「小池百合子さまのおかげで民進真っ二つ(嘲笑)」――日本会議系集会で小池氏へ皮肉な感謝! ~9条改憲など入り口に過ぎないと極右は怪気炎! 緊急事態条項、憲法の全文書き換え目指すとも! 2017.10.25

記事公開日:2017.10.26取材地: テキスト動画
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(取材・文:城石エマ、取材:谷口直哉、記事構成:岩上安身)

 「安倍さんは本当についている! 守られているとしか言いようのない選挙だった! 自公がまず、足並みを揃えて憲法改正に進まなければ。維新の会さんにも協力してもらわなければ。小池さんのおかげで民進党は真っ二つに割れた。はっきりと憲法改正に賛成、安保法制に賛成というハードルをつくっていただいた。天の時、地の利、人の和を得た。最後は全力で発議ができるまで、頑張る! 天の時は与えられたんです! 頑張りましょう!!!」

 これは2017年10月25日に行われた、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」主催による、「今こそ、各党は憲法改正原案の国会提出を! 国民集会」で、内閣総理大臣補佐官の衛藤晟一参議院議員(自民党)が声を大にして叫んだ言葉である。

▲衛藤晟一・総理補佐官

 改憲をゴリ押ししようとする自民党として、民進党を「併合」した希望の党代表の小池百合子氏は、まさに「小池さまさま」というべき存在であるというわけである。小池氏と謀り、前原氏が民進党を解体して希望の党への合流を目指したことが、自民党・改憲派を利した「利敵行為」であったことが、自民党の、しかも総理補佐官の口から明らかになった。

 あまり聞き覚えのない団体かもしれないが、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、自称「ジャーナリスト」の櫻井よしこ氏が共同代表を務める、日本会議系の団体である。今年5月3日に同団体の主催で行われた集会で、安倍総理がビデオメッセージを寄せて「憲法9条1項、2項をそのままに、自衛隊を明記する」という突飛な提案をした。

 衆院選終了直後のタイミングにあわせて開かれた10月25日の集会では、自称「カリフォルニア州弁護士」のケント・ギルバート氏、元空将の織田邦男氏、そして自民党憲法改正推進本部顧問の古屋圭司衆院議員、自民党憲法改正推進本部副本部長の山谷えり子参院議員ら、国会議員10名が登壇した。

 少し前まで、こうした自民党改憲勢力や極右論者らは、少数の「カルト」の一種のように見なされ、真剣にとりあう必要のない存在であると考えられてきた。その彼らは、今回の衆院選の結果、自公希維の4党が8割を占めたことで、国民の大半が「憲法改正に賛成している」「民意は示された」と勢いづき、「最終的には国民投票。このチャンスを逃したら、二度と来ないかもしれない!」(山田宏参院議員)などと、現実的な改憲に向けた道筋を描いて盛りあがっていたのだ。

 これまでにも、IWJはこの改憲派勢力の集会を数回取材してきたが、登壇者らはこれまでになく高揚し、「安倍総理は宙ぶらりんだ。いい加減にしてくれ」(織田邦男氏)と、安倍総理の「背中を押す」発言を並べていた。

 安倍総理の提案した9条3項加憲の実現が強調される中で、「世界各国で常識となっている緊急事態条項が現行憲法にないのは、憲法の根本的欠陥以外の何物でもない」(決議案)と、「緊急事態条項」の必要性も強くアピールされていた。日本を独裁国家化する「ナチスの手口」そのもののこの条項こそ、彼らの本丸であると考えるべきだ。読売新聞の調査によると、今回の衆院選で当選した候補者のうちの84%が改憲に賛成し、そのうち緊急事態条項の創設に賛成したのが69%で最多だったという。

 集まった参加者700人(主催者発表)の中には、日本会議関係者の姿もあった。

 集会では開会前から会場に「ありがとう自衛隊さん」という奇妙な歌が流れ、同じく「ありがとう自衛隊さん」と書かれたポスターが参加者に無料配布されていた。

 IWJは、集会の終了後、櫻井よしこ氏、織田邦男氏、そして日本会議の関係者らを直撃し、緊急事態条項の危険性や、「憲法9条を改正すれば北朝鮮の核ミサイルに対抗できるのか?」「原発を抱える日本にミサイルがぶつかる危険を考えているのか?」などと疑問をぶつけた。

 日本を戦争遂行国家へと導こうとしている勢力が今、どのようなことを考えているのか、ぜひ、目の当たりにしていただきたい。

記事目次

■ダイジェスト映像

  • 基調提言 櫻井よしこ氏(ジャーナリスト・国民の会共同代表)
  • 提言 ケント・ギルバート氏(米カリフォルニア州弁護士)、織田邦男氏(元空将)
  • 各党挨拶 自民党、日本維新の会
  • 登壇者
    田久保忠衛氏(美しい日本の憲法をつくる国民の会共同代表)、櫻井よしこ氏(美しい日本の憲法をつくる国民の会共同代表)、ケント・ギルバート氏(カリフォルニア州弁護士)、織田邦男氏(元空将)、衛藤晟一参議院議員(自民党、総理大臣補佐官)、柴山昌彦衆議院議員(自民党筆頭副幹事長)、石井苗子参議院議員(日本維新の会)、山谷えり子参議院議員(自民党憲法改正推進本部副本部長)、木原稔衆議院議員(自民党)、古屋圭司衆議院議員(自民党憲法改正推進本部顧問)、桜田義孝衆議院議員(自民党)、赤池誠章参議院議員(自民党)、山田宏参議院議員(自民党)、有村治子参議院議員(自民党憲法改正推進本部副本部長)

「北朝鮮問題の向こうにはもっと大きな脅威、中国がある」――仮想敵の脅威を煽りながら自衛隊を国軍化して戦争へ突き進みたがる櫻井よしこ氏

 「一番大事なことは憲法9条第2項。自衛隊をきちんと国軍として位置づけることができるか」――。

 こう述べた、櫻井よしこ氏は、次のように続けた。

 「戦時国際法の権威である色摩力夫(しかま・りきお)先生(※)のご指摘では、国家の交戦権を憲法で禁止している国は日本だけであろうと。異常な状況の中に私たちは70年間唯々諾々と沈んできた。有事に陥ったら、どのような北朝鮮、その先に朝鮮半島が待ち受けているのか。我が国は国家として対処できるのかが問われている。拉致被害者を誰が救うんですか? 韓国にいる日本人を誰が輸送するんですか?」

▲櫻井よしこ氏

※色摩力夫:元外交官。『日本の死活問題国際法・国連・軍隊の真実』(2017、グッドブックス)などの著者。櫻井氏はたびたびブログなどで、色摩氏の発言を引用している。

 北朝鮮危機が現実的に迫っているという認識は間違ってはいないだろう。しかし、北朝鮮が米本土に届くICBMの開発をするのが許せないと言って、北朝鮮に対して先制攻撃もありうると威嚇しているのは米国であり、北朝鮮が攻撃対象として名指ししているのも米国である。なぜ、わざわざ日本が、米国と北朝鮮の戦争に飛び込むようなことをするのだろうか?

 フォーリン・アフェアーズ10月号で、元国防省分析官のベネット・ランバーグ氏は「戦争になれば、日本と韓国に存在する数十の原子力発電施設が攻撃のターゲットにされる恐れがある」と指摘している。さらに慎重な表現で、米軍もまた、北朝鮮の核施設を攻撃することがありうると述べている。そうなれば当然、北朝鮮はやり返すだろう。それでも日本は、米国と一体化して戦争に突き進むのか?

 その後、櫻井氏は、「北朝鮮問題のさらに向こうには、もっと大きな脅威があります。中国であります」と述べ、中国共産党大会で習近平総書記が提案した「人類運命共同体」について、「初めて聞いた言葉だが、中華民族が全ての民族の上にそびえ立って、中国の主導のもとに私たちは運命共同体の一部として生きなければならないということではないか」と恐れおののいて見せた。

 おかしな話だ。櫻井氏のような極右らは、過去の大日本帝国を讃美する際、しばしば「八紘一宇」「大東亜共栄国」という当時のスローガンを肯定的に引っぱりだすが、これは「日本民族が、すべての民族の上にそびえ立って、一つの家をなし、日本の天皇の主導のもとに運命共同体として生きなければならない」という意味であり、アジアへの暴力的侵略の際に、さんざん使われたスローガンである。櫻井氏は習近平氏の「人類運命共同体」を恐ろしいというが、彼女の習近平構想の理解は「八紘一宇」「大東亜共栄圏」の中身そのもので、君臨する主体が日本から中国へ変わっただけであり、自分の独自解釈に脅えているだけだ。

 いうなれば自分たち日本人が、過去にアジアに押しつけてきたスローガンを、中国が支配的民族の部分だけ入れ替えて押しつけてきたと解釈し、脅えているわけである。要するに、「八紘一宇」は押しつけられた側にとっては恐ろしいスローガンであり、侵略支配だったと認めているようなものである。

 しかし櫻井氏の妄想は、どうやら的外れのようである。「人類運命共同体」については、習氏自身が今年2月10日の国連ジュネーブ事務局で行った講演の中で、平等と主権の原則、国際的人道精神、平和共存5原則など国際的な原則を「人類の運命共同体構築の基本的拠り所とすべきである」と述べている。櫻井氏の妄想するような、「中華民族が全ての民族の上にそびえ立つ」ものとは全く異なるようだ。

 今回櫻井氏は、これまで全面に押し出してきた「緊急事態条項」について触れなかった。しかし、講演会後、IWJが帰りがけの櫻井氏を直撃して、緊急事態条項が「ナチスの手口」と言われていることを伝えると、「全然そんなことはないと思いますよ。みんなの議論の中で決めていくことですから。そんなことは絶対ないと思います。大丈夫です」と言って、にっこりと笑ってみせた。腹の底では、「緊急事態条項」の創設を全く諦めてなどいないのだろう。

「9条に集中して、自衛隊を合憲的な存在として認めるところまでもっていってしまえば、あとで時間をかけて自主憲法を作ればいいかな」――ためらいなく「9条は入り口」という「ホンネ」を漏らすケント・ギルバート氏

 「カリフォルニア州弁護士」という肩書でありながら、日本の極右活動家として知られるケント・ギルバート氏は、今回の衆院選を「改憲地ならし選挙」として位置づけていたことを暴露したことに始まり、次々と極右の「ホンネ」を漏らしていった。

 「私は憲法9条の改正には大賛成。2項は削除してもらいたいが非現実的かもしれないので、その辺は議論をして一番いい道を見つけないと。1回で憲法改正を全部やるのはおそらく無理。個人の意見としては、9条に集中して、そこだけをどうにかして、自衛隊を合憲的な存在として認めるところまでもっていってしまえば、あとで時間をかけて自主憲法を作ればいいかなと思う」

▲ケント・ギルバート氏

 ギルバート氏ははっきりと、「9条改憲」が「入り口にすぎない」と言いきったのである。安倍総理の提案した「9条3項加憲」が、改憲派にとっては「悲願のゴール」でも何でもなく、9条だけでは終わらず、日本国憲法のもつ様々な美点を侵食してゆき、骨しか残らないようにしてやろうという貧欲さを抱いていることを、おそらく護憲派も、無党派・ノンポリの一般市民も、理解も警戒もしていない。

 「9条3項加憲」の問題点については、以下のインタビューで詳しく扱っているので、ぜひ、ご参照いただきたい。非会員でも単体購入も可能である。

 「9条3項加憲」で国民を油断させ、憲法改正に対する警戒心を解いたあとで作る「自主憲法」が、ナチスの手口そのものの「緊急事態条項」の創設を含んだものになることは、明らかだ。実現されれば、日本は永久独裁国家になりかねない。

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