【スピーチ全文掲載】「選挙で社会は変えられる!」SEALDs奥田愛基氏が熊本で初の選挙演説!野党統一候補・阿部広美氏の決起集会で、2000人がコール!集会後、奥田氏に直撃インタビュー! 2016.2.27

記事公開日:2016.3.15取材地: テキスト動画
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(ジャーナリスト・横田一)

 「SEALDs(シールズ)」が参院選に向けて精力的に動き始め、「老若男女の草の根の選挙運動」が熊本から全国に広がる可能性が出てきた。2016年2月27日、参院選熊本選挙区の野党統一候補・阿部広美(あべひろみ)弁護士の決起集会が開かれた熊本市内の白川公園に、大学院入試を終えたばかりのSEALDsの奥田愛基氏が駆けつけ、初めての選挙演説を行った。

 「『デモで社会は変わらない』という人たちに対して、柄谷行人さんという哲学者はこう言いました。『デモで社会は変わらないというが、デモをすることでデモをすることが当たり前の社会になる』と。私たちは社会を変えることができる。選挙を通して、選挙ができる社会に変わることができる。変えることができる」。

 2000名の参加者を前に約6分間のスピーチを披露した奥田氏は、最後に「民主主義って何だ!」と叫ぶと、集まった2000人の参加者も「これだ!」と呼応した。去年夏に国会議事堂前を埋め尽くした熱気がまるでタイムスリップしたかのように熊本の地に蘇り、会場は高揚感で包まれた。

 奥田氏に続いて、貧困や格差問題に弁護士として取り組み続けた、野党統一候補の阿部氏がマイクの前に立った。

 阿部氏は自らの生い立ちや10年間の弁護士人生を振り返りながら、学費無料化や安価な保育園確保などの格差是正策を提案。庶民に寄り添う政治の実現を訴え、「富裕層代表の安倍政権」対「庶民代表の野党統一候補」という対決の構図を浮き彫りにさせた。

■全編動画

(動画撮影・提供:あだち安人)

奥田愛基氏「『デモで社会は変わらない』と言うが、デモで『デモが当たり前の社会』に変わった。私たちは社会を変えることができる!」(スピーチ全文)

 「こんにちは。実は僕は、こういうところでスピーチするのが昨年の九月か十月ぶりです。何をやっていたかと言うと、殺害予告が来たりとか、いろいろなことがあったり、学校に戻ったりで、大変でした。正直ちょっと疲れて、学校も1カ月くらい行けないというか、満員電車に乗るのがちょっと怖いということもあったので。『安部政権の安保法NO!』とずっと言っているのですけれども、なかなか『YES!』ということがない。この先、どうなっていくのか。野党共闘も全然決まらない。どうしようかな。そんな中で一番初めに見つけた僕の中の『YES!』という言葉が、阿部広美さんが出たことでした。(拍手)良かったと思いました。

 『デモで社会は変わらない』という人たちに対して、柄谷行人さんという哲学者はこう言いました。

 『デモで社会は変わらないというが、デモをすることでデモをすることが当たり前の社会になる』。

 実際に昨年、そうなったと僕は思っています。全国各地でデモを行った若者、お母さんたちが、お父さんたちが、自分のお爺さんやお婆さんの世代が動いていました。今年の夏はこう言いたいと思います。

 『私たちは社会を変えることができる。選挙を通して、選挙ができる社会に変わることができる。変えることができる!』。

 僕はデモには参加したことはありましたけど、選挙の応援をしたことは初めてです。選挙のスピーチ、こうやって誰かの人の応援をすることは初めてです。社会は変わっています(拍手)…」

「やってもどうせ変わらない」と思っていた人が「希望に負けた」と考えを変えた

 「…できないことばかり言っていても仕方がないのです。できないことはできないから、できないのです。しかし、できることはできるから、できるのです。できることをやっていきましょう。

 『絶望に負けそうになる』という言葉をよく耳にします。けれど、ある映画監督はこう言っていました。震災後、その映画監督はもともとバッドエンド(悪い結末)というか、グロテスクな映画を撮っていらっしゃるのですが、(ある映画で)結論をかなり希望的な映画に変えたのです。その映画監督が『何で変わったのですか』とインタビューで聞かれたときに、『希望に負けました』と言ったのです。

 『社会なんかどうでもいいや』とか、『やってもどうせ変わらない』とか思っていたけれども、『愛なんてどうでもいいや』とか、『助け合うとかはどうでもいいや』と思っていた人が『希望に負けた』というのです。

 で、負けっぱなしの人生かも知れません。けれど、どうせ負けるのなら希望に負けた方がいい。(拍手)戦争をするよりもしない方がいい…」

「個人を大事にしない国、保育園がなくて働くこともままならない国に未来はありません」

 「…これから先、9月に派遣が想定されている南スーダン。この間、難民キャンプで16人が亡くなりました。『South Sudan(南スーダン)』でぜひ検索してYouTubeで見てください。その光景はまさに戦場そのものです。

 武器を持った国連の兵隊が難民保護の名の下に撃たなければならない。私たちの国は、それをするべきかしないべきか。それは今回の選挙に関わっていると思っています。

 私はしたくありません。自衛隊は軍隊ではありません。自衛隊が行った行動の責任の主体は、自衛官個人にあります。国家の命令の名のもとでやった殺人のことを、自衛官個人に押しつけるのですか。国の責任としてやっていることを、『あなた個人の総合的な判断で撃ったのでしょう』と言って殺人罪で裁くのですか。

 そのような個人を大事にしない国に未来はありません。保育園がなくて働くこともままならない国に未来はありません。一人の人間が一人の人間として生きていける社会に『自己責任』というならば、『自己責任ぐらい取れるような社会にしろよ』と。今は、その責任すら取れない社会になっている。『最低限、国がやるべきことをやれ』『社会がやるべきことをやれ』。そのために俺は、俺ができることをやります。

 (殺害予告が出て)正直怖くて、学校に(一ヶ月)行けなかった時、若干、『もう止めようかな』とちょっと思ったのですけれども、でも、またこうやって来ています。(「いいぞ」の掛け声と拍手)

 『民主主義って何なのかな』といつも思うのですけれども、今、ここから見えている光景は、僕にとってはすごく希望的です。これはまたデモとは違う局面に来ている。民主主義の最前線が今ここにありますよ、きっと!

(――突然、コールに入る)

 民主主義って何だ!(「これだ!」)
 民主主義って何だ!(「これだ!」)
 民主主義って何だ!(「これだ!」)
 民主主義って何だ!(「これだ!」)(コール終了)
 
 ありがとうございました」

阿部広美氏「私たち生活する庶民の声が政治に届いているか。お金持ちとしか付き合わない人たちが考える政治で、本当にいいのか」(スピーチ全文)

 「皆さん、本当に今の政治はどう思われますか。希望が持てていますか。想像してみてください。

 子供を産んだら、働きたくなったら、必ず保育園に入れる。保育料も安くて無理なく払える。学校に通うのにはお金がいらない。大学まで無料で通える。遠方の大学に通う学生さんには給付の奨学金がある。そして、老後にはきちんと年金がもらえる。年金がもらえない方にも、ちゃんと生活が保障される。住むところがいつもちゃんと保障されている。介護が必要になった時には、安い費用で介護を受けることができる。一日8時間、月に22日も働けば、ちゃんと1人でアパートを借りて生活をすることができる――。そんなささやかな幸せを皆さん、想像してみてください。

 このどの一つを取っても、今の政治にはできていないのではないでしょうか。『政治って、そんなものよね』と思われるかもしれません。ですが、視野を広く持ってみれば、そういう政治を実現している国もあります。何が違うのでしょうか。それは、たった一つだと思います。私たち生活する庶民の声が政治に届いているのかどうか、だと思います。…」

「たった2000円がなくて、子供の目の前で涙を流して泣いてしまったことも」

 「…私は子供の時はすごく貧しい家庭に育ちました。電気が止められて、ロウソクの炎で過ごした日もありました。大学を卒業して会社員も経験しました。本当に長時間労働も経験しました。専業主婦も経験しました。そして、シングルマザーも経験しました。子供の保育園に持っていかないといけない、たった2000円のお金がなくて、子供の目の前で涙を流して泣いてしまったこともあります。その思いを忘れずに、私たち、ここで暮らす人々の思いをきちんとつなげる政治、これこそが今求められているのではないでしょうか。(拍手)

 政治はどこか遠いところで、何か訳の分からない人たちが決めている。本当にそれでいいのでしょうか。毎日毎日、料亭で高い料理を食べて、お金持ちとしか付き合わない人たちが考える政治で、本当にいいのでしょうか。私たち、地方に暮らす一人ひとりの庶民の声がきちんと吸い上げられて、それが政治に反映されていれば、先ほど私が述べたような本当にささやかな人々の暮らしが実現するのではないでしょうか。…」

「徹頭徹尾、弱者の立場に立って、弁護士人生を送って来たことが私の誇り」

 「…私は10年間、弁護士をやってきて、たくさんの方の声を聞いて来ました。こういう人たちに寄り添いながら、弁護士としできることをやって参りました。ですが、私の弁護士としての仕事は、あくまで法律の範囲内です。今の法律の中できることをやってきたつもりです。少しは人の役に立てたのかも知れません。ですが、やはり、その法律という枠組みそのものを、変えることがでなければ、私が寄り添えなかった方、もっと苦しい状況にある方を救うことはでない。そう思い、立候補を決意させていただきました。(拍手)…

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