と2号の爆発事故は、バルト海の中でも特に脆弱な地域の海底に計り知れない被害をもたらした。

 4回の爆発は、ボーン・ホルムの2倍の面積に相当する25万トンの汚染された海底をかき混ぜた。

 この4回の爆発によって、ボーン・ホルム島の2倍の面積の海底が汚染され、有害物質を含む堆積物が放出された。この堆積物は、爆発区域の近くに繁殖地を持つバルト海のタラとイルカを含むいくつかの海洋生物群を絶滅させる可能性がある。

繁殖の難しさ

 この報告書は、デンマーク、ドイツ、ポーランドの研究者たちによるもので、その中にはオーフス大学環境科学科のハンス・サンダーソンも含まれている。

 『鉛やTBTなどの物質にさらされた魚が病気になる可能性がある。その中には死ぬものもいれば、繁殖が困難になるものもいる』とサンダーソン氏は説明する。

 さらに、爆発から4km以内のイルカはおそらく衝撃波で死亡し、半径50km以内のイルカはすべて爆風で耳が聞こえなくなった可能性があると推定されている。

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■「世界のサカモト」と慕われ、反戦・反核・脱原発に声を上げ続けた音楽家・坂本龍一氏が3月28日に死去、ご冥福をお祈りいたします。

 「世界のサカモト」と呼ばれ、多くの人々の尊敬を集めてきた、音楽家の坂本龍一氏が3月28日に死去していたというニュースが2日夜に流れました。71歳、あまりにも早すぎるご逝去でした。「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」で共に活動された高橋幸宏氏も今年の1月11日に亡くなっています。

 坂本氏は2014年に中咽頭がんと診断されて以降、治療を経て一度は寛解にいたったものの、2020年に直腸がんと診断され、1年で6回の手術を受けたということです。

 1980年代には、テクノポップブームを巻き起こした「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)で、1979年には、シンセサイザーとコンピュータの自動演奏を多用した「RYDEEN」が、世界的なヒット曲を生み出しました。「RYDEEN」はアルバム『Splid State Survivor』に収録されています。

 デヴィッド・ボウイ氏やビートたけし氏と共演した大島渚監督による『戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr.Lawrence)』(1983年)には、役者としても「ヨノイ大尉」として出演、そのサウンドトラック、ピアノの繊細な音色は映画の枠を超えて広く聴かれました。

※Merry Christmas Mr. Lawrence/ Ryuichi Sakamoto – From Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022
https://www.youtube.com/watch?v=z9tECKZ60zk

 ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『ラスト・エンペラー(The Last Emperor)』(1987年)では、坂本氏は満洲で関東軍の特務工作に携わった「甘粕正彦」役で出演、そのサウンドトラックで日本人初のアカデミー作曲賞を受賞しました。

 坂本氏はその知的な佇まい、音楽だけではなく映画、そして環境問題や反戦・反核・脱原発などの社会運動まで幅広く活動をされ、折々の発言に込められた知性に、周囲から敬意を込めて「教授」と呼ばれるようになりました。評論家との対談や共著も多く、村上龍氏、鈴木邦男氏、など多彩でした。「教授」の発言の影響力の大きさは、ネットでも多くの名言集がつくられていることからも伝わってきます。

 次の発言からは、「教授」が社会的な活動にも精力的に取り組んできた理由が伝わってきます。

 「音楽のためだけに音楽を書いていると、音楽という様式の中での洗練へと向かわざるをえない、それはひとつの完成に向かうこと、生命が死んでゆくことですよね。面白くも何ともないのね」

※坂本龍一(名言大学)
https://meigen-univ.com/person/30382/

 岩上安身は以下のようにツイートしました。

岩上安身「坂本龍一さん、本当にお具合が悪化していたんですね。1952年生まれの坂本さんは、59年生まれの僕とは7歳違いで、高校全共闘だったあなたは亥年生まれの僕とちょうど一回り上の、1940年生まれの亥年の全共闘の中核世代とは違い、年下にイデオロギーを強要する押しつけがましさが全くありませんでした」

※岩上安身@iwakamiyasumi(午後10:11 – 2023年4月2日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1642515159225884673

岩上安身「数年前、僕の自宅の近くでばったり坂本龍一さんと出くわしたことがありました。坂本さんの方から、気さくに声をかけられ、びっくりしました。お父様のお墓が近くのお寺にあるので、日本に帰国した時にはお墓参りをする、とおっしゃっていました。あの時、お茶でもとお誘いしなかったのが悔やまれます」

※岩上安身@iwakamiyasumi(午後10:18 – 2023年4月2日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1642516883554582529

岩上安身「この時、立ち話で、癌の話も出たのですが、寛解したと明るい表情で坂本さんが語っていたのが印象的でした。実際、一時は寛解したと思われたけれども、別の箇所に転移して再発したとのこと。僕が坂本さんと雑談であっても話せる機会はこの時だけでした。惜しいことをしました」

※岩上安身@iwakamiyasumi(午後11:18 – 2023年4月2日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1642531865214210048

 岩上安身は、福島原発事故の衝撃のまだ生々しい2012年、坂本龍一氏にインタビューをしています。

岩上安身「明日、急遽ですが、2012年の8月14日に行った、坂本龍一さんのインタビューを再配信して、坂本さんを偲びたいと思います。タイトルは「デモ、原子力問題、マスメディアの偏向、今の日本を語り尽くす」です。当時、坂本龍一さんと議論した課題は今もクリアされていません。課題は増える一方です」

※岩上安身@iwakamiyasumi(午後11:26 – 2023年4月2日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1642533918816731138

岩上安身「明日の再配信は、以下の通りです。坂本龍一さんの追悼記念ですので、会員以外の方もご覧になれるよう、フルオープンにします。ぜひ、ご視聴ください。坂本さん、どうぞお安らかに。合掌。岩上安身によるインタビュー第233回ゲスト坂本龍一氏、2012.8.14 https://youtube.com/@IWJMovie」

※岩上安身@iwakamiyasumi(午後11:42 – 2023年4月2日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1642538041821794304

 明日の午後7時からこの2012年のインタビューを再配信します。

※デモ、原子力問題、マスメディアの偏向、今の日本を語り尽くす ~岩上安身によるインタビュー 第233回 ゲスト 坂本龍一氏インタビュー 2012.8.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/26562

 IWJも、反原発、憲法改正反対などの集会の現場で坂本龍一氏に出会っていました。坂本氏関連のIWJコンテンツは以下です。

※坂本龍一氏関連のIWJコンテンツ
https://iwj.co.jp/wj/open/?s=%E5%9D%82%E6%9C%AC%E9%BE%8D%E4%B8%80&area=

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230403

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、六反田千恵、前田啓)

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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