「法的手段も辞さない。ここで諦めてはいけない」――。
今月12月28日、政府は南相馬市内152世帯の避難勧奨地点を解除する。反対の声が大きい中での強行な姿勢に対し、住民らは法的な手段も辞さない構えを見せている。
解除が2日後に迫る12月26日、解除の撤回を求め、南相馬市の住民8人が上京。会場は立ち見が出るほどの人で溢れ、政府担当者との交渉では議論が白熱。解除を決定した政府の説明に、納得する者は一人もいなかった。
(IWJ・ぎぎまき)
「法的手段も辞さない。ここで諦めてはいけない」――。
今月12月28日、政府は南相馬市内152世帯の避難勧奨地点を解除する。反対の声が大きい中での強行な姿勢に対し、住民らは法的な手段も辞さない構えを見せている。
解除が2日後に迫る12月26日、解除の撤回を求め、南相馬市の住民8人が上京。会場は立ち見が出るほどの人で溢れ、政府担当者との交渉では議論が白熱。解除を決定した政府の説明に、納得する者は一人もいなかった。
記事目次
■ハイライト
「特定避難勧奨地点」とは、避難区域とするほどの地域的な広がりはないものの、ホットスポット的に1年間の積算放射線量が年間20ミリシーベルトを超えると推定される地点を指す。一律に避難を求める措置ではないものの、特に妊婦や子どもを対象に、避難の支援を行なっている。
南相馬市内152世帯の勧奨地点解除の話は、今年2014年10月に浮上した。しかし、住民からの強い反発にあい、国はこれを延期。そして、2ヶ月後の12月、再び解除の話が浮上したのだ。政府は12月21日に2度目の住民説明会を開催し、指定解除を伝えたというが、参加した約80人の住民全員が改めて解除反対を訴えた。
勧奨地点の指定時、国は「解除の際には住民の理解を得ること」を約束している。ではなぜ、反対意見を押し切って、解除を急ぐのか。この問いに対し、政府交渉の場に出向いた、内閣府原子力災害対策本部・原子力被災者生活支援チームの清水氏は、「反対の声を踏まえて、相談窓口を開設し、モニタリングや除染の要望に取り組んできた。ガラスバッジも希望者に配布。県民健康調査も実施している」と御託を並べた。反対の声に国は、十分に答えてきたという姿勢だ。
「ここにサインをしてください」
南相馬・避難勧奨地域の会世話人の小澤洋一氏が、清水氏に詰め寄った。
「年間20ミリシーベルト未満の被曝では健康被害は考えにくいのだったら、解除後、万一、住民に健康被害がおよんだ時は、国だけではなく、指定解除の手続きを進めた特定の官僚が全責任を取ること。ここにサインをしてください」
政府は勧奨地点を解除する理由を、「解除後1年間の積算線量が年間20ミリシーベルト以下となることが確実」としているが、ここには大きなごまかしがある。政府が放射線量を測定するのは各家庭、2ヶ所のみ。それも、こまめに掃除をする玄関先と、風通しのよい庭先高さ1メートルという、比較的線量の低いスポットだけだ。解除後、帰還した住民たちは玄関先と庭先だけで生活するとでも言うのだろうか。
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