治安維持法の再来にメディアの自主規制!? 「戦争できる国」へ突き進む危機感を、海渡雄一氏、金平茂紀氏、小笠原みどり氏、梓澤和幸氏が生々しい実感とともに語る! 2016.12.16

記事公開日:2017.1.12取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材:谷口直哉 文:城石エマ)

※1月14日テキストを追加しました!

 暴走する政権と、権力監視をできなくなったメディア――。日本は今、「戦争のできる国」への歩みを一歩一歩着実に進めているのではないか。

 2016年12月16日、東京・日比谷図書文化館大ホールで行われたシンポジウム「戦争できる法と社会のつくり方」で、有識者らがそれぞれの危機感を露わに語った。弁護士の海渡雄一氏、ジャーナリストの金平茂紀氏、ジャーナリストの小笠原みどり氏、弁護士の梓澤和幸氏が登壇し、共謀罪やマスコミの自主規制の問題を深掘りした。

■ハイライト

  • 講演 金平茂紀氏(ジャーナリスト)
  • パネルディスカッション コーディネーター 梓澤和幸氏(弁護士)/パネリスト 金平茂紀氏、小笠原みどり氏(ジャーナリスト、カナダ在住)、海渡雄一氏
  • タイトル 戦争できる法と社会のつくり方 ―登壇 海渡雄一氏(弁護士)、小笠原みどり氏(ジャーナリスト)、梓澤和幸氏(弁護士)
  • 日時 2016年12月16日(金)18:30〜20:30
  • 場所 日比谷図書文化館(東京都千代田区)
  • 主催 日隅一雄・情報流通促進基金詳細

「治安維持法も制定当初は、『絶対に警察によって乱用されることはない』と説明されていた」――海渡雄一弁護士も驚いた治安維持法と共謀罪の共通点

 日弁連共謀罪法案対策本部副本部長として長く共謀罪の危険性を警告してきた海渡雄一弁護士は、「治安維持法・隣組・特高がつくる密告社会」をテーマに語った。政府は2017年の通常国会で、「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変えた共謀罪の法案を提出しようと検討している。講演の中で海渡弁護士は、1925年に制定された治安維持法と現代の共謀罪に、今回新たな共通点を発見したとして驚きを述べた。

 「治安維持法が制定当初は、『これは非常によくできた法律なので、絶対に警察によって乱用されることはありません』と約束をされてできた法律だったということを知って、大変驚きました。今、政府は国会議員のところに行って、『共謀罪の修正案は絶対に乱用されることはありません』と説明して回っているんですけど、そのことを考えた時に背筋が寒くなります」

▲海渡雄一弁護士

▲海渡雄一弁護士

 これまでにも海渡弁護士は、予備や共謀の段階から処罰することを可能にする共謀罪が、「現代の治安維持法」であるとたびたび指摘してきた。IWJは海渡弁護士の発言を取材し、記事にまとめているので、下記もぜひご一読いただきたい。

「戦争が起きるときには、言葉と現実が乖離する」――日本のマスコミ報道から見える「戦争のできる国」への歩みをジャーナリストの金平茂紀氏が語る

 続いて登壇した、元TBS報道局記者でジャーナリストの金平茂紀氏は、「報道の自由の現在と緊急事態宣言条項」をテーマに語った。

 テレビ業界では2016年3月、いずれも、政権に批判的なコメントを述べた、NHK「クローズアップ現代」のキャスター・国谷裕子氏、TBS「NEWS23」のアンカー・岸井成格氏、テレビ朝日「報道ステーション」のキャスター・古舘伊知郎氏が相次いで降板させられた。その後4月20日に国際NGO「国境なき記者団」が発表した2016年の「報道の自由ランキング」で、日本は72位と先進国の中で最低レベルに堕落したことが明らかになった。

 「戦争をできる国づくりに進んでいく時に見える、顕著な傾向があります」として、金平氏は次のように述べた。

 「メディアで流通している言葉がおかしくなるんです。(2016年12月13日に米軍普天間飛行場所属のMV22-オスプレイが、名護市の約80メートル沖の浅瀬に墜落し大破した件で)琉球新報は『墜落』と書いています。だけど、最初の一報は、NHKも僕らの局(TBS)も含め『不時着』『不時着水』と書いている。事実と言葉が乖離してしまっているんです。戦争が起きるときには、言葉と現実が乖離するんです」

▲金平茂紀氏

▲金平茂紀氏

 オスプレイの墜落事故については、IWJ記者が現地取材をしている。「不時着」などと報じるマスコミ報道が明らかに現実と異なっている事実は、ぜひ、下記の記事をご一読いただき、ご確認いただきたい。

「スノーデンの告発が日本でほとんど報じられなかったことは、報道現場の自己規制と表裏一体」――ジャーナリスト・小笠原みどり氏が語る海外から見た日本の報道

 日本のマスコミの「歪み」は、「自己規制」という形でも顕著に表れることを、元朝日新聞記者でジャーナリストの小笠原みどり氏が語った。

 小笠原氏は2016年5月、日本人ジャーナリストとしてはじめて、米国家安全保障局 (NSA)による監視の実態を告発したエドワード・スノーデン氏にインタビューをした。

 スノーデン氏の告発は、ドイツやフランスなどの各国首脳を激怒させたにも関わらず、漏れなく盗聴のターゲットにされていた日本政府は、米国にほとんど抗議さえしなかった。このスノーデン事件をめぐって、小笠原氏は日本のメディアを奇妙に感じたという。

 「(盗聴事件発覚後の)スノーデンが告発したスクープがほとんど日本では報道されなかった、奇妙に日本を迂回していったことは、現場の自己規制と表裏一体になっていると思います」

▲小笠原みどり氏

▲小笠原みどり氏

 さらに、ニュースキャスターらの相次ぐ降板については、「すごく異様なことなんです。いま日本でなにが起きているか、これほど分かりやすいニュースはない」と述べ、現在の報道現場がこのように異様な姿になっていった経緯について、「自己規制はメディア関係者・記者の心の中に、しっかりと菌糸のように、記者一人ひとりの心のなかに、対テロ戦争の開始以降は、広がっていったという実感がありました」と述懐した。

 小笠原氏がスノーデン氏におこなったインタビューの内容や、監視社会の恐ろしさについては、以下の記事で詳しくまとめているので、ぜひご一読いただきたい。

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です