過去3回廃案になった危険な「共謀罪」が名前を変えて国会に再登場!? 海渡雄一弁護士が報告「適用犯罪が700に増えている」――秘密保護法、通信傍受制度、共謀罪で暗黒監視社会が完成!? 2016.8.30

記事公開日:2016.8.30取材地: テキスト 動画
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(城石裕幸)

特集 共謀罪
※9月27日テキストを追加しました!

 あの小泉政権時代にも廃案となった危険な「共謀罪」の成立を、安倍政権は虎視眈々ともくろんでいるようだ。

 2016年8月30日、東京都文京区の文京シビックセンターで、「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」による学習会「表現の自由と国際人権?許すな!共謀罪新設・秘密保護法廃止!?国連表現の自由特別報告者ケイ氏の暫定報告書を受けて」が行われ、デイビッド・ケイ氏による日本公式訪問のコーディネーターであり、ケイ氏の暫定所見の仮訳を作成した弁護士の海渡雄一氏が報告を行った。

 この中で海渡氏は、共謀罪のはらむ問題点を明らかにし、「『秘密保護法違反の共謀罪についての通信傍受』というのは、民主主義社会を死滅させるぐらいの威力がある」と、監視社会への危機感を訴えた。

▲海渡雄一弁護士
▲海渡雄一弁護士

記事目次

■ハイライト

  • 講師 海渡雄一氏(秘密保護法対策弁護団)
  • 日時 2016年8月30日(火) 18:30~
  • 場所 文京シビックセンター(東京都文京区)
  • 詳細 STOP!「秘密保護法」
  • 主催 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

適用要件の曖昧な共謀罪の危険性~「『準備行為』とは、『凶器を買うためにお金をおろした』くらいでいい。ないしは、『2人で合意したことを3人目に電話した』でも十分です」

 過去3度、小泉政権時に国会に提出され、廃案になった「共謀罪」は、より適用対象を絞り、新たな構成要件を加えて「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(テロ等組織犯罪準備罪)と名を変え、2020年の東京オリンピックでのテロ対策を口実に、9月に召集される臨時国会への提出が検討されていると、8月26日付の朝日新聞で報じられた。

 「共謀罪の問題のついては、朝日の記事をきっかけに全ての新聞であたかも法案が絶対出てくるかのように書かれていますが、政府は国民の動向を見て、決めようとしているんじゃないかと思っています」と、海渡弁護士は、自身の見通しを語った。実際9月16日には、閣議後の記者会見で菅官房長官が臨時国会での法案提出をしないことを公表している。

 しかし、問題は過去何度も繰り返し登場してくるこの法案の中身の恐ろしさだ。

 今回の共謀罪法案は、「一言で言うと2003年に出てきた法律を2か所だけ修正したもの」だという。その2か所とは「組織犯罪集団の関与」と「犯罪の一定の準備行為が行われる」という条件が加えられたことで、海渡氏によるとそもそも「これは条約そのものの中に書いてある。最初から書けばよかったことを書いてなかっただけのことで、いかにも反省して適応対象を絞ったように言っている」ということだ。

 ここでいう「条約」とは「国際組織犯罪防止条約」のことで、日本は主要7か国で唯一の未締結国。そして政府は「この条約を締結するために」現行の国内法でも十分に批准可能であるにもかかわらず、「共謀罪の創設が必要だ」と言い続けている。

▲ 学習会の様子
▲ 学習会の様子

 海渡氏は続けてこう話した。

 「非常に狡猾だなと思うのは、この『組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪』という名前ですね。『組織犯罪を計画』した場合(罪に問われる)、ということです。

 今までは『合意した場合』、『共謀した時』、『準備した時』、とか、そういう言葉を使っていたんですが、『計画した時』となりました。

 刑法っていうのは、基本的に『犯罪が起きて被害が起きた』ことから取り締まる。殺人罪だったら、殺人既遂で人が死ぬ。殺人未遂っていうのもありますね。ナイフで刺したけど命は取り留めた。殺人予備っていうのもある。あいつを殺してやろうと決めて、凶器を調達する、そういうもの。

 でも共謀罪というのは、AさんとBさんが『そろそろあいつは死んだほうがいい』、『そうだな』、これで成立ですね。

 そして今回の修正案の『犯罪の一定の準備行為が行われる』というのは、『具体的な準備行為に取り掛かったこと』を条件にしています。『準備行為』とは、ひとつ前の自民党修正案では『実行に資する行為』という表現になっていた。分かりやすく言うと『凶器を買うためにお金をおろした』くらいでいい。ないしは、『2人で合意したことを3人目に電話した』でも十分です。そういうレベルです。

 予備罪とか準備罪とかは、それ自体が危険な行為とみなされる場合ですが、ここでいう共謀罪における『準備行為』とは、そのうんと手前のものでいい、というふうにされています。そこが一つのポイントです」

 共謀罪の危険性は、この曖昧な適用要件にとどまらない。それは際限なく広げられていく適用対象犯罪の多さだ。海渡氏はこう解説する。

 「以前の共謀罪では、適用犯罪が615と言われていました。懲役4年以上に定められている犯罪全てがそれにあたり、その中には過失の罪もあった。『過失の罪を共謀する』ってどうやってやるんですか?

 それが、今回も直っていない。自民党はいったん、『140まで減らす』と言っていて、『徹底した修正を施して国境を越えるような犯罪にだけしか適用しない』という、民主党(当時)の修正案も丸呑みすると言っていた時期があったのに、今度はまた、700くらいになっている」

読売の社説を徹底批判!「組織犯罪とテロは全く別のもの。国連の『国際組織犯罪防止条約』の立法ガイドの中には『宗教行為、政治行為などのテロは除く』とはっきり書いてある」

 その危険な共謀罪を推進したい側にとっては「テロを防ぐ」というのは便利な口実なのだろう。海渡氏は読売新聞の8月31日の社説を紹介し、その問題を指摘する。

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