「日本の憲法改正まで待てないのがアメリカの本音ではないか」――集団的自衛権を必要とするアメリカの思惑に生活・玉城議員が言及 ~小沢代表からは「最悪の想定」に関わる議論も 2015.7.21

記事公開日:2015.7.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

※7月23日テキストを追加しました!

 「もし、安保法案が可決され、内閣も自民党政権もこのまま続くとしたら、安倍首相とは別に、官僚機構と軍組織がひとり歩きを始める危険性がある。戦前の軍部がまさにこれ」──。小沢一郎氏は、このような懸念を口にした。

 さらに、最悪の想定と断った上で、「海外の紛争に日本人が巻き込まれて亡くなったりしたら、役人レベルの判断で海外派兵をしてしまうのではないか。日本の国民性を鑑みると、そういう状況になったらセーブが効かない。また(戦時中の)繰り返しになりかねない」と危惧した。

 2015年7月21日、東京都千代田区の参議院議員会館にて、生活の党と山本太郎となかまたちの定例記者会見が行なわれた。今回は党からの報告はなく、質疑応答のみで、安保法制に関連した質問が大半を占めた。

 安保法案の衆議院での審議を振り返った小沢氏は、「まったくいい加減。(政府・与党は)本質を議論せず、言葉遊びに終始しているように見える。だから、国民も意味がわからない」と断じた。

 「安保法案はアメリカに頼まれて作ったのではないか」という噂が広まっていることについて訊かれた玉城デニー議員は、2012年8月、第3次アーミテージ・ナイ・レポートの中で、安保法制の骨格部分や、TPP参加、原発推進などが明記されていることに言及。さらに、2015年4月末に改定された日米ガイドラインにも、「安保法制に書き込まれている新3要件に該当する言葉が、そのまま入っている」と指摘した。

 玉城氏は、アーミテージ・ナイ・レポートと新ガイドライン双方には、南シナ海での日本の積極的監視活動まで書いてあるとも語り、「これ以上の財政負担に耐えられないアメリカは、金と自衛隊を出してくれる日本に任せてしまおうとの魂胆だ。(アメリカにとっては)集団的自衛権を行使する法案がどうしても必要で、日本の憲法改正までは待てないというのが、アメリカの本音ではないか」と解説した。

 IWJの小野記者は、学生を中心としたSEALDs(シールズ)の安保法案への抗議行動に、野党議員たちがスピーチで参加していることに触れ、「小沢代表が、SEALDsの抗議行動に参加する予定はあるか」と尋ねた。

 小沢氏は、「若い人たちにとっては、自分たちの将来につながることだから、真面目に考えて、どんどんやってほしい。学生や学者、いろいろな立場の人たちが外で主張するようになったのは大変いいこと」と応じ、「本気で廃案を目指し、安倍政権を倒す時には、僕もやります」と、事前予告のような言葉も口にした。

■ハイライト

  • 日時 2015年7月21日(火) 16:30~
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

アメリカ政府と対等の立場で議論ができない日本

 会見場に現れた小沢氏は、「東京は暑いね。岩手は、朝晩は涼しい。いいところですよ」と気さくに記者たちと言葉を交わし、玉城衆院議員の司会で、質疑応答が始まった。

 まず、「安保関連法案はアメリカに頼まれて作った、という噂が広まっている。また、衆院特別委員会の審議では、南沙諸島の問題が取り上げられることが少なかった。これについて、どう考えるか」という質問があった。

 小沢氏は、アメリカサイドとの打ち合わせの中で、2国間の問題が上がっていることは事実だと認め、「沖縄の問題にしろ何にしろ、常に日米関係では、日本政府、特に外務省が、アメリカ政府と対等の立場で議論ができない。沖縄で暴行事件などが発生しても、しっかりとした対応がとれない。憤懣やるせない憤りを感じる。TPPも同じだ」と語気を強めた。

 そして、「自分の経験では、彼ら(アメリカ)は、きちんと論理的に主張をすれば認める。欧米人は論理、筋道を重んじる。逆に言わないでいると、どこまでもやってくる。日本人は、きちんと主張することを覚えないといけない」と話した。

安保法制の自民党の説明は「言葉遊び」

 また、7月16日に安保法案が衆議院本会議で採決され、賛成多数で可決された際、自民党所属議員2名(村上誠一郎氏、若狭勝氏)が本会議を欠席していたことが、ネット上で批判されていることについて尋ねられると、小沢氏は、このように応じた。

 「それが批判されるというのは解せない。本会議に出席して討論に加わることは、採決そのものを認めることになる。議論が尽くしていないものは採決に値しない」

 さらに、小沢氏は、「今回の安保法案はまったくいい加減で、政府の説明はなされていない。自分は、最初から安保関連の問題については、憲法に則り、きちんと理解し、理念と原則をわきまえた上でなければできない、と言い続けている。(政府・与党は)本質をまったく議論せず、言葉遊びに終始しているように見える。だから、国民も意味がわからない」と断じた。

 きちんと論議して、それで可決したならばやむをえないが、この安保法制の審議が急に注目を浴びるようになったのは、2015年6月4日の衆議院憲法審査会で3人の憲法学者が違憲を表明してからだ、と小沢氏は言う。

 「そのあと、野党もメディアも初めて気づいたように騒ぎ立てるようになったが、私は最初から申し上げている」

 ともあれ、国民が気づいたということは大変よかった、とした小沢氏は、「私たちの党は『まだ採決の時期ではない。議論が尽くされていないため採決は認めない』として、本会議を欠席した」と強調した。

玉城議員、うりふたつの「アーミテージレポート」と「新日米ガイドライン」から浮かび上がる米国の本音に言及

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