2023年5月16日、福島原発事故による汚染水の海洋放出の阻止を訴える「東京行動」が様々な形で実施され、締めくくる集会とデモが、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開催された。
「これ以上海を汚すな! 市民会議」(以下「これ海」)と「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」(以下「さようなら原発」)による共催で、29団体が賛同団体に名を連ねた。参加者数は福島からの参加を含め、500名(主催者発表)。
この日の「東京行動」は、午前中から、東京電力本店要請行動(東京電力本店前)、国会議員とともに「汚染水を海に流すな! 国会前行動」(衆議院第二議員会館前)、政府と国会に要請・院内集会(衆議院第一議員会館多目的ホール)が、立て続けに実施された。
告知チラシは「…政府と東京電力は、福島第一原発事故により発生したタンク貯蔵汚染水を『ALPS処理水』として、本年夏頃には海洋放出を始めようとしています。/これは、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という、政府と東京電力が福島県漁連や全漁連に対して行った2015年の文書約束を反故にし、国内外の海洋放出に反対する声を無視するもの…」と批判、「海洋放出の中止を政府、東京電力、国会に要請する」としている。
集会では、福島と首都圏から多数が登壇。初めに「さようなら原発」呼びかけ人の鎌田慧氏が、岸田政権を「グリーンとかトランスフォーメーションと言いながら、汚染水を処理水と言ってばらまく」「ドイツでは原発全廃を実行した。日本は、三世・四世が牛耳る金まみれ、利権まみれの政権が、もう一度金まみれの原発を実行しようとしている」と糾弾した。
「これ海」共同代表の織田千代氏は、基調報告として、東電・政府・国会に提出した汚染水放出中止要請の内容等を説明した。
社民党の福島瑞穂参議院議員は、「放射性物質は集中管理こそ必要で、いったん海に流したら元に取り出すことは不可能」と訴えた。
福島県会津若松市在住の「これ海」の片岡輝美氏は、県知事等宛ての「関係者の声を届けるハガキ作戦」、2021年の菅前総理の海洋放出決定日にあわせた「4.13グローバルアクション」、「5.7オンライン学習会 科学者が語る放射能汚染水を海に流してはいけない理由」の活動を紹介した。
小名浜機船底曳網漁業協同組合の柳内孝之氏は、「『関係者の理解なしにいかなる処分も行わない』との約束を無視して処分するのか。漁業者は納得していない」と訴えた。
東京都練馬区の環境まちづくりNPO元気力発電所の小出律子副理事長は、脱原発に向けた太陽光市民発電所10基設置の実績や、福島県知事等への「ハガキアクション」などを紹介。
立憲民主党の川田龍平参議院議員は「福島第一原発はコンクリートが溶け、鉄筋がむきだし。いつ地震で倒壊するかわからない」と危機感を訴えた。
「放射能汚染水の放出に反対する北区の会」の大束愛子氏は、北区王子駅での活動を報告。その際歌う「海は広いな大きいな」の替え歌「原発許すまじ」を会員が披露した。
続いて韓国の「市民放射能監視センター」の皆さんが紹介された。
最後に、「これ海」共同代表・佐藤和良氏が、東電と国は7月以降に海洋放出の段取りだとして、各自治体議会の6月定例会への請願を行動提起。福島県知事・県議会議長あての請願やスタンディング、小名浜港での「海の日アクション」への参加等を訴えた。
集会終了後は、福島からの参加者を先頭に、銀座までデモが実施された。
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。