【緊急寄稿】「要警戒 安倍改憲の動き」~緊急事態条項の危険性をいち早く訴え続けてきた梓澤和幸弁護士がIWJに緊急投稿! 2017.9.17

記事公開日:2017.9.17 テキスト
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(前文:IWJ編集部)

 「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」――。

 2017年5月3日、憲法記念日にあわせて安倍総理が打ち出した「9条加憲」案をめぐり、マスコミでも「改憲問題」が扱われるようになった。

 しかし、その扱い方には大きな問題がある。危機感をもった梓澤和幸弁護士が、警戒を促す投稿をIWJに寄せた。

 「マスコミの報じ方を見ていると、改憲そのものへの危機感が鋭く伝わらない」

▲梓澤和幸弁護士(2017年2月9日IWJ撮影)

 7月の都議選での自民党の大敗を受け、多くのマスコミが「惨敗した安倍政権に改憲はできない」と報じている。これに対して梓澤弁護士は、IWJの取材に応じて、「安倍総理は任期中に改憲をやる蓋然性が高い」との見方を示した。

 「昨年2016年の参院選で、自民党は『憲法改正』を隠していた。その結果、改憲勢力は3分の2をとった。自主憲法制定を党是に掲げて結党してから、自民党は一貫して9条改憲を狙ってきたが、衆参3分の2を改憲勢力でおさえたのは初めて。何としても改憲をやるだろう」

 駅前でビラ配りなどをする中で、その危機感はより強く感じられるようになってきたという。

 「北朝鮮危機以来、安倍総理やトランプ大統領の強硬姿勢に対する『しょうがない』という雰囲気が強くなっている。『改憲 どう考える緊急事態条項・九条自衛隊明記』を出版してから、古くからの友人の一人に読んでもらったけど、『わかるけど、でも北朝鮮どうするの?』という反応だった」

 安倍総理は、今年5月3日の改憲派による集会で「加憲」案を提示した際、「安全保障環境の悪化など」を理由に、憲法改正の必要性を強調した。安倍政権やマスコミが北朝鮮情勢の危機をことさらに煽ることで、国民は知らず知らずのうちに憲法改正が必要なのだと、刷り込まれていく。

 北朝鮮問題でも、梓澤弁護士はマスコミのいわゆる「客観報道の『弊害』」を説く。

 「そもそも北朝鮮問題の解決には、話し合いしかない。マスコミはどうしたら戦争を避けられるかを問題提起しなければならないはずだが、今は政府の声を大きく伝えるだけ。対抗武力をもって防止しようとすれば、核開発競走になる。話し合いしかないんだと、安倍政権に対話を求める声を届けられるかが勝負だ」

 岩上安身は、9月20日、梓澤弁護士にインタビューをし、新著『改憲 どう考える緊急事態条項・九条自衛隊明記』をもとに、安倍政権が明言した「9条加憲」や、これまで安倍政権が改憲の突破口にすると見られていた「緊急事態条項」の危険性に迫る(※)。ぜひ、ご視聴いただきたい。

※9月20日のインタビューは、梓澤弁護士が体調を崩されたため、急遽延期となりました。近日中に再度、日程をお知らせしますので、ご期待ください(9月19日IWJ編集部注)。

 以下、梓澤弁護士がIWJに寄せた投稿を掲載する。

「要警戒 安倍改憲の動き」

 9月13日、自民党憲法改正対策本部の討論内容が新聞各紙に報道された。同日付の朝日新聞「首相案、押し切れず 党草案、根強い支持 自民改憲本部」は、自民党憲法改正対策本部の安倍首相改憲メッセージに基づく改憲に向けての動きを伝えている。また石破氏の2012年改憲案を基本とすべきだとの反論を紹介しており自民党内部の対立を伝えている。他方この記事は公明党幹部の言明でまとめられている。公明党幹部の言葉とは衆議院選挙が遅くとも一年数ヵ月に迫っている今、改憲発議はあり得ないというものである(※)。

「首相案、押し切れず 党草案、根強い支持 自民改憲本部」(朝日新聞、2017年9月13日)は、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行の「総選挙が1年半の中にある状況で、(改憲を)発議する環境にない」という言葉で締めくくっている。

 この朝日新聞記事の全体の流れとまとめ部分は、あれこれの動きを伝えていて無難なようではある。しかし市民運動の立場からみてこのまとめは有害な効果をもたらしかねない。

 市民の改憲反対運動を進める立場に立つとき、なにがなんでも改憲を進めようとする安倍首相に牽引された自民党の改憲に向けた執念を過小評価してはならない。

 マスメデイアの中で働く記者、幹部と比較的多い知り合いがある身で体験してきた。その体験とは、都議会議員選挙の自民党惨敗以来改憲発議の危機は遠ざかったのではないか、との見方に多く接したということである。

 2012年の自民改憲案発表のとき自民党は野党だった。与党への復権を狙う安倍晋三という政治家がテレビの政見放送で「国防軍を」と呼号した時の衝撃を忘れられない。

 その後、民主党政権は倒された。しかし2012年12月のこの時まだ改憲発議の要件は達成されなかった。参議院では3分の2をとっていなかったからである。

 2016年の参議院選挙を思い起こそう。「アベノミクスの成否」だけが争点とされ、安倍政治家は改憲に一言も触れなかった。勝った途端にメデイアは改憲勢力3分の2を問題にしはじめた。

 掠め取った3分の2である。千載一遇の機会を逃すはずがない。

 改憲発議をさせるもさせないもそれは市民と与党勢力の力のバランスに左右される。ならば大切なことは改憲発議の蓋然性を見据えてそれをぶっ潰す運動の力、理論の力、言葉のちからを作り出すことである。

 北朝鮮とトランプの憎悪と威嚇の言葉の応酬のさなか、人びとの中にはやっつけろ的な雰囲気がともすれば盛り上がりがちである。

 しかし頭を冷やせば対話以外に解決のみちがないことは明白だ。

 しかしこの雰囲気の中で、早期解散論まで出ているという。

 この空気の中でこそ、憲法9条を理解し、回りに拡げる理論と歴史認識の力が必要だ。

 10月4日ペンクラブは憲法勉強会を開く。午後6時半~、神保町すずらん通り東京堂ホールにて。伊藤真弁護士とテレビキャスター金平茂紀さんが出演。不肖梓澤はコーディネーターをつとめる。

2017年9月14日
弁護士 梓澤和幸

******************
<日本ペンクラブ平和委員会改憲問題勉強会>

「自衛隊」を「憲法9条に書き込む」と何が変わる? 何がおこる?

 安倍首相は5月3日の改憲メッセージ通りのことを、何が何でもやろうとしています。9条1項2項はそのままに、3項に自衛隊を明記するという安倍改憲案は、私たちの国に、未来に、何をもたらすのか。

 中高生向けのわかりやすい憲法の著書も多数ある伊藤真さんと、TBS報道特集キャスターとして戦地へ、災害の現場へ、難民キャンプへと飛び回る金平茂紀さんに、「安倍改憲案で日本はどうなる」を語っていただきます。

 私たちはそれを望むのでしょうか? あなたの、あなたの大切な人の「明日」に関わるお話です。

講師
伊藤 真 氏(弁護士・日弁連憲法問題対策本部副本部長)
金平 茂紀 氏(ジャーナリスト・TBS「報道特集」キャスター)

開会挨拶
高橋 千劔破 (作家・日本ペンクラブ副会長)

コーディネーター
梓澤 和幸 (弁護士・日本ペンクラブ平和委員会委員長)

※事前予約制

10月4日(水)18:30~20:15 予定
会場 東京堂書店 東京堂ホール
千代田区神田神保町1-17 神保町すずらん通り東京堂書店6階
東京メトロ半蔵門線、都営新宿線、都営三田線
いずれも神保町駅下車・A7 出口から徒歩3分

出演者のサイン本販売も致します

<お申込先>メール、または、往復はがきのいずれかでお申し込みください。申込期間9月25日までですが、定員80名になり次第申し込みを締め切らせていただきます。

◎メールの場合
タイトル(件名)に、「10月4日憲法勉強会 参加希望」とお書きください。
本文に、氏名・住所・電話番号・参加希望人数(お一人4名まで)を明記の上、以下のメールアドレス宛にお送りください。
日本ペンクラブ事務局井出宛( Tsutomu_Ide@japanpen.or.jp
確認後、事務局より入場整理券メールを返信いたします。

◎往復はがきの場合
「10月4日憲法勉強会 参加希望」、氏名、住所、電話番号、参加希望人数(お一人4名まで)を明記のうえ下記住所までお送りください。
※返信の宛名面に、申込希望者の「郵便番号」「住所」「お名前」をご記入ください。
〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町20-3 日本ペンクラブ 井出宛
※当日は、返信はがき、または、入場整理券メールをプリントアウトしてご持参ください。

お問合わせ先:日本ペンクラブ事務局 井出宛 (tel:03-5614-5391)

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