「残業代ゼロ法案条件つき容認」への抗議デモは労働者の分断!? 不毛なこと!? ネットで発信するから受け止められない!? ~「連合」神津里季生会長が会見で本部前デモを批判!! 2017.7.21

記事公開日:2017.7.21取材地: テキスト動画
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(取材・文:城石裕幸)

※7月27日、テキストを追加しました。

 「働く者が危険にさらされることを、連合として手をこまねいて見ている訳にはいかない。総理に修正要求をした」

 2017年7月21日、連合(日本労働組合総連合会)会館で行なわれた定例記者会見の席で、神津里季生(こうづりきお)会長はこのように述べ、政府が成長戦略の目玉に位置づけている労働基準法改正案の「裁量労働制の拡大」と「高度プロフェッショナル制度の導入」(いわゆる「残業代ゼロ法案」)について、連合側から修正を要請し、政府が要請を受け入れた経緯について説明した。

▲連合 神津里季生会長

■ハイライト

  • 会見者 神津里季生氏(連合会長、基幹労連)/逢見直人氏(連合事務局長、UAゼンセン)/安永貴夫氏(連合副事務局長、情報労連)

政府は秋の臨時国会に「規制緩和」と「規制強化」を一本化した労働基準法改正案を提出か 連合は一本化に反対姿勢

 一部の労働者を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設を盛り込んだ労働基準法改正案は、年収1075万円以上の高収入の専門職を労働時間規制の対象外とする仕組みで、残業代などの割増賃金が支払われないことから「残業代ゼロ法案」と呼ばれる。野党の反発により2015年4月の国会提出以降、2年間たなざらしになっている。

 政府はこの法案と、働き方改革実現会議がまとめた罰則つきの残業の上限規制や、同一労働同一賃金を盛り込むことを中心にした「労働基準法」の改正案とを一本化して、秋の臨時国会に出すことを公言している。

 それぞれの法案は、規制緩和と規制強化という正反対の中身であり、連合としては法案の一本化には反対の立場だ。

「政府の答えはほぼ私どもの要求通り」と胸を張るも、その中身はたったの「年休104日」!?

 7月13日、連合の神津会長が首相官邸で安倍総理と会談し、いわゆる「残業代ゼロ法案」について、連合側が要請した「年間104日以上の休日確保の義務づけ」などの修正案に政府が応じる姿勢を見せたため、「連合が『残業代ゼロ法案』条件つき容認」と報じられた。

 会見の席上、神津会長は政府との交渉の経緯について、次のように説明した。

 「裁量労働制の適用範囲の拡大の危険性もある。高度プロフェッショナル制度は、健康確保措置が非常に弱い。政府が一本化で進めてくるなら、働くものが危険にさらされることを連合として手をこまねいて見ている訳にはいかない。そういう問題意識に立って政府との間でやりとりし、総理に修正要求をした」

 そして、「その答えは、ほぼ私どもの趣旨に沿ったかたちで政府から来ている」と、政府とのスムーズな連携を強調した。

 共謀罪の強行採決を念頭に、「反対しても通されるなら、せめて修正は盛り込んで欲しい」という妥協と、まるで同じような話である。悪法の法案に断固反対するという姿勢が、根本から欠けている。

 しかし、連合が要請する「年間104日以上の休日確保」はあくまで「週休2日を確保せよ」と求めているに過ぎず、仮に土日に休めば、その他の祝日は休めない。それだけで長時間労働の抑制効果が期待できるとは言えず、「歯止め」などとは到底認められない。

 長時間労働問題については、日本共産党・吉良よし子議員、労働問題に取り組む笹山尚人弁護士に岩上安身が詳しくお話をうかがっている。この機会にぜひご覧いただきたい。

 なお、神津会長によると、政労使合意については今後、連合の中央執行委員会での議論を経て判断する見通しであり、「まだ見極めがついていない」ということだ。

連合への抗議デモは「労働者の分断に他ならない。不毛なことだ」!?

 この日の記者会見に先立つ7月19日、連合会館前で約100人の市民らが「連合の『残業代ゼロ法案』条件つき容認」に反対して抗議のデモを行った。

 このデモでは、「連合は勝手に労働者を代表するな」、「私の残業を勝手に売るな」という、辛辣な言葉がプラカードとして掲げられた。

 このことについてIWJ記者が受け止めを問うと、神津会長は「真意が伝わっていない。残念だ」としながらも、「労働者の分断に他ならない。不毛なことだ」と答えた。

 その上で「みなさんネットでそういう発信をされているようで、組織としてその投げかけをどう受け止めるのかというところまで到達していない」と語った。

▲連合会館前で行なわれたデモの様子(2017年7月19日)

27日、内外からの批判で急遽合意は見送りに!

 7月27日、連合は札幌市内で臨時の中央執行委員会を開催。残業代ゼロ法案(高度プロフェッショナル制度)について政労使での修正合意を見送り、容認を撤回、反対の姿勢に戻ることを決めた。容認撤回は、連合内外からの批判の声を受けたもの。

 神津里季生会長は記者会見を行い、「合意できる内容に至らなかった。理にかなった判断で政府との関係がおかしくなるとは思っていない」と語った。

 容認撤回により、臨時国会での野党側の攻勢が強まるとみられ、審議の行方には不透明感が出てきた。

 また、容認への方向転換を主導したとされる逢見直人(おうみ・なおと)事務局長は、10月に任期を迎える神津会長の後任として有力視されていたが、次期会長には神津会長が留任し、逢見氏は会長代行に就任する見通しとなった。逢見氏は旧民社党の支持基盤であった旧同盟系で「連合右派」と呼ばれ、官邸にも近しい。

▲逢見直人事務局長

 岩上安身は7月11日、連合が「残業代ゼロ法案」を容認という報道を受け、ツイッターで以下のように批判している。

 「こんな組合のために、一人一人組合費出してるんでしょ。もうやめて新しい組合、作ったら??? 労働者よりも竹中平蔵にずっと近いじゃない、連合は」

 また7月21日には、民進党の野田佳彦幹事長交代との報道に触れ、連合と民進党との関係についても以下のようにツイートしている。

 「野田氏の交代は、当然。もう軸足がぶれないように。連合はすでに経団連の付属部隊。民進党の支持団体とは言えないし、労働者の代表でもない。中道右派にぶれれば都ファ改め国民ファーストとキャラが被って票を食われるだけ。立憲政党としての筋を通せ、民進党!」

 反対の声に耳を傾けることなく、連合を支えているはずの労働者の市民に対して、「労働者の分断にほかならない。不毛なことだ」などと、上から目線で述べる神津会長の姿勢を目の当たりにしているとき、秋葉原で有権者に向かって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と指を指した安倍総理の姿が思い出された。

 神津氏の生の言葉を聞いて、逆に路上のプラカードの言葉が、リアリティーをもって浮かび上がってきた。

 「連合は勝手に労働者を代表するな」

 本当にその通りだと思う。連合の会長に、なぜ労働者を「代表」する「権利」が、どこにあるというのだろうか!?

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 7月26日、連合は残業代ゼロ法案(高度プロフェッショナル制度)への容認を撤回し、反対の姿勢に戻ることが報じられた。容認撤回は、連合内外からの批判の声を受けたもの。

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