2021年10月31日の衆議院選挙で新潟5区から出馬し、無所属の米山隆一氏に敗れて比例復活した泉田裕彦氏が、同選挙での裏金疑惑を示唆する投稿を11月29日にツイートした。
新潟5区は、柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐり、新潟県知事選で争った因縁のある米山氏、泉田氏、森民夫氏の三つ巴の戦いだった。
泉田氏はツイッターで、衆院選の際に「2~3千万円の裏金要求されました」と告発。自民党新潟県連会長に対応を求めたが、「県連としては一切関わらない」と回答された。そこで泉田氏は証拠となる音声データを公開し、金を要求したのが星野伊佐夫新潟県議員であることを明かした。
音声データには星野議員の「早く撒こう」「2000万や3000万出すのがもったいなかったら人生終わり」という声が残されていた。泉田氏は自民県連に星野氏の党員除名処分を求めた。
泉田氏の告発後、同様の裏金要求が自民党内で横行していることを示す証言が、選挙経験者から次々と明らかにされた。
自民党公認で新潟4区から出馬経験のある金子恵美元衆議院議員は「先輩県議から『お金を用意しないと勝てないよ』と普通に言われた」「自分たちにお金を渡せという意味も含まれていた」と述懐。また、橋下徹氏は「大阪府知事選のときに自民党大阪府連から2000万円を要求され、値切って1000万円で話を着けた」と語っている。
あらためて自民党の底知れない選挙の闇の深さがうかがわれる告発である。事件の全容解明を待ちたい。
柏崎刈羽原発の再稼働問題めぐり、新潟県知事選で争った因縁ある3人が三つ巴の新潟5区!
2021年10月31日に投開票が行われた第49回衆議院選挙で、新潟5区から出馬し、無所属の米山隆一氏に敗れ、比例復活した泉田裕彦氏の選挙にまつわる裏金疑惑を示唆するツイートが波紋を広げている。
新潟5区は、米山隆一氏のほか、自由民主党の公認候補である泉田裕彦氏と、もうひとり無所属で森民夫氏が出馬した。
▲米山隆一衆議院議員(IWJ撮影)
森氏は東京大学工学部建築学科出身で、建設省に入省。1999年に新潟県長岡市長選に出馬、当選している。2004年には新潟県知事選の際には泉田氏と自民党の公認をめぐって敗れ、出馬を見送った。その後5期続けて長岡市長として活躍した。
泉田氏の任期満了辞任に伴って行われた2016年の新潟県知事選では、森氏は自民党や連合新潟から推薦を受けて出馬、無所属の米山隆一氏に敗退した。森氏は柏崎刈羽原発再稼働を推進する立場、米山氏は再稼働に慎重な立場からの出馬だった。
第49回衆議院選挙の、新潟5区はこのような因縁の3人が並び、またも自民党公認を泉田氏が取り、森氏は無所属で出馬する形になった。結果は以下の通りである。
米山隆一氏 7万9447票(当選)
泉田裕彦氏 6万0837票(比例復活)
森民夫氏 3万6422票
泉田氏と森氏は自民党側、米山氏は非自民の立場である。自民党が泉田氏か森氏に候補者を統一していれば10万票近くになり、米山氏は落選していた、とも見えるが、そう簡単に保守分裂選挙とはいえない。柏崎刈羽原発をめぐっては米山氏と泉田氏が慎重派、森氏は推進派だからだ。
泉田裕彦氏が「2~3千万円の裏金要求されました」と告発! しかし対応求められた県連会長は「一切関わらない」と回答!!
11月29日午後、泉田氏がツイッターに「総選挙の闇」と題して投稿した。
「【総選挙の闇:新潟5区】 今回の衆議院総選挙で、2~3千万円の裏金要求をされました。『払わなければ選挙に落ちるぞ』という文脈でした。広島で事件があったばかりでよくやると思いましたが、違法行為はお断りしました。そうしたら、選挙は大変でした。。。」
- 泉田 裕彦@IzumidaHirohiko(ツイッター、2021年11月29日午後2:35 )
▲泉田裕彦氏のツイート。
早速、東国原英夫氏が「事実関係を明らかにすべき」だとツイート。
「新潟5区の泉田裕彦氏(元新潟県知事)がツィッターで『先般の衆議院選挙で2〜3千万円の裏金を要求された』と公表したとの報道。こういう類の話はあちこちで聞くが、これが事実なら大問題。一体、誰から要求されたのか?告発はするのか?泉田氏も言い放しでは良くない。事実関係を明らかにすべき」
- 東国原英夫@higashi_kokuba(ツイッター、2021年11月29日午後5:39 )
▲東国原英夫氏のツイート。
東国原氏のツイートを受けて、泉田氏は以下のツイートをした。
「【総選挙の闇:新潟5区】(続き)選挙に際しての裏金要求はその公正さをゆがめ民主主義の根幹を崩します。
高鳥県連会長に対応を求めたところ、相談するので証拠はあるのか聞かれ、YESと回答しました。しかし、返事は、『県連としては一切関わらないという結論になりました。』とのことでした。???」
- 泉田 裕彦@IzumidaHirohiko(ツイッター、2021年11月29日午後7:14)
▲泉田裕彦氏のツイート。
音声データに残された「早く撒こう」「2000万や3000万出すのがもったいなかったら人生終わり」の星野伊佐夫新潟県議員の声!
その後、12月3日に泉田氏が証拠となる音声データを公開、金を要求した相手が星野伊佐夫新潟県議員であることを明らかにした。泉田氏は自民県連に対し、星野氏の党員除名処分を求めている。
▲自由民主党・星野伊佐夫新潟県議会議員(新潟県議会HP)
音声データには、星野氏のこのままでは負ける、比例復活もできないとし、「とにかく必要経費を早く撒こう。ここで2000万や3000万出すのがもったいなかったら人生終わりだよ。そこなんだよ」という発言が残っている。
星野氏は音声データの公開を受けて、3日の午後に会見を開き、これは裏金ではなく「表の金」で、政党支部の活動費だと説明し、「金をまく」という件は泉田氏による改竄だと苦しい言い訳をしている。
「師弟関係のような泉田さんにこういう形で、残念です」と星野氏は「残念だ」と繰り返し、「泉田ファン」だと言い、これまで新潟県知事時代も、異端児の泉田氏を庇い続けてきたことなど、泉田氏を2004年来支援してきたと述べている。
岩上安身が独自に入手しIWJで公開した、総選挙に際しての自民党の内部調査報告書によれば、泉田氏の評価は4月25日(C)、8月22日(C)、10月10日(C-)、10月17日(D+)となっており、確かに「比例復活もできない」可能性はあった。以下に支持率の推移を示す。左から順に、4月25日、8月22日、10月10日、10月17日の支持率(%)である。
米山隆一氏 34.7 37.3 36.3 38.4
泉田裕彦氏 26.8 31.2 28.3 27.0
森民夫氏 20.9 14.9 17.1 19.8
音声データは9月4日とされているので、ちょうど泉田氏の評価がCからC-に変わっていく時期に、星野氏が泉田氏を自宅に呼び出し、「2000万や3000万」を撒こうと説得したことになる。
同様の証言続々! 金子恵美元衆議院議員は「自分たちにお金を渡せという意味も」! 橋下徹氏は「2000万円を要求され、1000万円に値切った」!
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