日刊IWJガイド・非会員版「『食料はお金で買える』時代は終わり!? 岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授インタビュー!!」2023.4.4号~No.3855号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<インタビュー報告>「各国が、自国民の食料を確保することを最優先にしているという情勢の中で、日本は『セルフ兵糧攻め』」「食料はお金で買える」時代はもう終わり!?「食」を軽視し、米国・多国籍企業の「奴隷」となった『セルフ兵糧攻め』の日本を、食料安全保障上の一大危機「飢餓」が襲う!~岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授インタビューをフルオープンでライブ配信しました。

■IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 3月の最終日までのご寄付額が確定しました! 3月のご寄付件数は132件、175万5400円でした! 月間目標額390万円の45%に相当します! 毎月、累積赤字が増え続けている状況ですが、4月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■欧米の金融危機のメカニズムを誰よりも早く深く分析! 危機の始まりも危機の救済も1%の富裕層のためのマッチポンプだった! シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、米国のエコノミストでミズーリ大学カンザスシティ校教授のマイケル・ハドソン氏が、2009年の金融危機との違いを明らかにしつつ分析!(第2回)

■フジテレビは夫が起訴され、被告にもなっている現状で、まだ三浦瑠麗氏を番組審議会委員として使っていた! 三浦瑠麗氏も夫が捜査中なのに、番組審議会に堂々と出席していた! 三浦夫妻は金と地位を追及する日本の「エリート」がたどり着く一つの典型例!

■<IWJ取材報告>森達也氏「邦男さんって絶対に『マウント』取らない人。人を論破しない人なんです」。雨宮処凛氏「暴走する正義の恐ろしさ、修羅場をすごい知ってたからこその寛容さだとも思ってました」。~4.2鈴木邦男さんを偲び語る会
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■はじめに~<インタビュー報告>「各国が、自国民の食料を確保することを最優先にしているという情勢の中で、日本は『セルフ兵糧攻め』」「食料はお金で買える」時代はもう終わり!?「食」を軽視し、米国・多国籍企業の「奴隷」となった『セルフ兵糧攻め』の日本を、食料安全保障上の一大危機「飢餓」が襲う!~岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授インタビューをフルオープンでライブ配信しました。

 おはようございます。IWJ編集部です。

 岩上安身は4月3日午後2時から、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授にインタビューを行いました。インタビューの模様は、東京大学弥生キャンパス2号館別館にある鈴木宣弘教授の研究室から、フルオープンで、ライブ配信しました。

 鈴木教授は、昨年11月に『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』(講談社+α新書)という、衝撃的なタイトルの新著を上梓されました。

 鈴木教授は「日本には食料安全保障がない」と訴えていらっしゃいます。

※世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか(講談社)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000369740

 冒頭、岩上安身は「日本を5つの安全保障上の危機が襲う」として、軍事、エネルギー、食料、経済・財政、原発の5つの要素を示し、ウクライナ紛争勃発後、大きく世界情勢が変わっている中で、エネルギー資源を持たず、食料自給率の低い日本は世界でみても、最もリスクの高い国ではないか、と問いました。

 岩上は、太平洋戦争時に、米国は、石油資源を南方に求める日本のタンカー船を中心に日本の輸送船・貨物船を狙い撃ちしたため、1945年1月から敗戦の8月までの間に日本の船舶が激減し、外洋を航行できるタンカー船はわずか1隻しか残っていなかったと説明しました。日本が終戦を決定した理由は、広島・長崎への核爆弾の投下、ソ連軍の南下がよく指摘されますが、輸送船がなくなって、燃料たる石油が入らなくなり、戦争遂行ができなくなった、というのが真相です。

 島国である日本は、海上封鎖をされれば、エネルギー資源も食料も輸入できず、お手上げになるのです。「台湾有事」あるいは「朝鮮半島有事」から東アジアで、米中の「代理戦争」が展開されれば、最初に干上がるのは日本です。

岩上「哀れ、日本はここ(南シナ海、東シナ海)以外をたどってくるの(石油・ガス)はないんですから、どうやって生きるのかと。

 アメリカの高いシェールガスやシェールオイルが太平洋を渡って、ここ(日本)にくるという時に、中国がそれを見逃しますか、この海域で」

鈴木教授「いや、もう、日本にとって、どうしようもない事態ですよね。日本が一番犠牲を払って頑張っても持ちこたえられるわけもないしね。

岩上「食料生産だったら、中国は日本のように自給率が低いわけではない。ロシアからのエネルギー供給もありますよね。そういうことを含めていったら、食べ物も(陸路で)手に入れられないわけではない。あと、(日本へ)輸出してた部分を止めちゃう。

 そういうようなことを考えると、本当に、アメリカが中国に戦争仕掛けるっていうのは、この作戦(オフショアコントロール、チョークポイントを締め上げて中国へのエネルギー資源などの海上輸送を封鎖する)でいくんですけど、その作戦の最大の犠牲者は、日本と韓国になるという気がしますよね。

 日本の石油は9割が中東から海上で輸送されてきます。マラッカ海峡などを封鎖されれば、日本・韓国・台湾はギブアップです」

 岩上安身は財政上の課題や原発の安全保障問題なども含めて、「エネルギーや食物の確保も含めた戦争に対応する国家づくり」はまったくできていないと指摘しました。

 鈴木教授は、日本の食糧安全保障を考える時に、「これまではお金を出せば輸入ができたが、これからはそうはいかない」と指摘しました。鈴木教授は、日本の食料安全保障が危機にさらされる4つの要因「クアトロショック」について説明しました。

 第1の要因は『生産資材の輸入が止まれば、食料生産量が激減する』という問題です。

鈴木教授「コロナショックでですね、一番わかったのが『タネ』なんです。日本の、例えば『野菜の自給率8割』と言ってますけども、その『タネ』は海外の畑で9割種採りしてもらったのを入れてるんですよね。

 コロナショックで物流が止まりそうになって、『種が入ってこない』って大騒ぎになったわけですよ。これ、本当に止まったらどうなるかっていうと、実は自給率8割じゃなくて、8%分しか作れないということですよね。

 だからその物流が止まることの怖さっていうのはコロナショックで(明らかになった)」

岩上「『生産資材』っていうのは、タネですね?」

鈴木教授「そう、特にタネ。もちろん、(畜産の)餌の穀物もそうですし。

 鶏の玉子を自給率は97%と言ってますが、餌のトウモロコシは100パーセント輸入ですからね。これ止まったら、実質(の自給率は)どうなの、という話です。

岩上「鶏の玉子は『物価の優等生』と言われて、戦後ずっと低く抑えることができた。日本人の栄養摂取に大変貢献してきたと思うんですけれども。あるいはエンゲル係数の低下にも。

 それが今、ものすごく上がっているんですよね」

鈴木教授「ですから、物流が止まると、その資材が入ってこなければ、どんどん、物価の優等生もそうじゃなくなるし、だんだん作れなくなる」

 岩上安身は、「野菜の種が9割輸入という実態は即切り替えなければ」、「自分たちで作る種子法(廃止)の問題」を挙げました。鈴木教授は「逆行していますものね」と応じました。

 「食料への権利」がわが国の憲法上の権利であると訴えた、「種子法廃止違憲訴訟」に対し、東京地方裁判所(品田幸男裁判長)は3月24日に、原告らの訴えを棄却しています。

※種子法違憲訴訟 農家らの訴え退ける「食料への権利」に直接触れず 東京地裁(農業協同組合新聞、2023年3月27日)
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2023/03/230327-65626.php

鈴木教授「自分たちで米・麦・大豆の種を作らないで『もうやめなさい』と。『企業に渡しなさい』と。その種を『企業から毎年買いなさい、自家採取しちゃダメよ』という方向になってるんだから、まさに野菜と同じような状況を、もっともっと進めるような形で。

 アメリカ発のグローバル種子農薬企業のなどの要請なんでしょうけどね。そういうことが逆に進んじゃってるというのが、今の状況です」

 第2の要因は『中国の爆買いによって、価格も上昇し、買い負けしている』という問題です。今はまだ東アジアは「平時」ですが、食料と肥料の争奪戦が世界で起こっていると鈴木教授は指摘しています。

鈴木教授「これも大変な状況になっています。今はもう、中国の需要がまだどんどん増えているので、もう穀物も、魚も、肉も、牧草とかも、日本が買いに行っても、『残ってない』。中国のほうが先に、高い価格で大量に買い付けちゃって。もう日本の部分がないと」

 岩上は、トウモロコシは世界の何十%も中国が輸入しているというが、一体に何に使われているのかと質問しました。

鈴木教授「餌の需要が非常に増えているので、その部分で輸入が増えてるんだと思うんですけども。普通じゃないですね、増え方が。2016年の段階の数字と2022年のトウモロコシの輸入量が、桁がひとつ違うんですよ。10倍に増えている」

岩上「備蓄している?」

鈴木教授「それもあります。やっぱり、『戦時体制』ということで、備蓄を増やしているという部分がひとつ、あると思うんですよ。中国は戦略的ですので」

岩上「戦略的ですね。日本はまったく(戦略が)ないですよね。チグハグ。タネは自前でやらないようにして、備蓄もしていない。爆買いで回負ける前に買っておけばよかったのに。

 今の円安に誘導してきたのは日本の金融政策じゃないですか。だから負けるんですよね。(中略)

 円安誘導なんてやっていると、中国に買われてしまって、何も買えなくなっちゃいますよね」

鈴木教授「中国のほうが高い価格で大量に買う力がでてきていますからね。しかも、コンテナ船が大型化して、輸送先も、もう、今の日本の港が小さくて付けられないから、中国の大連とかに一度持っていく」

 それを小分けして日本に持ってこなきゃいけないという、情けない事情もある」

岩上「ハブ空港ならぬ、ハブ港湾みたいな感じなんですかね」

鈴木教授「なかなか、日本に物を持ってきてもらうこと自体が、いろんな意味でダメになっている」

岩上「原油価格が上がると、バイオエタノールやバイオディーゼルといった代替燃料の需要も高まる、と。その原料はトウモロコシ、大豆。原油価格が上がったとき、トウモロコシなどが代替燃料として使われているんですね。大豆も。

 これは平時、米国・カナダ・オーストラリアから買ってると言っても、注文が殺到してるから、彼らはやっぱり高く買ってくれる中国に出してるんですか」

鈴木教授「そういうことです。だから日本が買えないわけですよ」

岩上「平時でもこんなことをやっている連中が、『同盟国でしょう』とか、『クワッドでしょう』とか、そういうことを理由に、『じゃあ戦争始めるよ、お前らついてこい』と言われた時に、オーストラリアが『日本に優先(的に輸出して)、中国に一切輸出いたしません』というようなことは、どうなんでしょうね」

鈴木教授「それはないでしょうね。(自国で抱えこんで、日本に対しても)出さないでしょうね、オーストラリアは。

 だから、『日本はロシア・ウクライナからそんなに買ってないから大丈夫だ』、なんていう話は見当違いなんですよ。

 すでに中国が日本が買っていたところからどんどん買っているから、日本には回ってこないっていうことがすでに起こっているんですから」

 鈴木教授は、米国は、原油価格が上がるとバイオエタノールなどの原料としてトウモロコシや大豆が必要だと主張して、最も多く使っていると指摘しました。それによって穀物価格を釣り上げているというのです。

 第3の要因は、もはや、当たり前となり、新たな平常になったもいうべき『異常気象』です。穀物の輸出国で異常気象が起きれば、「他所に売っている場合ではない」と言って、輸出国が輸出規制をかけます。

鈴木教授「中国の次に、インドが確かに伸びていると。今、すでにインドが何やってるかっていうと、例えば食料について言えば、小麦の生産量は世界2位ですよ。

 だけど、もうこうなると外に振ってる(輸出している)場合じゃないと。この世界情勢からすればね。まず備蓄だと。輸出するのをやめて、自国民を守るために輸出をどんどん止めてるんですよ、インドは。

 だから(輸出国は)そういう行動に出るから。そういう国は三十カ国になってるわけですよ。

 まず自国民を守る体制を強化するために、食料を外に出すのを止める。そういう輸出規制がどんどん広がってきてるんですよね」

 各国が、自国民の食料を確保することを最優先にしているという情勢の中で、もはや、お金を出しさえすれば、食料が買えるという時代ではないのです。

 第4の要因は、「ロシアへの経済制裁は、日本にとって『セルフ兵糧攻め』になっている」という問題です。今はまだ東アジアは「平時」ですが、食料と肥料の争奪戦が世界で起こっていると鈴木教授は指摘しています。

岩上「『ロシアへの経済制裁は日本にとってのセルフ兵糧攻め』。僕、これ、すごく気に入りました。

 さっき、安全保障上の危機の中に、『原発がもし狙われたら』(と入れました)。あれは『セルフ核自爆装置』じゃないですか。

 だからまさにこれを『セルフ兵糧攻め』というのは、まさに軍事の一手段として(食料輸出をしないということは)非常に有効で、城攻めなんかで使われてきたわけで、まさに軍事そのものですよね」

 岩上安身は日本は島国で、「城」みたいなものなのだから、籠城戦で兵糧攻めにあわないようにしなければならない、と指摘しました。しかし、肥料も争奪戦となる中、日本はリン、カリウムをほぼ100%輸入に依存しています。

鈴木先生「(リン、カリウムは)肥料の3要素ですので。これらがないと化学肥料はできません。それがほぼ全部輸入に頼っているんだから。本当に何でこんなことになってるのかということですけども」

 日本はカリウム原料の多くをロシアとベラルーシからの輸入に頼っています。鈴木教授は、カリウムは日本では取れない、絶対的な制約になっていると指摘しました。

岩上「何で岸田さんはこういうことで平気なんですかね? ロシアを制裁して困らせるはずが、日本が今、困る羽目に。

 これ肥料入ってこないとどうなっちゃうんですか?」

鈴木先生「肥料が入ってこなければ、普通の化学肥料を使う農業は、日本は今99.4パーセントが、そういう農業ですが、少なくとも、生産量が半減すると」

 鈴木教授は、リンや尿素はほとんど中国からの輸入に頼っていると付け加えました。

鈴木教授「中国がもう売ってくれないって言ってるので、(売ってくれる国を)探してはいるんですよ」

 中国、ロシアと敵対的な関係を続ければ、タネもない、その次に肥料もないという状況に日本は陥るのです。岩上は「とにかく戦争はやめてくれっていうことしかないですよ。対露制裁もやめるから。なんでそれをやらないのかということなんですけれども」と嘆きました。

 日本の食料安全保障は、このように危機的な状況にあるのですが、鈴木教授は、日本政府の政策にはまったく、食料安全保障がないと指摘しました。SDGs政策として予算をつけて昆虫食・コオロギ食を促進し、乳牛を殺すと補助金を出して4万頭の削減をめざすなど、本来日本国内の生産基盤を増強しなくてはならないときに、「コメ作るな、牛乳搾るな、牛殺せ、ついには生乳廃棄で、『セルフ兵糧攻め』」をやっていると批判しました。

 鈴木教授へのインタビューは、近日中に第2回が行われる予定です。詳細が決まりましたら、日刊IWJガイドでお伝えします。

 鈴木教授関連のIWJコンテンツは以下です。

※岩上安身によるインタビュー 第173回 ゲスト 農業経済学者鈴木宣弘教授 2011.11.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/1054

※TPPで「聖域」撤廃か 自民党の「嘘」を鈴木宣弘教授が糾弾「このままでは“限界列島”に」~岩上安身によるインタビュー 第360回 ゲスト 東京大学・鈴木宣弘教授 2013.10.12
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/106294

※「食料は武器、標的は日本」TPP11、日米FTA、日欧EPAで日本農業は壊滅!安倍政権に貿易政策は任せられない!~岩上安身によるインタビュー 第878回 ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科 鈴木宣弘教授 2018.6.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/424311

※「本物の保守」がすべきことは「国を守ること!」米国側の要求に従って日本の農業を売り渡そうとする政府を痛烈に批判!~岩上安身によるインタビュー 第880回 ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘教授(第2弾)2018.6.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/425083

※「国として種子法をなくしてはいけない」「歪んでしまった政策決定過程を正すことが必要」「種子法の廃止は『食料への権利』に対して悪影響を及ぼす。司法審査が必要」~6.3 種子法廃止違憲確認訴訟 証人尋問 2022.6.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506733

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 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 3月の最終日までのご寄付額が確定しました!

 3月のご寄付件数は132件、175万5400円でした。月間目標額390万円の45%に相当します。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました! しかし、3月は月間目標額の65%、214万4600円が不足となりました。

 ぜひ、皆さま、今月4月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 4月は1日から3日までの3日間でいただいたご寄付は、7件、5万8000円です。これは月間目標額の1%にあたります。

 累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。日本の新聞・テレビなどのメインストリームメディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これは同盟国への重大な背信であり、裏切りです。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートで、ノルドストリームの建設の経緯から、完成したもののウクライナ紛争の勃発と制裁によって使用できなくなり、さらに爆破に至るまで、断続的に連載してお伝えしています。この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立してしまいます。

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、しかし、エネルギーと食料の自給ができない、資源をもつ国々に頼らなければならない島国であるという宿命をもつことを決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
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 岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.4.4 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】9:10~「野村哲郎 農林水産大臣 記者会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 野村哲郎農林水産大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた農林水産省関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%be%b2%e6%9e%97%e6%b0%b4%e7%94%a3%e7%9c%81
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【IWJ・エリアCh1・奈良】14:00~「奈良県知事選挙 日本維新の会 山下真候補 街頭演説 ―応援弁士:音喜多俊参院議員」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach1

 日本維新の会による街頭演説を中継します。これまでIWJが報じてきた統一地方選挙関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%b5%b1%e4%b8%80%e5%9c%b0%e6%96%b9%e9%81%b8%e6%8c%99

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◆中継番組表◆

**2023.4.5 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】14:00~「広島G7サミットに集まる各国首脳へ向けて『今こそ停戦を』記者会見 ―登壇:伊勢崎賢治氏(元アフガン武装解除日本政府特別代表)、岡本厚氏(前岩波書店社長)、田原総一朗氏(ジャーナリスト)ほか」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「株式会社サステナ」主催の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきたウクライナ関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/ukraine

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■欧米の金融危機のメカニズムを誰よりも早く深く分析! 危機の始まりも危機の救済も1%の富裕層のためのマッチポンプだった! シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、米国のエコノミストでミズーリ大学カンザスシティ校教授のマイケル・ハドソン氏が、2009年の金融危機との違いを明らかにしつつ分析!(第2回)

 3月14日に、インディペンデント・ニュース・アウトレットの『ジオポリティカルエコノミー』が、米国のエコノミストでミズリー・カンザスシティ大学教授のマイケル・ハドソン氏に、シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、インタビューした記事を発表しました。

※Why 3 US banks collapsed in 1 week: Economist Michael Hudson explains(GEOPOLITICAL ECONOMY、2023年3月14日)
https://geopoliticaleconomy.com/2023/03/14/us-banks-collapsed-economist-michael-hudson/

 このインタビューの中で、『文明の命運――金融資本主義、産業資本主義あるいは社会主義』(2022年)の著者であるハドソン教授は、米政府による救済(政府は救済とは言っていないが)やFRBと財務省の役割、暗号資産(仮想通貨)という要因、さらにはデリバティブの危険性にも言及しながら、米国経済全体の特徴を浮き彫りにしていきます。

 マイケル・ハドソン教授は84歳、米国のマルクシストで、『超帝国主義国家アメリカの内幕』(2002年、徳間書店)などが邦訳され、日本でも知名度の高い経済学者です。

※『超帝国主義国家アメリカの内幕』(2002年、徳間書店、絶版)(国立国会図書館)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003641049-00

 IWJは、このロング・インタビューを数回に分けて、全文仮訳してお伝えします。

 第1回は以下のURLから御覧いただけます。

※欧米の金融危機のメカニズムを誰よりも早く深く分析! シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の3行の破綻について、米国のエコノミストでミズーリ大学カンザスシティ校教授のマイケル・ハドソン氏が、2008年の金融危機および米政府による救済との共通点を明らかにしつつ分析!(第1回)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52082#idx-4

 以下からインタビューの翻訳となります。()は、翻訳上の補足、〔〕は原文の補足、(IWJ注※)はIWJによる注釈、※は原文にある記事リンクです。

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マイケル・ハドソン「シリコンバレー銀行や全国の銀行は、2020年のコロナ危機以来、預金で溢れんばかりになっていました。

 それは、人々が投資するための借り入れをあまりしなかったからです。企業は借り入れをしなかったのです。

 彼ら(企業)がやっていたのは、現金を積み上げることでした。

 〔シリコンバレー銀行の〕預金は非常に急速に増えているのに、その預金に対して0.2%の金利しか払わないできました。では、どうやって(銀行は)利益を出そうというのか。

 長期国債を買って、雀の涙でもそこから利益を搾り出そうとしたんです。

 期間の長い国債であればあるほど利率は上がりますが、長期国債でさえ、その利回りは1.5%とか1.75%とか、そんなものでした。彼ら(銀行)は0.2%の利息を払う預金を、1.5%とか1.75%で貸し付けたわけです。

 預金に対して支払わなければならない金額と、それを運用することによって得られる金額との差額で利益を得ていたんですね。裁定取引と呼ばれる手法です。

 さて、ここで問題が生じます。FRBが金利を上げたということは、これらの長期債の価値、すなわち市場価格がどんどん下落していくことを意味していました。

 そして人々は、私が知っているすべてのCEOたちは、これがいよいよ迫っていると見るや、株を売り払い、長期国債を売り払いました。

 FRBのトップが『金利を上げる』と言った時、それは、あなた方が長期債の保有を望まなくなる時でもあったんです。

 あなた方は(こういう時)、資金をできるだけ現金に近い形で保有したいと考えるでしょう。3ヶ月物国債とかですね。これはとても流動的ですから。なぜなら、短期国債とかマネー・マーケット・ファンドとか、そういうものの資本価値が失われることはまったくないからです。

 しかしながら、シリコンバレー銀行が考えたことといえば、やはり少しでも得られる利益に執着して、価格が急落している長期債を手放しませんでした。

 そして、あなた方が目の当たりにしたのは、アメリカの銀行システム全体に起こっていることの縮図です。

 銀行が保有する有価証券の市場価値の推移を示したグラフがありますので、御覧ください。

(グラフ:投資有価証券の未実現利益(損失)の推移
青:満期保有目的有価証券
黄:売却可能有価証券
縦軸単位:10億ドル
出典:連邦預金保険公社(FDIC))

 銀行がFRBに報告するとき、まさにこんな感じなんですね。銀行が報告するとき――つまり、これは実際の市場価値を示しているわけです。

 もし銀行が自分の資産を市場における価値で評価すれば、そこの、グラフの底のところのように、こんなふうに下落していたでしょう。

 けれど銀行がそんなことをするわけはありません。銀行は、購入した時の簿価で自分たちの資産を提示することが許されているからです」

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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■フジテレビは夫が起訴され、被告にもなっている現状で、まだ三浦瑠麗氏を番組審議会委員として使っていた! 三浦瑠麗氏も夫が捜査中なのに、番組審議会に堂々と出席していた! 三浦夫妻は金と地位を追及する日本の「エリート」がたどり着く一つの典型例!

 夫である投資会社代表の三浦清志氏が、業務上横領の疑いで逮捕起訴されている三浦瑠麗氏ですが、驚いたことに、現在もフジテレビの番組審議委員を務めているだけでなく、31日の定例記者会見の中で、フジテレビの港社長は「番組審議委員会で現段階で変更の予定はありません」と話し、今後も、同局の番組審議委員を務めることがわかりました。

 現在、三浦瑠麗氏は、フジテレビの「めざまし8」のレギュラー出演を見合わせています。降板ではなく「お休み」扱いとのことです。

※フジ社長、三浦瑠麗氏のフジ番組審議委員「現段階で変更の予定はありません」(デイリー、2023年3月31日)
https://www.daily.co.jp/gossip/2023/03/31/0016198250.shtml

 元東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は、4月1日の自身のツイッターで、次のように述べています。

 「三浦瑠麗現象の核心は、彼女が日本の知識人の堕落と劣化を象徴している点だ。夫の逮捕がなければ、今もその害悪を垂れ流し続けていたはずだ。国際情勢の解説をしない『国際政治学者』、井戸端会議並みのコメント、その彼女をマスコミは重用し、権力は利用する。JBpressに寄稿」

※4月1日の舛添要一氏のツイート
https://twitter.com/MasuzoeYoichi/status/1641931167963435008?s=20

 三浦瑠璃氏の現在のキャリアの出発点である東京大学に提出した博士論文について、IWJは徹底検証しています。ぜひあわせて御覧ください。

※「三浦瑠璃」の正体!「国際政治学者」と名乗る資格があるのか!? 博士論文以降学術論文が一本もない! 学術雑誌に掲載されたのは学界展望と書評だけ! 167件の論文の98%以上が週刊誌・月刊誌掲載論文!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513889

 他方、東京地検特捜部に起訴された夫の三浦清志容疑者は、4億2000万円を着服したとして業務上横領の罪に問われています。

 3月27日付『中日新聞』は、「起訴状によると、2019年10月に3回にわたり、トライベイ社の債務の弁済などに使う目的で、自身が職務執行者として預金管理などの業務を統括していた特別目的会社から、計4億2千万円をトライベイ社に振り込ませた」と報じています。

 ※三浦清志容疑者を業務上横領で起訴 コンサル会社代表で瑠麗氏の夫(中日新聞、2023年3月27日)
https://www.chunichi.co.jp/article/661179

 IWJは、メインストリーム・メディアが追及しない、三浦清志容疑者と六代目山口組の二次団体・名神会組長の企業舎弟との関係を追及しています。ぜひ御覧ください。

※4億2千万円を業務上横領した疑いで逮捕された、「国際政治学者」三浦瑠麗氏の夫・三浦清志容疑者は、六代目山口組の二次団体・名神会組長の企業舎弟と義兄弟!?「ルフィ」事件も、「ルリィ」事件も、六代目山口組がからむ疑惑が取り沙汰されており、捜査当局は反社との関わりにも、関係した反社にも、徹底した捜査を尽くすべし!(日刊IWJガイド、2023年3月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52034#idx-6

 この夫婦は、倫理も理想もかなぐり捨てて金を地位だけを追及するいわゆる日本の「エリート」が、たどり着いた一つの典型を示しているように思われます。

■<IWJ取材報告>森達也氏「邦男さんって絶対に『マウント』取らない人。人を論破しない人なんです」。雨宮処凛氏「暴走する正義の恐ろしさ、修羅場をすごい知ってたからこその寛容さだとも思ってました」。~4.2鈴木邦男さんを偲び語る会

 2023年1月19日、「一水会」元代表で、評論家の鈴木邦男氏(福島県出身)が、誤嚥性肺炎のため、79歳で亡くなりました。

 2023年4月2日、東京都千代田区の如水会館にて、創出版の主催により、故人の思い出やエピソードについて語り、共有し、継承するために(と記者は理解した)「鈴木邦男さんを偲び語る会」が開催されました。

 会は、生前の鈴木さんと関わりのあった出席者のスピーチ(第1部)、そして、簡単な懇親会(第2部)の2部構成で行われました。IWJは第1部の模様を録画収録しました。

 生前の鈴木氏がどのような人で、それぞれの出席者の人生に何をもたらしたのか? そのことがよくわかるスピーチをご紹介します。作家・映画監督の森達也氏と作家であり社会活動家の雨宮処凛氏によるトークです。

雨宮氏「私、会ったのは(19)96年で、フリーターの頃です。で、みんな言ってるように、変な人ばっかり、危険人物ばっかり紹介してくれて、塩見孝也(しおみたかや、新左翼活動家、元赤軍派議長、最高指導者、テロリスト)を紹介され、いきなり平壌に連れてかれ、5回北朝鮮行ったらガサ入れが入る、で、見沢知廉(みさわちれん、新右翼活動家、作家、元一水会相談役。元統一戦線義勇軍総裁)を紹介されて…。

 そしたら、うっかり右翼団体に入り、それで、鈴木さんにご紹介された人の人脈で、全部人生がおかしくなって、こういう仕上がりになったっていうのが今に至る、だから、メイド・イン鈴木邦男、みたいな、そんな置土産です。森さんは?」

森氏「僕は、(19)98年ですね。さっきの『憂国のコペルニクス(鈴木氏の著作、扶桑社 [1996/12/1])』の話もありましたけれども、要するに、『A(エー)』(森氏制作のオウム真理教と社会との関わりをとらえたドキュメンタリー映画)の試写に来てくれて、で、鈴木邦男さんが来てるよって言われて、配給の人にね。

 最初は、『憂国のコペルニクス』は知ってましたけど、もちろん右翼ですから、何でよりによって、当時右翼とオウムってのはもう敵対関係ってみんな言ってたから、何でよりによって右翼を呼ぶんだよと思ったけど、終わったら、なんかニコニコしてて、『いやあ、すごいの作りましたね』って。(中略)

 邦男さんが一番最初なんです。『コペルニクス~』に書いてくれてね。『すごい映画を観た』って、あれが本当に一番最初の『A』についてのレビューで、それ以降ですけど、僕もいろんな方を紹介されたけど…。(中略)だから、もう誰でも彼でも紹介するからね」

雨宮氏「だから、よくイベントやってると、みんなが獄中の刑期を合わせたら『百何十年』とか、そんなことよくありましたよね?」

森氏「ありましたね」

雨宮氏「あと、連合赤軍とかも紹介してくるし」

森氏「前科はないし、なんか肩身狭くて、そういう時は(会場笑)」

雨宮氏「そうなんですよ」

森氏「でも、本当に、今日、皆さんの話を聞きながらも、寝てないからね。ちゃんと聞いてました。

 思ったんですけど、とにかくね、邦男さんって、今のはやりの言葉で言えば、絶対に『マウント』取らない人なんですよ。人を論破しない人なんです。で、何か今、世の中、『マウント』取ろうとしたり、人を論破しようとしたり、優位に立とうとしたりとか、そういった人ばかりが何か、もてはやされてて、ふざけんなよって思いますよね。

 本当に、ないよね。邦男さんが人の上に立とうとか」

雨宮氏「寛容だし、一回も押し付けられたことない。(中略)鈴木さんは、もう、一回もそれがなくて、逆に、暴走する正義の恐ろしさをすごい知ってたからこその寛容さっていうか。敢えてのちょっとぼんやりした感じは、修羅場を知ってるからこそだとも思ってました」

 詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230404

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、浜本信貴、尾内達也、前田啓)

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