今回の臨時国会で、統一教会の被害者救済法案が、審議入りしてからわずか5日で可決された件について、被害者の弁護をしている全国弁連が批判の声明を発表をしました。
IWJ号外をお届けしますので、ぜひ御覧ください。
統一教会の被害者の救済を念頭に置いた、消費者契約法と独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する「被害者救済法案」が、12月10日の参議院で「賛成多数」で可決されました。
審議入りしてからわずか5日、衆議院で8日に可決され、参議院でも可決されました。土曜日に国会が開催されるのは異例です。充分な審議を尽くせたのか、疑問がわきます。
参議院のホームページには、早速議決のお知らせが掲載されました。
「令和4年12月10日(土)、参議院消費者問題に関する特別委員会が開会され、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(閣法第18号)及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(閣法第22号)について、岸田内閣総理大臣及び河野国務大臣が出席して質疑が行われた後、討論を行い、採決の結果、両法律案は可決すべきものと決定されました。
同日、参議院本会議が開会され、消費者問題に関する特別委員長から、委員会における審査の経過と結果について報告があった後、討論を行い、採決の結果、両法律案は可決されました」
- 消費者契約法改正案及び法人寄附不当勧誘防止法案を議決(参議院、2022年12月10日)
岸田文雄総理は、10日、午後7時から記者会見を行い、10月3日に始まり、12月10日に閉会した第210回国会(臨時会)について、報告と質疑を行いました。
岸田総理は、「本日臨時国会の会期末を迎えました」と切り出し、予定通りに会期を終え、総合経済対策を動かすための第二次補正予算、感染症法改正など「ほとんどすべての政府提出法案を成立させることができました」と胸を張りました。
岸田総理「総理大臣として、先頭に立って実現に向けて力を尽くした、旧統一教会の被害者救済等、総合経済対策の2点を中心に所感と今後の対応をお話しいたします。
この会期中、内閣総理大臣として、旧統一教会による被害に苦しむ方々と、直接お会いをいたしました。その体験は、胸が苦しくなる、まさに、『凄惨』の一言に尽きるものでありました。
問題の深刻さを深く心に刻み、信教の自由や財産権などを保証する憲法や、現行の我が国の法体系のもとで最大限の規定を盛り込んだ新法をつくるように指示をするとともに、今国会での成立に向けて強い覚悟で臨みました。
関係省庁のスタッフは、夜を徹し、土日を返上して前例のないスピードで、法案策定作業を進めてくれました。
政府与党の緊密な連携の中、茂木幹事長を先頭に、与野党調整も進めていただきました。
被害に苦しむ元信者や家族が直面する困難を前に、与党も野党もない、野党のご意見も出来る限り取り入れつつ、与野党の垣根を越えた、圧倒的多数の合意のもとで、新法を成立させることができました。
審議を見守っていただいた、国民の皆さん、円滑な審議にご尽力をいただいた関係者の皆さんに、心から御礼を申し上げます。
しかし、我々は新たなスタート地点に立ったばかりです。被害者がこの制度を利用しやすい環境を早急に整備することに全力を傾けます。
省庁横断のチームで、法テラスなどの関係機関とも密接に連携をしながら、必要な政府支援を迅速に行い、新たな制度をしっかりと運用してまいります」
会見に参加した各社の記者からの質疑応答では、この被害者救済法案について触れる質問はひとつもありませんでした。したがって、岸田総理による統一教会の被害者救済法案に関連する発言は、先述した通りの発言のみにとどまりました。記者たちの関心の低さには、驚きを覚えずにはいられません。
- 【ライブ配信】岸田総理 記者会見 臨時国会閉幕(テレ東ビズ、2022年12月10日)
これに対し、統一教会の被害者の弁護に当たっている、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、岸田総理の発言の2時間前、午後5時から記者会見を開き、拙速にまとめられた、被害者救済法案に対する批判の声明を発表しました。
全国弁連の批判声明は、この法案の欠陥を示す、重要な内容を含みます。
「『法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律』の成立に対する声明」の全文を、末尾に転載します。
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