2022年11月24日(木)午後5時30分より、衆議院第一議員会館にて、「自衛隊を活かす会(自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会)」の主催により、「国際法上の重大犯罪を日本は裁けるのか!?―ウクライナ戦争が問うているもの―」と題したシンポジウムが開催された。
慶応大学法学部教授のフィリップ・オステン氏が「国際法上の重大犯罪(中核犯罪)の国内法化—日本版『国際刑事法典』に向けて」と題した講演を行い、それを受け、柳澤協二氏(国際地政学研究所理事長、元内閣官房副長官補)、加藤朗氏(元桜美林大学教授、元防衛研究所所員)、伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授、元国連PKO武装解除部長)、そして、菅野志桜里氏(弁護士・元衆議院議員)と山本太郎氏(れいわ新選組代表・参議院議員)ら参加者が、質疑応答を通じて討論を行った。
※中核犯罪とは、「国際法上の犯罪」のうち、国際刑事裁判所(ICC)の管轄権に服する「ジェノサイド罪」、「人道に対する罪」、「戦争犯罪」、および「侵略の罪」のこと。
「国際法上の重大犯罪を日本は裁けるのか?」
いまだ停戦にいたっていないウクライナ戦争でも、虐殺その他の行為、いわゆる「戦争犯罪」や「国際刑事法・国際刑事裁判」をめぐる諸問題について、日本でも広くクローズアップされている。
また、2年前には、「国際刑事法典の制定を国会に求める会」が、衆議院法制局の協力のもと、この問題に関して、法案の概要を起草している。
フィリップ・オステン氏は、日本で初めてこの問題を取り上げた権威であり、おもに「日本の国内法」という視点にもとづき、今後の国内法整備のあり方について、いくつかの重要な問題提起を行った。オステン氏は講演を次のように締めくくった。
「中核犯罪のための国内法整備は、今後の最重要課題のひとつです。これにあたって、既存の刑法体系との整合性を図りながら、実務上の運用にも十分耐えうるような法制度の構築に向け、実践的な知見を発信し、立法作業を前進させることができるかどうかが今後のポイントとなるように思われます。(中略)
また、国内法整備の際には、外国の立法例を参照しつつも、単なる『後追い立法』ではなく、日本独自の規範化を通じて、他国、とりわけ、ICC(国際刑事裁判所)締約国が極端に少ないアジア諸国に対しても、新たな立法モデルを提示することで、国際刑法の促進や『法の支配』の普及にも寄与し得るのです」
講演と討論の詳細はぜひ全編動画をご視聴ください。