2013/07/06 【大阪】緊急勉強会「モンゴルを襲う核のゴミ モンゴル核廃棄物処分場問題は終わっていない」

記事公開日:2013.7.6
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 2013年7月6日(土)14時から、大阪市北区のサクラファミリアで、モンゴル核問題研究会などが主催する「緊急勉強会『モンゴルを襲う核のゴミ モンゴル核廃棄物処分場問題は終わっていない』」が行われた。2011年5月、毎日新聞のスクープ記事で世界が知ることになった、「核のゴミ」の第三国への押しつけ問題の驚くべき実態が、日本とモンゴルの事情通によって明らかにされた。

■Ustream録画
・1/4(13:57~ 54分間)

・2/4(14:57~ 42分間)

・3/4(15:39~ 48分間)

・4/4(16:29~ 1時間29分)

  • 登壇 アリオンボルド氏(モンゴル国環境団体「ゴロムト」代表、インターネット上での参加)/今岡良子氏(大阪大学 准教授)/芝山豊氏(清泉女学院大学 教授)ほか
  • 開催趣旨説明
  • 発表1 モンゴル核問題の全体像
  • 発表2 モンゴル核汚染の現状 ドルノドとドルノゴビで起こっていること
  • コメンテーターからの提言と質疑応答
  • モンゴル反核リーダーへの質問
  • モンゴル反核リーダらからのメッセージ
  • 日本とモンゴルの連帯、支援についての意見交換
  • まとめ

 前半は、2人の有識者によるレクチャー。最初にマイクを握った芝山豊氏は、モンゴルが抱える核問題の全体像を解説した。2012年の、モンゴルの実質経済成長率(推定)12.3%(世界4位)に照らし、「1990年代以降、世界規模で市場経済のうねりが強まる中、モンゴル政府には、戦後の日本のような、工業化による悠長な経済発展では脱落するとの危機感があった。そこで産業政策の舵を、(急ピッチの成長が見込める)地下埋蔵資源を売る方向へと切った」と解説した。

 結果、金・銀・銅やレアアースのみならず、推定埋蔵量が150万トン以上とされるウランを掘ることになったという。芝山氏は「モンゴルでは、すでに数カ所の鉱脈でウランの試験採掘が行われている。そこには外国資本が入り込んでおり、日本企業の名前こそないものの、参入企業のひとつ、仏アレバ社は日本企業(三菱重工)との合弁でも有名である」と語った。

 「モンゴルの核問題は日本とつながっている」と強調した芝山氏は、2011年5月9日の毎日新聞の記事を紹介した。記事は、日米の両政府が共同で、使用済み核燃料の国際的な処分施設を、モンゴルに建設する計画を極秘に進めていることをすっぱ抜いたもの。日米両政府が、自国内に最終処分施設を整備することの難しさを実感していることが、計画の背景にある。

 このスクープを受け、日本のみならずモンゴルや米国でも、原発問題に関心のある市民の間に批判の声が高まった。芝山氏は「モンゴルでは、それを理由に計画は消滅したと見る向きが多いが、この計画は、モンゴル政府が国策として進めているので、決して消えていない」と指摘し、モンゴルの経企庁がまとめたエネルギー・マスター計画では、2021年に、初号原子力プラントの運転開始が謳われていることを強調した。また、「日本の原子炉メーカーには、モンゴルでウランを燃料棒化し、原発とセットで別の国に売るやり方に、使用済みのウランを再びモンゴルに戻すオマケがつく、との思惑があるようだ」との見方を示した。

 芝山氏は「この3月に、安倍首相がモンゴルを訪問した際、反核を掲げる市民グループが日本政府を批判する抗議行動を行った。しかし、日本の新聞やテレビは、これを、まるで報じていない。安倍首相はその後、原発を売りにトルコに向かった」と話した。

 今岡良子氏は、モンゴルの核汚染の現状報告との位置づけで、ドルノゴビ県で起こった「鉱毒事件」を取り上げた。当該地区で見つかった、四肢の異常のみならず、頭が2つあったり、目がないなどの家畜の写真を会場のスクリーンに映し出し、モンゴル政府が、この事態は放射能被害によるものではない、との見解を発表したと伝えた。「当該地区は、モンゴル政府が打ち出した今年度の予算案の中で、重点的に開発が考えられていた鉱山である。そこでの鉱毒事件を、モンゴル政府が認めないというのは(核開発を国是に位置づけている点で)極めて政治的と言える」と今岡氏は語り、「試験採掘の段階で、これだけの悪影響が認められることを、もっと重視するべき」と力を込めた。

 後半は、モンゴルの反核運動のリーダー格であるアリオンボルド氏が、インターネットを介し、会場に集まった日本人に向かって話をした。「私たちは、モンゴルでウランを掘ること、モンゴルに原子力発電施設を建てること、核廃棄物を埋めることに強く反対している」と述べ、同じ志を持つ人のカンパで団体の活動が成り立っていることを説明した。「外国に住んでいるモンゴル人からの送金が多いが、私たちの活動に賛同してくれる外国人からのカンパもある。そこには日本人も含まれる」。

 アリオンボルド氏は「主たる活動は新聞の発行で、遊牧民向けの学習会も開いている」と続け、「モンゴルの遊牧民に対し、政府は核開発がらみの重要な情報を一切流していない。遊牧民は、何も知らされないまま犠牲者になろうとしている。私たちは、そうなることを阻止するために情報発信に力を注いでいる」と述べた。そして、仏アレバ社が試験採掘している鉱山の中には、住民の反対で操業していない所もあること、さらにまた、アレバ社が操業で得た利益を、モンゴル政府とどう配分するのかなどについても言及した。

 質疑応答で、モンゴル人の反対行動の過激さを指摘する質問が飛ぶと、アリオンボルド氏は「過激な行動に出ているのはごく少数。多くは、話し合いで解決を図ろうとしている」と説明。また、鉱毒が発生した一帯の遊牧民は食料に困っているのではないか、との問い掛けには、「モンゴルは、田舎に行くと肉を食べるほかない。われわれも羊を屠殺してもらって、もてなされた経験があるが、内臓に黒い部分が目立つなど異常が見られた。彼らは『昔のように何の不安もなく、羊の肉で来客を歓迎することができなくなった』と嘆いていた」と語った。なお、モンゴルのメディアの報道姿勢については、「主用な新聞には政府寄りの傾向が見られるが、ネット新聞など独立系は、私たちの活動を支持している」とした。【IWJテキストスタッフ・富田/奥松】

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