世界は「多極化」に向かうのか? 「従米」をやめられない日本経済の実態を診断する~岩上安身による田中宇氏インタビュー 2015.5.14

記事公開日:2015.5.18取材地: テキスト 動画 独自
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(IWJ・平山茂樹)

※ 5月18日テキストを追加しました!

  安倍総理の肝いりで日銀総裁に就任した黒田東彦(くろだ・はるひこ)氏によって始められた、大規模な金融緩和。政府と日銀は、緩和開始から2年程度で2%の物価上昇率を達成できる、としていたが、2013年4月に金融緩和が始まって2年が経過した現在、直近の物価上昇率は0%前後にとどまっている。

 「田中宇の国際ニュース解説~世界はどう動いているか」で世界中のニュースをウォッチし、国際情勢の解説を続けている田中宇氏は、日本が量的緩和を続ける理由として「弱体化している米国経済を救うためだ」と指摘する。

 緩和を続ける日本経済に「出口」はあるのか。なぜ、緩和が続けられているのに、日本の実体経済は回復しないのか。「多極化」をキーワードに、国際政治と経済の行方を分析する田中氏に、2015年5月14日、岩上安身が話を聞いた。

■イントロ

  • 日時 2015年5月14日(木) 15:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京・六本木)

数年以内に米国で武装蜂起が発生する!?

岩上安身(以下、岩上)「本日は田中宇さんをお招きしました。あの硬質で情報量の多いメルマガを読んでいますと、田中さんは機械ではないか、とも思えてきます。世界は今どうなっているのか、ウォッチし続けている田中さんにお話をお聞きしたいと思います」

田中宇氏(以下、田中・敬称略)「私の関心の中心は、米国の覇権についてです。そのことをずっと見てきたし、これからもずっと見ていくことになると思います」

岩上「本日は、新刊『金融世界大戦~第三次世界大戦はすでに始まっている』の内容に沿ってお話をお聞きします。こちらの本は、後ほど田中さんにサインしていただいて、『IWJブックショップ』で会員の皆様がお買い求めいただけるようにします。 (書籍販売は取りやめとなりました。申し訳ございません)

 まず、昨日配信されたメルマガの内容からおうかがいしたいと思います。カナダ人が国境の検査官によってこれまでに25億ドルを没収されている、と。没収されたお金は、米当局の予算の一部になっているそうですね。

 また、ファーグソンやボルチモアでの暴動から、数年以内に米国内で武装蜂起が起きる可能性もある、とのことですが」

田中「ファーグソン市民の7、8割が警察によって送検されています。市民のほぼ全員が犯罪者扱いされてしまっています。こうなると、ファーグソンの状態は治りません。

 防衛のために銃を持っているわけですが、株価が1万5千円を割ったら、自宅に銃弾を用意するように、という記事もあります。ファーグソンやボルチモアでは、資本家が黒人の対立を煽るようなことをしています」

岩上「米国では50州のうち、22州が財政赤字、とのことですが」

田中「リーマン・ショックの直後は45州でした。いまだに、リーマン・ショックから立ち直れていない州がほとんどです。米国は実体経済が弱り、どんどん金融だらけになっています。

 米国は先進諸国の中で、医療費が最も高く、医療の質が最も低い国であると言えます。オバマ・ケアは大変掛け金が高いので、若い人は入りたがりません。しかし日本はどんどん、米国のようになっています。国民健康保険の崩壊や非正規雇用の拡大など」

岩上「日本でも、救急車に乗ったら3万から5万取ろう、という話になっています」

田中「日本のアメリカ化ですね。しかし、米国には市民メディアがたくさんあって結構ギャギャ―言いますが、日本はそうならないですね。『汝、臣民』だらけですからね」 岩上「2033年には公的社会保障制度の基金が底をつく、と」

田中「ハーバードは、2020年代に立ちいかなくなる、と言っています。米国も何度も公的な保険制度を作ろうとしましたが、医者や製薬会社などのロビイストの抵抗で実現しませんでした」

岩上「米国の倫理の低下も著しい、ということですね。NSAの職員が知り合いの異性のメールなどを漁って盗み見している、と。これはストーカーと変わらないですよね」

田中「飛行場の検査でも、そういうことをやっている連中がいますね」

岩上「米国内で内戦の危機、ということですが。テキサス州の右派や言論人が『米政府がテキサス州を軍事支配しようとしている』と大騒ぎになった、と」

田中「これは明らかな、テキサス州の右派に対する煽動ですよね」

米国の危機を救った日本のQE(量的緩和)

岩上「日本は、政治的にも軍事的にも米国にぶらさがっています。米国債を買い支えているわけですね。ドルが崩壊したら、日本国債がダメになってしまいます。まず、FRB議長が『QE3』が失敗した、と発言しました」

田中「QEというのは量的緩和のこと。これが個人消費を押し上げる、と日銀などは言っています。経済が弱い国がこれをやると、数ヶ月で破綻します。しかし米国は、ドルが基軸通貨なので、これを延々とやっている訳ですね。しかし、いよいよ連銀(FRB)の中で、『これをやめる』という話になった」

岩上「なぜ日銀は、アベノミクスなどと言って、米国がやめたタイミングでQEを始めたのでしょうか」

田中「日本は、米国がやめたのとほぼ同日にQEを始めた。日本としては、米国が危険になることを救ってあげた、ということです」

岩上「日本の『出口』はどうなるのでしょうか」

田中「出口はないですよ。米国は日本がいたから、出口があったわけですね。日本の金融関係者は、ブルームバーグやロイターなどの取材に応じて、『出口はない。早くやめるべきだ』と発言しています。これを日経は全然報じない」

岩上「苦しいから、麻薬を打って一時的に苦しさを紛らわせている状態ですね。しかし、『出口』がないということは、この麻薬をやめることができない、ということですよね」

田中「キャッシュをなくそう、という動きが世界的に出ています。フランスでは、数百万ユーロ以上の決裁は、キャッシュですることができない、ということになっています。口座で取引をしなさい、と。日本は世界で有数の現金大国ですが」

岩上「グリーンスパン元FRB議長が、長期的な金相場の上昇を予測しました。QE3は失敗だった、とも宣言しています」 田中「彼は、額は言わなかったものの、世界の中央銀行に対して『今のうちに金を買っておきなさいよ』という意味で言ったのだと思います」

岩上「今はNISAをやっている人も多いです。FXをやっている人も多い」

田中「非常に危険です。QEをやっている限り、株価は上がります。しかし、QEには終わりはないので、もう崩壊しかありません。終わる時は、全部終わります。

 米国の雇用統計や経済統計はおかしい。粉飾されています。労働参加率が低いということは、失業率が高いということですが、そのことが統計に出てきません。統計上は失業率は6%ですが、実際は20%ぐらいに達しています。金融取引をしている人の中で、米国は信用できない、という話になっています。

 ハーバードに留学したことがありますが、米国の知的エリートは非常に頭がいい。世界中から留学生が来ていますから、中東の問題でも、彼らが失敗するとは思えません。現在は、金融崩壊を防ぐということが、全員のコンセンサスです。

 米国は自滅的なところがあり、バブル崩壊にしても、イラク戦争に関しても、わざとやっていると思います。この仮説(世界の多極化)が正しいとしか思えない方向に、世の中は動いていると思います」 (IWJ・平山茂樹)

世界は「多極化」に向かうのか?

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    数年以内に米国で武装蜂起が発生する!?世界と日本を鋭く分析する田中氏の話は聞き逃せない。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/600255873156419585

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