新宿で安保法案「賛成」デモに市民ら500人 参加者の女性「あんなのと一緒にされたら」とSEALDs批判 2015.8.29

記事公開日:2015.8.29取材地: テキスト動画
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(取材・記事:青木浩文、記事構成:佐々木隼也)

 「守ろう日本ラブアンドピース!」「日本の平和を守る法案に賛成!」ーー。聞き慣れないシュプレヒコールとともに新宿の街を練り歩く安保法案「賛成」デモが、2015年8月29日に霧雨のなか行われた。デモ隊は新宿中央公園から新宿柏木公園までを約40分かけて行進。警察発表で500名以上が参加した。

 デモは同法案に反対の声を上げている人々にとっては挑発的ともとれる、司会者のこんな挨拶で始まった。

 「本日ここにお集まりの皆さまは、可決が見込まれているという法案にも関わらず、わざわざ賛成のデモに足をお運びくださいました皆さまです」

 今回のデモでは、主催者側が作成した「YES!安保法案」と書かれたプラカードだけしか使用が許されず、それ以外の掲示物は使用が禁止された。デモ開始後、これ以外のプラカードを掲げる参加者は見あたらなかったが、日章旗を担ぐ参加者の姿が数十名あった。

 参加者の中には、高須クリニックの高須克弥院長がおり、司会者から「このデモをたいへん盛り上げてくださったビックゲスト」として紹介された。「YES!安保法案」は、同クリニックのテレビCMなどで使用されている宣伝コピー「YES!高須クリニック」にちなんだものだろうか——コールの練習では高須院長が「YES!」と叫び、参加者が「高須クリニック!」と応える場面もあった。

 今回のデモでは、取材対応はすべて「広報担当者」が担い、報道陣による参加者へのインタビューは禁止された。しかし、デモ行進終了後に、「参加者本人が良いというのであれば…」と広報担当者から許可を得ることができた。

 知人と2人で参加したという女性は、IWJの取材に対し、「もうちょっと――まあこの天気で500人集まったのはいいんですけど。もっと何万人も集まればなあ」と語り、参加者数が期待よりも大幅に下回っていたことを嘆いた。

■ハイライト

「実はここに集まっているみんなも戦争に反対なんです」

 IWJの取材に応じた広報担当者の橘紅葉(たちばな・もみじ)氏は、「私たちも戦争には反対なんです」と同デモへの思いを語った。

 「安保法案に関しては、反対デモの様子はだいぶ報道されていて、賛成はいないのかなとういうのがあったんです。そうしたら、実は賛成の方もたくさんいるので、安保法案に関しては賛成もいるんだよ、ということを伝えたいということです。

 あと2点目がすごく大切で、実はここに集まっているみんなも戦争に反対なんです。安保法案に反対の方たちも、戦争に反対じゃないですか。じゃあ、安保に賛成の人は戦争したいのというと、実はみんなしたくない。思いは一緒、その思いは一緒なんだよ ということをみんなにわかっていただきたい」

 多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官が、同法案を「違憲」と断じていることについて橘氏は、「政治は学者の意見で決めるものじゃないと思ったんですね」と反論した。

 「違憲、合憲というか、学者さんたちの意見じゃなくて、日本の守りの構えのための安保法案というところにビジョンをあてて考えているので。一応、その安保法案というものをまず知ってから、いろいろそういう詳しいこと(違憲、合憲について)を考えてみないかなと」

沿道の年配男性から声援「中国に帰属するのかどうか国民投票をしろ」

 500人で出発したデモ隊に、沿道から飛び入り参加する市民の姿は確認できなかった。そんななか、新宿駅前でバスを待っていた年配の男性が、デモ隊に向かって「がんばれ、がんばれ」と声を掛けていた。IWJ記者が声をかけると、男性はやや興奮気味に次のように語った。

 「中国に帰属されたら、あんたどうするの。これね、沖縄はね、フィリピンと同じになる。おれは齢だから、死ぬからもういいけれど。自分たちが、このままいったらね、沖縄は帰属されて中国のものになるよ。中国に帰属するのかどうか国民投票をしろっていうの。そのほうがよっぽどわかりやすい」

参加者女性「若い人はあんまりデモとか出ないほうがいいのかなあ。あんなのと一緒にされたら」とSEALDs批判

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「新宿で安保法案「賛成」デモに市民ら500人 参加者の女性「あんなのと一緒にされたら」とSEALDs批判」への3件のフィードバック

  1. 有賀 弘三 より:

    学者の発言を批判する人たち、学者の発言の真意を曲げて利用した結果が、如何なる結果になるかを想像することもできないのか?、あるいは一般の人々を騙す意図からの悪意に基づくのか?、・・・・憲法違反の結果が与える国に与える損害が如何ほど恐ろしいものかを学んで欲しいと願うのみです。

  2. フジサワキヨミ より:

    中継おつかれさまでした。安全保障法案反対のIWJが中継するのはちと苦しかったように思えました(笑)
    この法案に賛成なのに、LOVE&PEACEってありえな~い。積極的平和主義的な言葉の悪用に思いました女性の参加が多いのに愕然としましたね。彼女らはフェミの対極にいるんだろうな…。
    一見、反対デモと見間違ってしまいそうなカジュアル感、パクリかと思ったほど。それで、このデモ主催のサイトに行ったら、クールビズで参加とあり納得したしだいです。細かい指定が不自由そのものです。まあプラカード自由にしたら、何が出てきちゃうかわかりませんもの。カウンターを警戒ってあり得ない理由に噴いちゃいました。
    それから、安保法案(安全保障関連法案)を縮めたものですが、反対の人たちは「安保反対」とは言わないんですよ、でもこのデモは「安保賛成」と言ってましたよね。主催者は米国を見てますね。
    インタビューの最後の女性、是非ご自分のお子さんに教えてあげて欲しいと思いました。
    お疲れさまでした。

  3. 通りすがり より:

    少なくとも安保法案は今の時点では憲法違反とは言えないですし、憲法違反にしなければいけない勢力の辛い立場はよくわかります。

    安保法案は確かに戦争抑止の効果のほうが高い。今の安保法制の限定的な集団的自衛権で戦争がはじまると騒いでいる人たちは勉強が足りないと思います。まるでオカルトチックに都市伝説を信じているのと同様に見える。
    少なくとも今のままでは日本は戦争に巻き込まれる可能性が高い。10年後には何らかの武力衝突が起きててもおかしくないし、100年後は日本という国が今のまま存在しているのか怪しい。その世界情勢の認識のズレというよりヌケが安保反対の人たちの核なんだろうな、と思います。平和は当たり前に謳歌できるもの。今までどおり。これからもずっと。これが安保法案反対というお花畑というものなんですけど、お花畑に生きている人はそのお花畑を認識できていないというのが非常に見ていて怖い。

    まもにちのデモを動画で見ましたが好感度が高いですね。シールズとかのあの変なラップって頭悪そうだしウルサイだけなんです。安保反対のデモに比べればまもにちは品格すら感じるいいデモだったと思います。
    プラカードも英語(笑)じゃなくてパクリ(笑)でもないデザインというも見ていて気持ちがいい。お洒落気取っても底が見えてる浅はかさです。佐野エンブレム並みじゃないですか?。シールズのデモに品格が備われば世間の見方も多少は変わるんだと思います。

    基本的に安保反対の人って壊れている印象です。まともな人がそっちに行かないようにするのはまともな大人の大事な役目なのかも知れません。

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