【特別掲載!】「国防軍」の実態は「米防軍」!? 安保法制を強行採決した安倍総理の真の狙いとは?~『前夜・増補改訂版』より抜粋第3弾!「第二章 戦争の放棄」をアップ! 2016.6.25

記事公開日:2016.6.25 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

 『前夜・増補改訂版』より、岩上安身による「まえがき」、「第三章 緊急事態」に続く第3弾として、安全保障に関して規定した「第二章 戦争の放棄」をpdf版で公開する。

 現行の日本国憲法は、第9条において「戦争の放棄」をうたっている。一方、自民党改憲草案は、「戦争の放棄」を規定しつつも、新たに第9条の二において、「国防軍」の創設をうたっている。

 現在、日本には自衛のための実力組織として、自衛隊が存在する。自衛隊は、現行憲法の第9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という文面に抵触し、違憲の存在であるとの議論もある。しかし自衛隊に関して日本政府は、国家には固有の「自衛権」があるとの立場から、「戦力」ではなく「自衛のための実力組織」としての自衛隊は合憲であるとの見解を示してきた。

160625_311812_ec

 しかし、自民党改憲草案は、この自衛隊をさらに「国防軍」へと改組する、としている。では、この「国防軍」の実態とは、どのようなものなのか。

 安倍政権は、2014年7月1日に、違憲の疑いが極めて強い集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。さらに、翌2015年9月19日未明には、「戦争法案」、すなわち集団的自衛権行使容認にもとづく安保法制が参議院本会議で可決・成立した。

 安倍政権が安保法制の成立を急いだ背景には、米国からの強い要請がある。2012年8月15日に発表された「第3次アーミテージ・レポート」には、「軍事的に、より積極的な日本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきだ。集団的自衛権の禁止は同盟の障害である」と記載されていた。安倍総理は、安保法制に関して国会で審議を行う前、2015年4月29日、米国連邦議会上下院合同会議で演説し、安保法制の成立を「この夏までに、成就させます」と、日本国民を飛び越えて米国に対して約束してしまった。

 こういった背景を勘案すると、「国防軍」とは、「集団的自衛権」の名の下に米国と世界中で戦争を行う軍隊であることが分かる。「国防」とは名ばかりで、実態は、最前線で米軍人の盾になる軍隊なのである。

 また、「国防軍」という名称から連想されるような、日本という国家の独立主権のもとに指揮駐留される軍隊のように思いがちだが、実はそうではない。

 現在でも、在日米軍との統合運用が深められ、装備から、部隊を動かす際のデータリンクもすべて依存しっぱなしの状態にある自衛隊が、集団的自衛権によって外征軍として行動する際は、完全に米軍の指揮下に入ることが、そもそも戦後間もなくの吉田茂総理の時代、米軍司令官との間で密約がかわされていた。これは、矢部宏治氏の新刊『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』で明らかになった事実である。

 この驚愕のスクープについては、矢部氏へのインタビューをぜひ、あわせてご覧いただきたい。

 真相を知れば、誰も馬鹿馬鹿しくて、集団的自衛権に賛成するものなどいなくなるだろう。だからこそ、国民を完全に従属させ、言論の自由も、表現の自由も、報道の自由も奪い、公権力が国民に上から命令を下す独裁体制が必要になるのである。

 当然、膨大な戦費をまかなうため、国民から強制的に、財産を徴税・徴発をして吸い上げ、兵士を徴兵し、兵士に向かない中高年、女性、若者には勤労動員をさせるだろう。そして、国民に有無を言わせないために、国民主権と基本的人権を停止した専制体制が必要になるのである。

 今回pdfで掲載する「第二章 戦争の放棄」では、「国防軍」の実態と安倍政権の狙いについて、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士、そして岩上安身の3人が詳しく議論している。参院選の投票日前に、多くの方にぜひご一読いただきたい。(IWJ編集部)

『前夜・増補改訂版』より「第二章 戦争の放棄」抜粋(PDF)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です