(再掲)「アジアのリーダーとして、AIIB参加を」中国経済の実態とAIIBの衝撃――これからの中国との向き合い方とは~岩上安身による富士通総研主席研究員・柯隆(かりゅう)氏インタビュー 2015.4.24

記事公開日:2015.5.7取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ/IWJ・平山茂樹)

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※5月7日テキストを追加しました!

 「日本はアジアのリーダーとして、AIIBに参加するべきだ」――。株式会社富士通総研主席研究員で、財務省外国為替審議会委員を務めた経歴を持つ柯隆氏は、2015年4月24日(金)に岩上安身のインタビューに応じ、このように述べた。

 中国が主導し、既に57カ国が参加を表明している、AIIB(アジアインフラ投資銀行)。日本は、既存のADB(アジア開発銀行)が存在するとの理由から、米国とともに参加見送りを表明した。

 麻生太郎副総理兼財務大臣は、AIIBへの参加見送りを決めた理由について、「ガバナンスがしっかりすることが、この種の金融機関として必須」と述べるなど、運用の透明性に対する疑問が払拭できないことをあげている。

 安倍総理は、政権発足直後の2012年末、日本、米国ハワイ、オーストラリア、インドをつなぐ「セキュリティ・ダイヤモンド構想」を発表。中国脅威論を過度なまでに煽り、一刻も早い対中包囲網の構築を訴えていた。しかし、アジア諸国のみならず、イギリスやフランスといったEU諸国の雪崩を打ったようなAIIBへの参加表明は、日本が逆に、中国を中心とする新しい世界秩序によって包囲されていることを露呈させた。

 『暴走する中国経済~腐敗、格差、バブルという「時限爆弾」の正体』などの著書があり、現在の中国経済の急速な成長に対して、その負の側面を指摘している柯隆氏であっても、今回のAIIB創設については、「それだけのニーズがある」と肯定的な評価をくだす。そのうえで、日本も、「セキュリティ・ダイヤモンド構想」のような感情論抜きに、AIIBに参加して、アジアのリーダーとしての責任をはたすべきだ、と主張する。

 中国経済はこれからどこへ向かうのか。そして、日中関係は、今後どうあるべきなのか。岩上安身が話を聞いた。

記事目次

■イントロ

  • 柯隆(か・りゅう)氏(エコノミスト、富士通総研経済研究所主席研究員)
  • 日時 2015年4月24日(金)18:00〜
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

習近平国家主席のカリスマ性によって実現したAIIB

岩上安身(以下、岩上)「柯隆さんは中国の南京にお生まれになって、1988年に来日。愛知大学、名古屋大学大学院をご卒業後、当時の長銀を経て、富士通総研の主席研究員、財務省外為審議会委員なども歴任されました。著作もたくさんあります。

 今回のAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立で、中国の存在感に驚きました。日本は、米国にくっついていたら取り残されてしまいました。多くの人がそれでいいのかと心配し、一方で中国のパワーに不安も感じています。中国経済や社会は、どうなっているのでしょうか。

 日米主導のアジア開発銀行(ADB)では賄いきれない、増大するアジアにおけるインフラ整備の資金ニーズのため、中国はAIIB設立を提唱しました。資本金1000億ドル(約12兆円)、総裁予定者は金立群(ジン・リーチュン)元中国財政次官ということです。

 今回、多くの国々がAIIBに参加しましたが、3月上旬の、米国の同盟国である英国の参加表明が大きかったのではないでしょうか。その後、雪崩を打ったように、フランス、ドイツ、イタリアといったEU諸国が参加を表明し、BRICsのロシア、インド、ブラジル、さらには中国と仲のよくないASEANの国々も入ってきました。

 サウジ、韓国、イランと参加が続き、とうとうイスラエルまでAIIBに入ってしまいました。結果、入れなかったのは北朝鮮です。台湾、香港は特殊な事情で見送りになりましたが、日本だけが、はなはだしく孤立してしまいました」

柯隆氏(以下、柯隆・敬称略)「まず、重要なポイントは、なぜ中国がこれを作ろうとしたのか、ということです。ひとつは経済政策、それとポリティカル・ディシジョン(政治決断)です。

 中国では毎年、山東省と遼寧省と交代で、北東アジア経済フォーラムが開催されていました。10年前、そこで、日本、韓国、ロシア、モンゴル、中国で、北東アジア開発銀行を作ろう、と発表されました。その真意は、北朝鮮でレジームチェンジ(政権革命)があったら、誰がそれをバックアップするのか、というものでした。韓国は、西ドイツのようにお金はないので。

 中国と北朝鮮との国境の河は、一番狭いところでは2メートルしかありません。難民問題は、お金がかかるのと政治的なネックになるので、北東アジア開発銀行は、それに備えるために提案されたのです。10年前、海部俊樹元総理や政治家も出席し、韓国からは総理、副総理も来ていました。

 その当時、日本は正式な返事をせず、韓国は乗り気。米国は半信半疑で、結果、頓挫してしまいました。当時の中国は、胡錦濤、温家宝がトップで、リーダーシップが弱く、経済力も今のようにありませんでした。しかし、ずっと案を温めていて、習近平政権になって、それが本格的に動き出しました。  

 習近平はカリスマ性があったので、実現できました。ですから、AIIBは突然生まれたわけではありません。目的は、インフラ整備のお金、アジア諸国の通貨危機など緊急時への対応です。そして、公にはできない北朝鮮の資金。これが、ADBではできない、一番の理由です」

中国における汚職の実態~町長に数千万円の見舞金

岩上「AIIBは、中国が独占するのでは、との懸念の声が言われていますが、そんな背景があったのですね。日本のメディアは、それをまったく伝えていないので、これはスクープに近い、と言えます。

 さて、政治的な話になりますが、柯隆さんは、こちらが心配になるほど、中国の政治家を批判しています。

 柯隆さんは自著で、辛亥革命、文化大革命、そして鄧小平の革命があったと言及されています。『鄧小平はリーダーシップがあったが、毛沢東は大嘘つきで暴君だ』とあって、びっくりしました。まさか、日本に亡命されたわけではないですよね?

 鄧小平以降の、温家宝、胡錦濤、江沢民に対する柯隆さんの評価も高くありません。でも、習近平は評価されている。日本の政治は官僚が仕切るので、トップが変わってもあまり変化しないが、中国はトップ交代でがらりと変わります。歴代トップに対する評価を聞かせてください」

柯隆「まず、私の著作には、公の情報を元にした事実しか書いていません。中国の幸せのためには、当然、毛沢東時代の負の遺産を処理しなければいけません。それに蓋をしただけでは、同じ悲劇をくり返すだけです。

 私たち中国人にとって、毛沢東の27年間の統治は、まさに悲劇です。人間、過去を懐かしむ気持ちは少しはありますが、悲劇には違いありません。毛沢東の迫害を受けた鄧小平はリアリストです。そして今、中国は鄧小平が残した負の遺産でも苦しんでいます。

 鄧小平は経済発展に夢中で、良い部分もありましたが、中国には言論の自由はいまだにありません。グーグルも許可されないのは、彼が政治改革をしなかったからです。江沢民は市場経済を作りましたが、その基本は朱鎔基が築いたものです。彼があと5年現役だったら、中国はもっと良くなったでしょう。

 2012年までが胡錦濤時代で、これは『失われた10年』だと思っています。北京オリンピックと上海万博でラッキーだっただけです。経済改革は、走りながら修理しなければいけません。改革はゼロサム、マイナスサムゲームです。

 習近平には期待していますが、他方、批判も多いのです。少なくとも汚職撲滅には賛成しますが、言論の自由に関して、グーグルにアクセスできなくするといったようなことなどは、愚かな考えだと思っています」

岩上「日本には中国問題マニアはいますが、一般の日本人は、中国の実情についてさほど詳しく知りません。汚職の場合、市長クラスの人物が3日入院すれば、数千万円の見舞金が集まる、と聞いてびっくりしました。これは、どういうことでしょうか?」

柯隆「市長ではなく、町長クラスです。つまり、町のインフラの発注者が町長だから、ゼネコンが発注を求めて賄賂を渡す。あるゼネコンが、念のために贈収賄の一部始終を映像に記録し、それが規律委員会に渡って発覚したのですが、氷山の一角です」

岩上「町長で数千万円なら、官僚だったら……」

柯隆「内モンゴルのフフホトという省都では、鉄道関連の官僚が22ヵ月で30億円の賄賂もらっていました。銀行には預けられないから、最後は家中が現金だらけになった、といいます。もう、麻痺してしまったのでしょう。

 他方、日本はとてもクリーンです。中国では、逆に賄賂をもらわなければ出世できない。なぜなら1人が潔癖だと、賄賂をもらった同僚たちに危険視されて、抹殺されるからです」

岩上「以前、私が取材した旧ソ連、ロシアも似ていました。社会主義国での賄賂横行はイメージとして理解できます。賄賂と暴力が常に絡み合い、怖いですね」

柯隆「これでは、中国の人民がいくらがんばっても幸せになれません。いまだに個人のGDPは7000ドルちょっとです。普通だったら、役人は横柄にはできないはずです。中国の13億6000万人から少しずつ(クリーンな)お金を集めればいいのです。しかし、今は封建社会のままです」

毛沢東による独裁政権を批判する

岩上「柯隆さんは、毛沢東をとても批判しています。内戦を勝ち抜き、スローガンで多様性を主張しながら、実は何もしなかった、と。戦国時代を勝ち抜いた大名のようなイメージなのに、そういうスローガンを発していたことには驚きました」

柯隆「現在の研究では、抗日戦争の時、毛沢東は真剣に戦わなかったことがわかっています。抗日戦争後は蒋介石と戦うが、蒋介石も親族を守るために腐敗していき、批判も多く、毛沢東はその隙をついた。彼は天才的な戦略家です。

 蒋介石の独裁政権を批判した毛沢東が、『私は連合政府を作るから信じてほしい』と、たくさんの野党を誘った。しかし、独立したとたん一気に独裁政権に走って、共産党以外の幹部はみんな殺されてしまいました。

 だから、毛沢東は嘘つきです。彼の公約通りだったら、中国は素晴らしい国になっていたはず。そして、毛沢東の野心を助長し、バックアップしたのがスターリンなのです」

岩上「レーニンのあとを引き継いだスターリンも、ボルシェビキ(=多数派。少数派はメンシェビキ)の革命で、民主主義を達成すると言いながら、メンシェビキをどんどん粛正した。そして、トロツキーなどボルシェビキの仲間まで粛正していきました」

柯隆「毛沢東のやり方はすべてスターリン主義ではなく、始皇帝や則天武后など、中国王朝の政治ノウハウも入っています。毛沢東は一度もマルクスを読んだことはない。中国は社会主義じゃないと思う。国民が最後に政府に頼る日本のほうが社会主義的です」

岩上「昔、社会党の訪中団が日本の侵略戦争を謝罪したら、毛沢東は『いや、私はそれで助かった』と言ったといいます。日本軍が蒋介石の国民党を消耗させたので、自分はそれを利用して勝つことができた、と」

柯隆「そうですね。日本が撤退したあと、ソ連が接収した日本軍の武器を、飛行機150機を含めてすべて毛沢東に渡した。彼はその武器で蒋介石を打ち負かした。このことは、中国の教科書には一切書いてありませんが」

岩上「そうしないと中国共産党の権威を維持できないからですか」

柯隆「人間は1回嘘をつくと続けないとやっていけない。否定すると全部を変えなきゃいけないので、歴史教科書では書けない。

 私はソウルの戦争博物館で、朝鮮戦争の記述に衝撃を受けました。中国では、南(韓国)がアメリカと一緒に北を侵略した、と教わった。ところが韓国では、金日成がスターリンのバックアップを受けて南に侵略した、と。それで南は国連軍に助けを求め、アメリカが加わった、という真逆の説明でショックでした」

岩上「1990年代の後半ですが、私もアエラ誌に『朝鮮戦争は、北から先に攻めた』と書いたら削除されて大げんかしました。当時の朝日新聞社は昔のイデオロギーを引きずっていたので。

 ソ連崩壊後、私はレーニンが虐殺指令を出した直筆署名入り資料を、アーカイブから見つけて発表したんです。今、ネトウヨから、反日、サヨクと批難される理由がわかりません。柯隆さんが歴史認識などで一番ショックを受けたのはいつですか」

柯隆「24歳まで何も知らなかった。就職して勉強し始めて、中国で自分の学んだこととは正反対なので、毎日が人生観の入れ替わりだった。最近、やっと中国でも良心的な研究が発表されるようになりました。歴史には、直面しなければいけませんね」

「日米がAIIBに入るのは時間の問題」

岩上「しかし、中国の言っていることが嘘だと言っても、日本がやってきたことを正しいとは決められません。右も左もプロパガンダがあって、事実は検証されなければいけない。AIIBの話に戻りますが、北朝鮮問題が背景にあるなら、日本にも重要な問題です。

 中国の習近平、韓国の朴槿恵、北朝鮮の金正恩が登場したタイミングは、それぞれ近い。彼らトップが伝統的な関係を変えるかもしれない。気になるのは、核実験やミサイルで中国と北朝鮮の友好関係にヒビが入っていることです」

柯隆「習近平は国家主席就任から2年たっても、まだ北朝鮮に行っていません。これが一番大きい」

岩上「北朝鮮は、政権ナンバー2で、中国とのパイプ役を務めていた張成沢を処刑してしまった。これは大変なことではないでしょうか?」

柯隆「毛沢東の時、ナンバー2の林彪が逃げ出して事故死した。独裁政権ではナンバー2は常に脅威になる。張成沢は中国から情報をもらっていたと言われ、汚職で捕まった中国の周永康との関係が噂されている。彼が最後に訪れたのが北朝鮮なのです。

 中国側からすれば、金正日は跡継ぎに長男の金正男を押していたが、周永康がその情報を金正恩に流し、正男を押していた張成沢は殺された。それをきっかけに、中国と北朝鮮の外交が切れてしまい、中国は本気になって心配していると思う。

 中国の援助も増やさず、経済も苦しくなって、北朝鮮は国として成り立たない。Xデーも遠くはない。だからこそ、AIIBの成立を急ぐ合理性が立証されるのです」 岩上「北朝鮮には6ヵ国協議の枠組みがあるが、その中でAIIBに加盟していないのは日本とアメリカのみ。日米が参加しない形で、北朝鮮のレジームチェンジは可能なんでしょうか。中国と韓国の主導でやるつもりなんでしょうか」

柯隆「今は日米がコミットしていないが、最終的にはAIIBに入ると思う。バンドン会議での日中首脳会談の映像に、財務省財務官が映っていた。彼がいたことはAIIBが話し合われた証拠です。

 今は、ガバナンスが担保されていない、と言っているが、安倍首相が訪米して、オバマ大統領とその件を擦り合わせ、日本も条件付きでAIIBに入るはずです。

 2015年9月には習近平がワシントンへ行き、オバマ大統領を口説き、中国の内務大臣にあたるナンバー2の王岐山も訪米します。彼は金融のプロで、元財務長官のポールソンと昵懇です。

 なので、日米がAIIBに参加するのは、時間の問題だと思います。AIIBは、いい形でADBと補完的に誕生して、うまく機能するのではないでしょうか」

北朝鮮問題の解決のためにも、中国とのパイプ構築を

岩上「中国と韓国とのパイプは築かれた。今、北朝鮮はロシアが援助しているので、かろうじて維持できている。ロシアはウクライナ問題でアメリカにいじめられて、天然ガスのパイプラインを手土産に、中国に救いを求めてきました。

 中国とロシアが援助を断ち切ってしまえば、北朝鮮は終わってしまう。ところが今、日本の動きがおかしい。安倍政権になって、元小泉首相秘書官の飯島勲氏が、拉致問題など裏で動いている。そして北朝鮮への経済制裁を緩めて延命させている。どう思いますか」

柯隆「日本の北朝鮮戦略に関しては、第三者から見ると意味不明で形になっていない。拉致被害者の家族を思ってのことなら、小泉元首相のやり方は理解できるが、(安倍政権では)それもない。

 おかしいのは、形にならないのに、突然、原則論を出して、『われわれは譲らない。ちゃんとした態度で』とか言うこと。拉致被害者を取り戻してから発言しろと言いたい。日本の外交は本当にわかりません」

岩上「パフォーマンスだし、国連への人気取り。さらに言えば、拉致被害者の政治利用です。北朝鮮の体制は永続しないのだから、早く進めた方がいいのに、日本政府は早めたくないようです。核や拉致問題で北朝鮮がずっと悪役でいることを期待しているのではないか」

柯隆「日本が北朝鮮との問題を解決したいなら、早く中国と会話すべきです。張成沢がいる時は中国もソフトランディングしていた。しかし今は、ハードランディングしかない。日中極秘会談をしてでも話し合うべき。もし、北朝鮮が崩壊したら悲劇になります」

岩上「日本の右派は、『(北朝鮮の崩壊で)中国に影響が出ても、日本には関係ない』と思っているのではないでしょうか。今の劣化した政治家なんて、そんな程度じゃないでしょうか」

柯隆「日本の政治家は、危機感も緊張感もなく政治をやる。3.11当時、新幹線のグリーン車に元総理がいてSPは1人しかいなかった。中国では暗殺されますよ。それだけ日本は平和な国ですが、外交の時はもっと緊張感を持ってもらいたい」

AIIB創設の背景には、新興国による新自由主義経済への警戒感が

柯隆「AIIBは経済的合理性がないと成立しません。どの参加国も取り分が欲しい。スイス、イタリアなどはユーロの金融での影響力を維持したい。オーストラリアやブラジルは資源の輸出先がなくなっては困る。

 各国はアジアに高速新幹線、ダム、原子力発電所の輸出先になってほしいのです。事業は公開入札にするというが、コミットしないと1次情報が入らず、とても不利になる。日本の重電メーカーも落札できなくなります」

岩上「JR東海の葛西会長、聞いてますか? 葛西さんは安倍政権のブレーンで影の財界総理と言われている。彼は『日本の技術が盗まれるから、中国には輸出しない』と言う。その葛西さんの子分が、NHK会長の籾井さん。

 (JR東海が進めている)リニア事業は日本国内だけではペイできない。だとしたら輸出するしかない。まさに、ユーラシアの超高速鉄道に売り込みにいけばいいのに、それをしない」

柯隆「こういう話で言えることは、感情的にならないことです。自分の好き嫌いで物事を決めたら、日本にとって大きな損になる。外交の時は冷静に理解しなければいけない。今回のAIIBでは、安倍さんはガバナンスを指摘したが、実際はライバル心が上回っていた。

 中国への対応も平常心ですべきです。新興国のインフラ需要は8000億ドル。ADBも世銀も年間100億ドルで、これだけの需要が供給されないのですから、AIIBが成立する合理性があるわけです」

岩上「この需要は適正で、ペイできるものなのですか?」 柯隆「これは不良債権になるかどうかではなく、事実です。たとえば、メコン川の河岸、シルクロード、パイプラインなどの整備。タイ、マレーシア、インドネシアの高速鉄道の整備など明らかな数字です。南北新興国の格差も是正されるといわれています」

岩上「世銀、ADBはG7が仕切っている。G20はリーマンショック以降、発言力を持ってきた。こういうところで、G7がうまく機能しないから、自分たちで仕切ってしまえという構図なのでしょうか」

柯隆「1997年、アジア通貨危機の際、IMFに緊急流動性拠出をお願いしたら、緊縮財政をやれと言われて条件が厳しかった。マレーシア、韓国、タイ、インドネシアはもっと苦しくなった。世銀もなかなか金は出さない。

 ネオコンがワシントン・コンセンサスを主張したが、東アジアの途上国は、ワシントン・コンセンサス、新自由主義、ネオコンへの不信感がとても大きい。代表格がアメリカのサマーズ元財務長官。今回、アジア諸国がすぐにAIIBに手をあげたのは、そのためです」

岩上「AIIB設立は、グローバルな規模のケインズ主義復活で、新自由主義をひっくり返すことですね」 柯隆「アメリカに頼らなくても、自分たちでできるじゃないか、と。今までは米国債をたくさん買わされ、アメリカだけが潤っていた。それを、自分たちだけで回していくという理念が背景にあるんですね」 

領土問題と経済の問題は別の話

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