環境省の専門家会議で傍聴者を排除したことに市民団体らが抗議、都合の良い意見ばかり収集する官僚の姿勢を糾弾 2014.12.18

記事公開日:2014.12.24取材地: テキスト動画
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(IWJ・細井正治)

※ 12月24日テキスト追加しました!

 環境省が12月18日(木)18時から予定していた「住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の「傍聴者を一切受け付けない」としたことから、同日16時から、「放射能から子どもを守ろう関東ネット」、「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」、「FoE Japan」の3団体の市民らが記者会見を開いた。

 登壇したのは「FoE Japan」の満田夏花氏、「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長の吉田由布子氏、外部専門家として招致もされた、元放射線医学総合研究所主任研究官、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)元委員の崎山比早子氏、これまで傍聴を続けてきた「放射能から子どもを守ろう関東ネット(現在40団体)」共同代表の木本さゆり氏ら。

■ハイライト

  • 日時 2014年12月18日(木) 16:00~
  • 場所 環境省記者クラブ(東京都千代田区)
  • 主催団体 放射能からこどもを守ろう関東ネット、NPO法人子ども全国ネット、鎌ヶ谷放射能対策市民の会、FoE Japanなど

※以下、発言要旨を掲載します

「傍聴締め出し」だけの問題ではない

満田夏花氏(以下、満田・敬称略)「本日(18日)、18時から合同庁舎4号館共用(1214特別)会議室で行われる会議が、突如『締め出し』と発表されました。これまで13回やってきて今日、重要な『中間とりまとめ』の予定なのにです。

 担当の環境省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室に要請文を(直接手渡したかったが『忙しい』などと断られたので)ファックス送信後電話で確認しました。

 環境省側の説明としては、①『第12回、13回の専門家会議において、事前にお知らせしている注意事項および会議冒頭にお願いしている留意事項をお守りいただけず、発言等により議事を妨げる行為があり、議事を中断する事態が生じた』。

 ②インターネット配信をするため、(会議は)完全な『密室・非公開』ではない。③当初、傍聴では異例の全席指定で、不規則発言者らをブラックリスト登録していたのが、批判を受けて普通の自由席になったため、発言者らを特定しにくくなったから『全員排除』『傍聴自体やめる』しかなかったという言い分もありうる。

 私たちも、今までいろいろ傍聴してきましたが、ここは特に異常なほど神経質です。『議事を中断する事態』は中間とりまとめ案を検討した前回(第13回)が初めて。不規則発言だけでなく、まず委員内部で『非科学的だ』という批判が出ていた。

 しかし傍聴者が委員の一人に激昂、反論、論争する形となって、一時的に中断、妨害された事実があり、その傍聴者にはそれなりの責任が仮にあったとしても、それを口実に、傍聴自体を全部廃止・排除してしまうというのは明らかに問題で、過剰反応」

実は「福島」より汚染されてしまった県が

満田「会議発足当初から私たちは『被災当事者の意見を聴くべき』、その『権利を擁護できる弁護士や、低線量被曝の影響について警鐘を鳴らしてきた専門家を入れるべき』などの意見、要請をしてきましたが、一年以上過ぎ、結局受け入れられないまま、今後もパブコメにもかけないとのことで、意見の反映には程遠い」

木本さゆり氏(以下、木本・敬称略)「私たちは事故当時の表土を1kmメッシュに分けて採取、分析していった母親たちのネットワークです。文科省の航空モニタリングと違い、非常に高いところと、低いが4万ベクレル以上が密集した地域がありました」

※例えば、事故直後の2011年3月15日や20日、21日などは、福島県の福島市や南相馬市よりも、茨城県取手市や千葉県柏市の一部の地域の方が高濃度だった(毎日新聞2014年9月5日夕刊)。

吉田由布子氏「実際に政府の資料(例えば、原子力規制委員会 第1回帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム資料、2013年9月17日)でも、『汚染状況重点調査(放射性物質汚染対処特別措置法に基づき除染計画を策定した、年1~20mSv)』地域は、『福島』などの『県境』とはまったく合致しない(福島県は岩手県に次いで広い県で、汚染度が低い地域もあり、逆に宮城県、岩手県や関東でもそれらより汚染された地域がある)のです。

 にも関わらず、『国の支援による健康管理』は福島県だけ。さらに復興庁基本方針による『支援対象地域』は福島県内の『汚染状況重点調査地域』にほぼ等しい、不合理で不公正、非科学的な施策なのです。『福島(県で平均すると、近隣県と比較して)の汚染も大したことがない、ましてや県外など論外』という方向へ誘導しています」

委員の意見も都合が悪いと切り捨て、都合のよい意見だけを収集

(…会員ページにつづく)

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「環境省の専門家会議で傍聴者を排除したことに市民団体らが抗議、都合の良い意見ばかり収集する官僚の姿勢を糾弾」への1件のフィードバック

  1. 谷口 真也 より:

     崎山さんに大きく同意。

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